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エレメンターズ  作者: 至田真一
エレメンターの決戦
205/208

勇也の覚悟

「ダーケルが爆発!?」


 島の海岸付近まで避難していたヒレアと林子は、ラースから状況を聞き驚く。


「はい。なので、急いで島から脱出します。召喚獣はまだ呼べないので、ジーリュ殿に乗って脱出します」

「そう……分かったわ。それでジーリュは?」

「もうすぐ来るはずですが……」


 ラースは振り向くと、丁度ジーリュが飛んできた。


「すまぬ、待たせた」

「話は聞いたわ。ダーケルが爆発するって」

「うむ。爆発の規模が想像つかん。出来るだけ遠くへ離れるぞ。さぁ皆乗れ」


 地面に下りたジーリュは屈むと、皆は次々と背に乗りだす。

 最後にグレスとラースが乗ると、ジーリュは翼を広げ羽ばたく。

 地面から浮きある程度まで上昇すると、沖へ向かって真っ直ぐ飛んだ。


「はぁ~……これで一件落着か?」

「そうだと思います。人造エレメンターも全員倒し、クロークの野望を阻止しました。一応、当初の目的は果たせました」

「そういやぁそうだったな。クロークの企みを止めるのが目的だったな。色々あり過ぎて思いっきり忘れてた」


 ウィドがそう言うと、グレスは島の方を向き、エネルギーが溢れ出て苦しんでいるダーケルを見る。


「どうしましたグレス殿?」

「結局……アイツを救う事は出来なかったか」

「……そうですね」


 グレスとラースは深刻な顔でダーケルを見ると、ヒレア、グレン、ウィア、ラン、モーク、ゴサも同じような暗い表情になる。


「母さん……。本当にどうにか出来なかったのかしら。ねぇ勇也。……勇也?」


 レインは勇也に訊ねるが、勇也は返事をせず呆然としていた。


「勇也、どうしたの? 勇也?」


 全く反応しない勇也にレインは怪訝な表情になる。

 そんな様子を見ていたビトは、俯いた表情で唇を強く噛む。


「どうしたビト? 険しい顔をして」

「え? いや……なんでも……ない」


 いつもと違うビトにリューラが首を傾げると、ジーリュはビトを視線で見る。


「ビト……。お主、聞いておったな?」

「あ……うっ……」

「……隠さんでも良い。いずれ皆知る事じゃ」

「何の話してんだジーリュ?」


 話が見えずエンが聞くと、ビトは振り向いて島を見る。

 つられてリューラも島を見ると、島の岩陰から誰かが出てきた。

 出てきた人物を見て、リューラは目を丸くする。


「勇也……?」

「え?」


 レインも島の方を見て、島にいる勇也が視界に入ると、他の皆も島に視線を送り勇也が目に入る。


「どういう事だよ、これ!?」


 皆が知ると、ジーリュの目が光り、背に乗っていた勇也が消えた。


「さっきまでそこにおったのは、勇也が光のエレメントで作った幻じゃ」

「そんな……。ジーリュ、早く島に戻って!! 勇也が……勇也が!!」

「……スマンが出来ん」

「どうして!?」

「それがあやつの……勇也の頼みだからじゃ」


――――――――――――――――――――


「ジーリュ。頼みたい事がある」


 島から退避しようと海岸へ向かいだした直後、勇也はジーリュを呼んで頼みごとをした。


「頼みたい事? 何じゃ?」

「俺を残して島から離れてほしいんだ」

「っ!? 残るじゃと!? 何を言っておる!?」

「ダーケルの爆発を規模が分からないって言ってただろ。だから、光のエレメントのバリアでダーケルを上空まで押し離す。そうすれば、助かる確率は上がるだろ?」

「……駄目じゃ。そんな事をすれば、お主が助からん。全員生きて帰る為にも、お主一人だけでも残すわけには――」

「ジーリュ。……頼む」


 勇也の覚悟を決めた目。その目を見たジーリュは、勇也とライトスの姿が重なり、これ以上何も言えなかった。

 勇也は目の前に手をかざし光を放つと、光は勇也の姿に変わった。


「この偽物がいれば、皆の目をしばらく誤魔化せるはず。じゃあジーリュ、頼んだ」

「……ああ。お主も気を付けるんじゃ」


 俯いた目でジーリュは応えると、振り向いて皆が向かっている海岸へ飛び、勇也は近くの岩陰に隠れた。


――――――――――――――――――――


「……」


 ジーリュが話し終えると、目を見開かせたレインがジーリュの尻尾の方へ走りだそうとすると、美奈がレインの腕を掴んだ。


「美奈……どうして……?」


 レインが訊ねると、美奈は俯いたまま何も言わず首を横に振った。

 腕を掴んでいる手を震わせながら。

 他の皆も何も言わず、ただ悔しがる顔をしていた。

 レインは皆の気持ちを察し、息を荒くして島に残っている勇也に目を向け大粒の涙を流す。


「勇也ぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 レインの叫びは島には届かなかったが、勇也には聞こえた。


「ゴメン、レイン……。ゴメン、皆……」


 勇也は涙をグッと堪えてダーケルの元へ歩く。


「すいませんライトスさん。また光のエレメントは途切れそうです」


 勇也は全身にエレメントラインを出すと大きく息を吐いた。


(保ってくれ、俺の体)


 背中に光の翼を生やすと、勇也はダーケルに向かって飛びライトカリバーを突き出す。


「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 ライトカリバーの先端から光のバリアを何重にも張り重ねると、ダーケルに激突する。


「うぐっ!!」


 エネルギーが溢れ出るダーケルを押し出し、そのまま上空へ向かって飛んだ。

 ジーリュの背に乗っている皆も目で追い、とうとう雲の高さまで飛び上がった勇也は雲の中へ突っ込んだ。

 皆が息を呑みしばらくした時だった。

 一瞬、雲の中から強い光が放たれた次の瞬間、視界を覆うような巨大な爆発が起こり、雲は吹き飛び、爆風はジーリュの元にまで届いた。


「うおおおっ!?」


 ジーリュはバランスを崩すもすぐに体制を直した。

 爆発の直後、レインは勇也の名を叫んだが、爆音によってかき消されていた。

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