表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第二章 女

全部で5章くらいの予定です。


そして申し訳ございません……冒頭にいきなりキラーワード……大丈夫かな……



『殺してやっからな』


「ひっ!!!!」


突然のことに、私の心臓はギョッと飛び上がりました。思わず右耳に手を当て、とっさに振り返ります。


誰もいない。

真っ白な雪がしんしんと降るばかりです。


私は急に、そら怖ろしくなりました。

とても空耳とは思えなかった。私のすぐ耳元で、その声はしたのです。まるで至近距離から内緒話をするような距離で。

しかししばらくの間立ち尽くしても誰もいない。誰も。

私はゆっくりと、大学の方向に顔を向けました。


すると目の前に……。


女が立っていたのです。


(!!!)


私は今度こそ、後ずさりをしました。


いつの間に現れた。さっきまで私の前には誰も歩いていなかったはずです。


そしてその顔を見て……私は凍り付きました。


新しい彼女だ。

別れた後、何度か二人で車に乗っているのを見かけていたのです。赤いふちの眼鏡にショートカットの茶髪。間違いない。しかし異様だったのはその恰好でした。

パジャマ姿なのです。こんな氷点下の雪の中。そしてその手に握っているものを見て、またも心臓が飛び上がりました。


包丁。


女が私を見て、ニタァと笑った。そして包丁を振りかざし私に突進してきたのです。


「キャアアハハハハハハハハハ」


甲高い笑い声。


ヤバいヤバいヤバいヤバい!


私はきびすを返し走ろうとしました。

しかし雪に足を取られ思うように進まない。そうこうしているうちにどしゃあっと足を滑らせ無様に転んでしまう。女の身体がタックルするようにしてのしかかってきました。満面の笑みで包丁を振りかざしている。私は叫び声をあげ必死でもがきながら、とっさに背負っていたリュックを女の方へ向けました。

ざくっ。ざくっ。ざくっ。

もの凄い力です。リュックをの布地と入っていたバインダーと教科書がめった刺しにされている。

たまったものじゃなかった、リュックはあっという間にぼろぼろになってしまいました。女の両手に握った包丁が私の胸元めがけてくる。

もう駄目だ、殺される!!!

心臓が絶望に染まりました。


と、次の瞬間でした。


「ぎゃあああああぁあああああぁあああああぁ」


突然自分の耳をふさぎ、耳をつんざくような悲鳴を上げたのは……



女の方だったのです。



包丁があおむけになった私のすぐ横に落ちる。

「うわっ」

私はなんとかその包丁を避け、のしかかっていた女の身体を渾身の力をふりしぼって……どけました。


元々彼女の身体は小柄です。先ほどまでのとんでもない重さは全くなかった、女の身体はあっけなくごろりとどいたのです。


「ああ、ああぁ、あああああぁ」

女は何かにおびえたように耳をふさぎ、情けない声を上げて体をがくがくと震わせている。


すると……。


シャン、シャン、シャン。


いくつもの金属が重なったような音がし始めました。


それは私たちのまわりを囲んでいる。




そして肌を突き刺すような突風が吹きまばたききをした次の瞬間、私は目を疑いました。




そこは、見知らぬ神社の境内だったのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