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第三十三幕 絆で結ばれた必殺剣…悪を滅ぼす最強の奥義炸裂す!

事件解決へと一歩前進した流ノ介たちを余所よそに、怒りをあらわにして流ノ介に刃を向ける朧影烈堂は妖術を施して全滅させようと攻撃をしていくが…流ノ介たちは朧影烈堂の攻撃を避けながら反撃を開始していった。

しかし、朧影烈堂の圧倒的な攻撃力を前に悪戦苦闘をするも…何とか切り抜けて戦い続けていくが、烈堂の妖術攻撃には全く歯が立たす…苦戦を強いられていくのであった。

そんな中、流ノ介たちの窮地を救ったのは…蒼太の毒を消す為に薬草を探しに出掛けた晴明たちや蟆駄羅八部衆討伐に出掛けていた正親たちだった。

そして遂に、蒼太を除く全ての仲間が此処に集結したのである…。

「流ノ介、それにみんな無事か…。」

「せ、晴明様…。それに、正親様たちまで来られたと言う事は…やはり闇の陰陽師の事で参られたのですか。」

「ああ…。あれから虎狼館の事件が気になって、何だか嫌な予感がしたので…用事を早めに切り上げて流ノ介たちの所へ来てみれば、まさか闇の陰陽師が来ていたとは予想だにしていなかったが…兄弟子はあの闇の陰陽師の事をご存じなのですか。」

「と、言うよりも…晴明も朧影烈堂の事は知っている筈だ。奴は五年前に京の都を闇の世界に変えようとしていた張本人でもあり…帝様の命を奪おうとしていた極悪人だからな。」

「その闇の陰陽師である朧影烈堂が…我々の目の前に居るのですね。」

「その通りだ…。まさか、五年前に消息不明となっていた朧影烈堂が…闇の陰陽師として現れるなど予想もしなかった。」

「ですが、五年前に姿を消した筈の朧影烈堂が…どうして突如現れたのでしょうか。」

「せ、晴明様…。」

すると突然、流ノ介が霊冥召喚符を使って朧影烈堂を呼び出し…事件の真相を突き止めようとして自ら呼び出したのだと流ノ介は晴明に話したのである…。

「そうか…。だが、帰って朧影烈堂を呼び出したのは正解のようだな。」

「どう言う事ですか…。」

「お前にもあらかじめ話したとは思うが…朧影烈堂は元々京の都で名を馳せた天才陰陽師と呼ばれた男だ。しかし、ある事件が朧影烈堂の運命を狂わせてしまおうとは…恐らく本人も予想だにしなかっただろうな。」

「晴明、これからどうするんだよ…。相手は闇の陰陽師たがら…相当手強いかも知れないぞ。」

だが、それでも晴明は朧影烈堂との戦いは…決して避けられないのだと導満たちに話すのであった。

「それは分かっている…。だがな、相手が闇の陰陽師だろうが誰であろうが…俺は必ず目の前の敵を倒さなければならないんだ。」

「しかしだなぁ…奴は京の都を闇に変えた化け物みたいな存在だぞ。晴明一人で戦う事は決して許さんぞ…。」

「しかし兄弟子…私は闇の陰陽師である朧影烈堂が如何なる手段を使おうと、同じ陰陽師として戦わなければならない宿命にあるのです…。」

晴明は朧影烈堂との戦いは…言わば光と闇の戦いであると正親に言い放つのだが、正親は晴明の言葉に突き動かされたのか…朧影烈堂との戦いを承諾したのであった。

「分かった…。お前がそこまで言うのであれば、全力を尽くして思う存分戦うがいい…。」

「ありがとうございます…兄弟子。」

「俺も戦うぜ…晴明。お前一人で戦わせる訳にはいかないからな。」

「そうですよ…。晴明様には私たちがいます。それに、これまで一緒に戦った仲間じゃないですか…。」

「晴明殿ばかり戦うなど、この佐々木兵馬…断じて許しませんぞ。」

「この太公望も、晴明様と共に戦います…。」

「晴明様、飛鳥も一緒に戦います…。もし、晴明様の身に何か起きたら…。」

「飛鳥、心配するな…。戦う時はみんな一緒だ。」

「晴明殿、この結城拓真も参戦させて下さい…。」

「同じく…葛葉隼人助も戦わせて下さい。」

「晴明様、初音も一緒に戦いとう御座います…。」

「晴明殿…拙者左源太も共に戦いますぞ。」

すると、何処からか聞き覚えのある声が晴明の耳に届いたのであった…。

「晴明様…この西堀涼汰にしほりりょうたも参戦させていただきます。」

そこに現れたのは、かつて晴明に命を救われた元盗賊で…今では軽業師〔現在の大道芸人〕の西堀涼汰が助っ人として参戦したのである。

「おお…涼汰ではないか。こいつは思わぬ助っ人の登場だな。」

「晴明様、何やら怪しい雰囲気が漂っているみたいですが…この涼汰が参りましたからには、晴明様のお力になりましょうぞ。」

「そいつは助かった…。涼汰が居ればまさに百人力だな…。」

「晴明殿、その御仁はいったいどなたに御座いますか…。」

兵馬は晴明に涼汰の事を問い掛けると、晴明は涼汰がまだ十代の頃に妖怪集団に取り囲まれて瀕死の状態になっていたところを晴明が助け、それ以来晴明は涼汰を実の弟の様に可愛がっていた事があり…今では晴明の助手として活躍しているのだと言う。

