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お説教の時間です!!(前編)

=友樹視点=


「友樹、朝だよー!休みだからって遅く起きるのは堕落への第一歩だよっ!」


俺はイオに体を揺さぶられて渋々起きる。

今日は休みだから遅くまで寝かせて欲しいんだけど…。


「ほらほら!朝ごはんも出来てるよ!」


そう言われてみると、たしかに白米の良い匂いがする。

てっきりイオの事だから、朝はパン派なのかと思ってた…だって明らかに外国人だし、昨日はパンだったしね。

俺はベッドから体を起こして洗面所に向かい、歯を磨きながら昨日の事を思い出す。

それにしても、本当に昨日は大変な一日だった…。

朝はイオに色々聞かせてもらって、昼は糸島さんと遠賀課長の関係を疑って脳が破壊されて、家に帰ったらイオに催眠をかけられて糸島さん家に行かされて、危うく取り返しのつかない事になりかけて…糸島さんと遠賀課長の関係が分かったと思ったら新たに4人の天使と知り合って、最後にイオに土下座された。

なんか…今思い返してみると、7割ぐらいイオが原因な気がする…本当にあっさり許して良かったのか、今になって後悔してきたかも。

そんな事を考えつつ歯磨きを終えて戻ると、イオが丁度テーブルに朝ごはんを置き終えたところだった。


「丁度準備が出来たよ!ほら、座って座って!」


イオはエプロンをつけて笑顔で手招きしてくる。

昨日の事があったから、てっきり今朝もしおらしい態度だったりするのかと思ったけど、反省しつつも落ち込んだ顔を見せない様にしたのか?

まあ、朝から暗い顔されてたら俺もちょっと罪悪感感じるしな。


「ああ、ありがとう。」


俺はテーブルの前に座る。

イオも台所にエプロンを置いて来てから、テーブルの前に座った。


「それじゃあ手を合わせて、いただきます。」


「いただきます!」


俺の後に続いて、イオも挨拶をする。

今日の朝ごはんは、白ご飯に味噌汁、目玉焼きにウインナーとシンプルな朝食だが、逆に休みの日の朝はこれぐらいが丁度良い。


「あっ!そういえば今日の監視は夏弥が来るんだって!」


「夏弥?」


朝食を食べ進めている途中に、イオがそう言って来た。

夏弥…って誰だ?たしか遠賀課長も言ってたよな?


「夏弥はねぇ、昨日チラッと見かけたと思うけど、目つきの悪いオジサン天使だよっ!」


目つきの悪いオジサン天使…たしか昨日見た4人の新しい天使の1番後ろにいた天使がそんな感じだったな。

1人だけ男性の天使だったから記憶に残ってた。

あと…なんか昭和の怖い上司って感じで、ちょっと怖かったし…。


「あ、あの人が来るのか…。」


「あれっ?もしかして苦手だった?大丈夫だよー、夏弥は見た目が怖いかもしれないけど、中身は面倒見の良いオジサンだから。ちょっと口うるさいけど。」


「口うるさいのか…。」


目が鋭いし、スーツとか着たら暴力団の若頭に見えなくもないんだよな…それぐらい威圧感があると言うか、単純に怖いと言うか…。

いやいや!遠賀課長も見た目はチャラいけどかなり部下想いの良い人だし、夏弥って人も面倒見がいいタイプの人かもしれないだろ!

俺はそんな事を思いながらご飯を食べる。

願わくば本当に良い人でありますように…怖いだけの人ではありませんように!


数十分後、ご飯を食べ終わってイオとまったりしてると、家のチャイムが鳴った。


「あっ!夏弥が来たのかも。」


そう言いながらイオは玄関に小走りで向かう。

とうとう来たのか…正直心の準備は出来てないけど、イオの友達(?)なら大丈夫と信じたい。


「友樹ー!夏弥が来たよー!」


「お邪魔します。」


イオが夏弥と呼ばれている男性を連れて来た。

うん…改めて見てもちょっと怖いな。

それに服装が、白のシャツに黒のジャケット、ストレートパンツと、カジュアルな服装なのがイケおじ感を醸し出してる。

顔もなんだかんだイケメンだし、絶対オジサン好きにモテるタイプだ。


「ほら、夏弥も座って座って!」


イオが夏弥さんを俺の向かい側に座らせると、イオは何故か俺の方にやって来た。

なんか言いたい事があるのかと思ったら、イオは胡座をかいている俺の足の上に座ってきた。


「い、イオ?」


「…何やってんだお前。」


俺と夏弥さんが、イオのいきなりの行動に疑問に思って問いかける。

昨日までは、ここまで密着してくる事は無かったんだけど、いきなりどうしたんだ?


