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第7話:王属聖騎士長がギルドに殴り込んできて、俺の知らないところで伝説の隠者扱いになっている件

第7話をお読みいただきありがとうございます!

ただの散歩のついでに災害級の地竜を踏み潰した歩くん。

本人は「今日のノルマ達成!」と自宅で美味しくご飯を食べて寝ただけですが、翌朝の冒険者ギルドはとんでもない大パニックになっており……?

翌朝。

俺はいつも通り、朝の健康ウォーキングを兼ねて冒険者ギルドへと向かっていた。

昨日の「薬草採取」の依頼報酬である大銅貨5枚を受け取るためだ。


サク、サク、サク……。


ピコン、ピコン。

『1歩をカウントしました。1ポイント獲得』

『レベルが上がりました。Lv560 → Lv562』


「よしよし、朝の空気は美味いし、レベルも順調に上がってるな」


もはやレベルが上がっても驚かなくなってきた。ポイ活のログインボーナスみたいなものだ。

そんな軽い気持ちでギルドの重い木の扉を開けた瞬間――


「ガルフ!! 隠し立てするな! その『アユム』という男はどこにいる!!」


バンッ!!! と机を叩く凄まじい音が響き渡った。

見ると、昨日の森で出会った白銀の鎧の少女――王属聖騎士長のクラリスさんが、顔を真っ赤にしてギルドマスターのガルフさんに詰め寄っていた。

酒場の冒険者たちは、巻き添えを食らうのを恐れて壁際に避難し、ガタガタと震えている。


「おいおいクラリスの嬢ちゃん、落ち着けって。アユム殿なら昨日登録したばかりの『Fランク』の新人だぞ?」


ガルフさんが困ったように頭を掻く。


「嘘を言うな! Fランクの人間が、災害級の地竜を、肉体にも触れずに『二歩の足踏みだけ』で肉片に変えるわけがないだろう!」


「ぶっっっ!!!!」


入り口の近くで、俺は思わず吹き出しそうになった。


「肉片にはしてないだろ。ちょっと風圧で打ち上げて気絶させただけだ。誇張表現が酷すぎる。」


気配を消してこのまま帰ろうと踵を返した瞬間、運悪くガルフさんと目が合ってしまった。


「おお! 噂をすればだ! おいアユム殿、こっちへ来てくれ!」


「あー……」


ガルフさんの大声に、クラリスさんが勢いよく振り返る。その鋭い眼光が俺を捉えた。

彼女は俺のジャージ姿を見るなり、昨日助けられた男だと確信したようで、大股で歩み寄ってきた。


「貴様……! 昨日はよくも名乗りもせず立ち去ってくれたな! 私は王属聖騎士長のクラリスだ!」


「あ、どうも。Fランクのアユムです。昨日の薬草の報酬を貰いに来ただけなので、お気になさらず……」


「お気にするわ! ギルマスから聞いたぞ、貴様、これほどの神域の力を持ちながら『Fランクの雑用仕事を希望した』そうだな!?」


クラリスさんは美しい顔を限界まで近づけて俺を睨みつける。フワリと良い匂いがするが、言っている内容がめちゃくちゃ物々しい。


「いや、俺はただのんびり観光がしたいだけで……」


「ふっ、やはりか。世俗の権力や名誉に興味を持たず、ただ己の道を静かに歩む……。貴様、かつて世界を救い、歴史の裏へと消えた伝説の『歩く賢者』の末裔、あるいは本人だな!?」


「は???」


歩く賢者? 誰だよそれ。

俺がポイ活アプリの画面を見ながら毎日3百万歩あるいてただけのただのサラリーマンだって言ったら、このお嬢様はどんな顔をするんだろう。


横からガルフさんも腕を組んで深く頷いている。


「なるほどな! だからアユム殿の足腰はあんなに異常なんだ! 空間を置き去りにする神速の歩法……すべては『歩く賢者』の修行の賜物だったというわけか! 水晶が爆発したのも、賢者の膨大な魔力に器が耐えきれなかったからだな!」


「ガルフさん、あなたまで何を言ってるんですか」


二人の脳内で、俺の評価が「ただの一般人」から「歴史の裏で世界を支える最強の隠者」へと勝手にクラスチェンジしていた。完全に手遅れだ。勘違いデバフ(バフ?)が強すぎる。


「アユム殿! 私は決めたぞ!」


クラリスさんがバッと剣を引き抜き、俺の前に跪いた。


「貴様のような至高の存在を、この街で燻らせておくわけにはいかない! 近々、我が聖騎士団は王都への移動を開始する。アユム殿、貴様を我が団の『最高名誉顧問(兼・道案内)』としてスカウトする! 異論は認めん!」


ピコン。

『クエスト:王都へのピクニック(護衛)が発生しました』

『報酬:歩数ポイント10倍エリアへの立ち入り許可』


(……歩数ポイント10倍!?)


俺の脳内で、ポイ活民としてのゴングが鳴り響いた。

王都への道中は、手付かずの自然が多く、歩けば歩くだけポイントが倍増する神エリアらしい。


「……わかりました。ただの散歩ピクニックとしてなら、同行します」


「やはり修行の一環か……! ありがたくその厚意、受け取ろう!」


クラリスさんは感激に瞳を潤ませていたが、俺の頭の中は「いかにして効率よく歩数を稼ぐか」で一杯だった。

こうして、俺の最強の「王都ピクニック」が幕を開けることになった。


(現在の歩数:42000歩 / レベル:568)

第7話をお読みいただきありがとうございました!


俺の知らないところで「歩く賢者」というめちゃくちゃカッコいい二つ名をつけられてしまった歩くんです。ガルフさんもクラリスさんも、完全に脳内補正が完了しています(笑)。

しかし、報酬の「歩数10倍」に釣られて王都への同行を決意した歩くん。

次回、第2章に突入!聖騎士団を引き連れて、前代未聞の爆速ピクニックへと出発します!

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