「ああ…彼は西堀涼汰と言って、今では私の弟の様な存在だ…。こう見えても、涼汰は大道芸人でありながら剣術の達人でもあるんだ…。」

「そうで御座いましたか…。涼汰殿が我々の仲間に加われば…これこそまさに天を味方につけたのも同然に御座いますな。」

「涼汰、この世に平和をもたらす為に…私と共に戦ってはくれぬか。」

「任せてください。この西堀涼太…兄上の為ならどんな困難でも立ち向かう所存に御座います。」

「そうか…。それでこそ我が弟だ…。みんな、今日から涼太は我々の仲間となった。これで、闇の陰陽師である朧影烈堂との決戦を迎える事が出来る…。それぞれ気を引き締めて戦い挑もうではないか…。」

『承知いたしました。』

そしていよいよ…晴明たちは闇の陰陽師である朧影烈堂との決戦を迎えようとしていた。

「朧影烈堂…お前の好き勝手な真似は断じて許さない。潔く天の裁きを受けるがいい…。」

『ふっ、貴様が噂の安倍晴明か…。仲間を引き連れてこの朧影烈堂に戦い挑もうとは…相当勝つ自信があると見える。だが、貴様たちが幾ら束になって掛かって来ようと…この朧影烈堂に勝てる筈もあるまい。』

「何だと…。それはいったいどう言う意味だ。」

『貴様はまだ何も気付いていないかも知れないが、お前の身体には〔大物主神おおものぬしのかみ〕〔蛇神へびがみ蛇体じゃたいで岩窟に住む。守護神として信仰されるが同時に祟り神。魔物の頭目〕のたましいが宿っているのだからな…。』

「烈堂…それはいったいどう言う意味だ。」

「馬鹿な事を言うな…。晴明様に限って…その様な禍々しい化け物の魂が宿っているなど、信じる訳が無いだろう。」

『だったら、貴様たちにその確たる証拠をご覧に入れようぞ…。』

すると朧影烈堂は、印を結んで呪文を唱え…晴明の身体に宿っている大物主神の魂を呼び寄せようとしていた。

常闇とこやみより現れ出でし暗黒あんこくの神・大物主神よ…。今こそ安倍晴明の身体よりその姿を見せるがいい…。』

烈堂が呪文を唱え終えると…晴明の身体から禍々しい漆黒の塊が現れ、徐々にその姿を現す事になる。

「ぐわぁぁぁぁ…。」

「せ、晴明殿…。」

「兄上っ…。」

「晴明様ぁぁ…。」

晴明の身体から現れた大物主神の魂は、その姿から想像を遥かに超える醜い蛇神として現れ…正親たちはただ圧倒するばかりだった。

「あれが…大物主神の真の姿なのか。」

「晴明様の身体から、あんな化け物が宿っていたとは…。」

「う、嘘だろ…。」

「そんな馬鹿な事があってもいいのか…。」

「やめろっ、朧影烈堂…。いい加減に晴明を元の姿に戻せっ…。」

『残念だが、もはや安倍晴明は貴様たちの事など…すっかり忘れておるわ。』

「何ぃぃぃ…。」

既に晴明は、大物主神の魂に支配されており…過去の記憶は徐々に消されようとしていた。

「晴明っ、しっかりしろ…。いい加減に目を覚ませよ…。」

「兄上ぇぇぇ…。」

すると突然、涼汰が朧影烈堂に朧影烈堂に向かって突進して行ったのである。

「てめぇ…兄上を元に戻しやがれぇ。」

『若造の分際で、この朧影烈堂に楯突こうと言うのか…。ならば、貴様もあの男同様邪悪の神を呼び寄せ…地獄の渦中へと導いてしんぜよう。』

「無駄な悪あがきを…。てめぇみたいな狼虎ろうこ〔狼と虎。残忍で欲深い者の意。〕は…あの世へ行って閻魔大王様の裁きを受けやがれぇ。」

涼汰は持っていた武器《銘刀獅子王めいとうししおう》で朧影烈堂に斬り掛かろうとしていた。

「南無八幡大菩薩…。今こそ我に、毘沙門天の力を与えたまえ…。」

涼汰が放つ必殺剣《雷火龍神斬らいかりゅうじんざん》が朧影烈堂を目掛けて炸裂し…それと同時に涼汰は正親たちに一斉に霊気を送り込みように促していったのであった。

「正親様、それに皆さん…。今のうちに皆さんの霊気を私に送って下さい。」

「涼汰殿、その様な事をすれば…お主まで死んでしまうのだぞ。」

「その心配には及びません…。私は兄上から全ての技や術を教わりました。なので、今すぐこの銘刀獅子王に全霊力を注いで下さい…。」

「…分かった。お主の言う通り、我々の霊力を銘刀獅子王に注ぐ…。飛鳥どの、そなたは晴明の事を頼む…。そいつを守れるのは飛鳥どのただ一人だ。」

「しかし、正親様…。」

「いいか、晴明はそなたの事を心の底から信頼しているんだ…。だから、飛鳥どのは晴明の事を念じながら信じるんだ。」

「分かりました…。」

そして正親たちは、涼汰に向けて全霊力を注ぎ込み…闇の陰陽師・朧影烈堂に向かって必殺剣を繰り出していったのである。

太極神明流奥義たいきょくしんめいりゅう雷火龍神斬らいかりゅうじんざん。」

涼汰の太極神明流奥義…雷火龍神斬が朧影烈堂に命中し、これで万事解決したかに見えた…。

だが、朧影烈堂は全くの無傷のまま…不気味な笑みを浮かべながらこう言い放ったのである。

『馬鹿め…。その程度の攻撃で、この朧影烈堂を倒したつもりか…。さて、そろそろ貴様たちに我が術であの世へ行ってもらおうか…。』

烈堂は窮地に立たされた晴明たちを闇の陰陽術で全滅させようとしていたが、そんな矢先に突然晴明が大物主神の呪縛を自ら解放していき…正親たちの窮地を救う事になるのであった。

「朧影烈堂、こいつ等には手を出すんじゃねぇ…。」

『そ、そんな馬鹿な…。大物主神の呪いを受けている筈なのに、自ら呪縛を解き放つとは…。』

「烈堂…そう易々と蛇の化け物の呪いなんざ、この安倍晴明には通用しないんだよ…。」

「晴明…お前元に戻ったのかよ。」

「ああ…。これくらいの事でくたばる様な安倍晴明じゃないぜ。」

「兄上ぇぇ〜。」

「涼汰、心配かけてすまなかったな…。だが、もう迷いは吹っ切れた。蛇の化け物に支配されようが、冥府十神に戦い挑まれようが…魔界の王・婆沙羅将軍の脅威に晒されようが俺は最後まで戦い抜く。それが、天より与えられし宿命でもあるからな…。」

「晴明、やっと答えが見つかったようだな…。」

「兄弟子、もはや何も恐れる物はありません…。これで、闇の陰陽師・朧影烈堂を倒す事が出来ます。」

「しかし、お前一人では烈堂を倒せないぞ…。」

「大丈夫です。私には強い味方がいます…。涼汰、力を貸してくれ。どうしてもお前の力が必要なんだ。」

「兄上…。分かりました、兄上の為なら…命を掛けて一緒に戦います。」

「晴明、何か策でもあるのか…。」

導満は晴明に、涼汰とどうやって朧影烈堂に戦い挑むのかを問うと…晴明は涼汰と密かに編み出した必殺剣で朧影烈堂を撃滅させると言うのである…。

「晴明様、本当に朧影烈堂を倒せるのですか…。」

「拓真殿、心配召されるな…。不可能を可能にするのが陰陽師としての役目だからな。」

「さすがは晴明様…。それでこそ、晴明様は日本一の陰陽師に御座います。」

「晴明殿、あまり無理を為さりませぬ様に…。」

「ありがとう、兵馬殿…。心から礼を申す…。」

「兄上、そろそろ参りましょうか…。」

「ああ…。涼汰、決して気を抜くんじゃないぞ。」

「分かりました…。」

そして遂に、晴明と涼汰の合体必殺剣が朧影烈堂の前に繰り出されようとしていた…。

「天空より舞い降りし陽の力を司る白龍よ…。」

「奈落より這い上がりし陰の力を司る黒龍よ…。」

『天と地を司る二匹の神龍よ…今こそ一つに交わる時、全ての敵を斬滅せん。陰陽道究極奥義・太極双龍八卦斬たいきょくそうりゅうはっけざん。』

晴明と涼汰が繰り出した太極双龍八卦斬は、陰と陽を司る二匹の神龍・白龍と黒龍の幻影が回転しながら一匹の破壊龍となって交わり…その威力は全ての大地を揺さぶり、激しい衝撃波によってあらゆる魔物を全滅させる必殺剣なのである。

「やったか…。」

晴明は、朧影烈堂を完全に撃滅させたと確信したかに見えたが…このあと晴明たちも驚愕する出来事に遭遇するのだが、この続きは次回明らかになる…。







第三十四幕に続く…。


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