「ん〜、別に?ただ友樹に甘えたいなーって思っただけだけど?友樹は嫌だった?」


イオは俺の顔を見上げながら聞いてくる。


「嫌ではないけど…。」


「なら問題ないね♪」


イオはニンマリと笑って前を向いた。

まあ、男と言ってもイオみたいな美少女(?)になら、膝の上に座られても嫌な気持ちはしないけどさ…。

けど昨日の事があるから、逆に何か企んでそうで不安もあるんだよなぁ…。


「…とりあえずイオの事は置いとくとして、昨日は出来なかった自己紹介だな。俺は夏弥だ。長い付き合いになると思うからよろしく頼む。」


「は、はい。よろしくお願いします。福岡友樹と申します。」


それにしても夏弥って日本人の名前だよな…。

そんな名前の天使いる訳ないし…人に紛れて暮らすための偽名か?


「友樹は疑問に思ってるかもしれないけど、夏弥は日本人だよ。元人間の天使。」


「あっ、やっぱりそうだよな。」


イオが下から俺を見上げながら言ってきた。

偽名じゃなくて、やっぱり日本人だったか。

それにしても天使って人間がなれるものなのか?確かに死者の魂をあの世に連れて行くみたい描写も、漫画とかで見た事あるけど。


「せっかくだから友樹には軽く天使について話をしとこうかな。まずね、天使には上位天使、中位天使、下位天使の3つに分かれてて、更にそこから上位天使は『熾天使セラフ』『智天使ケルプ』『座天使ソロネ』、中位天使は『主天使ドミニオン』『力天使ヴァーチャー』『能天使パワー』、そして下位天使に『権天使プリンシパリティ』『大天使アークエンジェル』『天使エンジェル』って感じに、それぞれが3つの階級に分かれてるの。これを纏めて『天軍九隊』って呼ばれることもあるけどね。」


天使ってそんなに種類あったのか。

熾天使はよくアニメとかゲームで聞いてたけど、天使の中で一番上の立場だから話が作りやすいのかな。

他の天使の階級はあまり聞いた事ないけど。


「ついでにボク様は上位天使の智天使だよ!その上、智天使のリーダーである長だから、すっごく強くて偉いんだからね!」


イオが自信満々な様子で自分の胸に手を置く。

改めて説明されると、上から2番目の階級の長なら確かにイオが自信満々になるのも理解できるな。


「それで?元人間の天使はどの辺りになるんだ?」


「元人間は下位天使の天使と大天使になるね。この2つの階級は元人間しかいなくて、基本は最下位の天使なんだけど、才能のある天使は大天使に昇格させる事もあるよ。まあ大天使になれるのは一部の天使だけで、ほとんどは天使のままだけど。」


まあ…そうだよな。

流石に生まれながらの天使には敵わないよな。

それでも人間が天使になれるだけでも凄いとは思うけど。


「天使になる条件は幾つかあるけど、必ず善性と人間を愛して導く心が無いと天使にはなれないから、夏弥の顔が怖くても安心して良いよ。口煩いけど根は優しい奴だし。」


「口煩いは余計だ。お前が変な事をしなかったら俺だって何も言わねーよ。」


イオの最後の一言に夏弥さんがツッコミを入れる。

まだイオと会って3日目の俺でも、イオは碌なことをしないって分かったから夏弥さんのツッコミも納得だ。


「今友樹に教えられる天使の事についてはこれくらいかな。あとはその時に必要なら教えていくから安心してね!」


そう言いながら、イオは俺の胸板にグリグリと後頭部を押し付けてくる。

本当に今日は甘えたい感じを出してくるな。

昨日はどっちかって言うと健気さを感じてたけど、こっちが素なのか?

体も幼いし、今の方がしっくりはくるけども。

俺がそんな事を考えていると、家のチャイムが鳴った。


「あれ?今日は他に誰かが来るとは聞いてないけど…友樹、今日は誰かが遊びに来る予定とかあった?」


「いや、予定とかは何も無いはずだけど…。」


「宅配かな?ちょっと出てくるねー。」


そう言ってイオは俺の膝から立ち上がって、玄関に小走りで向かった。

イオがいなくなって、俺と夏弥さんだけの空間になって沈黙が部屋を支配する。

流石に今日あったばかりの人と2人きりはキツいんだけど…。

俺は気まずい空気を誤魔化そうと、一口お茶を飲む。


「あー…友樹…で良いか?」


「うぇっ!?あっ!はいっ!!友樹で大丈夫です!」


「なら友樹って呼ばせてもらうな。改めて夏弥だ。呼び捨てで呼んでくれて良いからな。」


そう言って夏弥さんは口角を上げて笑うけど、あまり笑い慣れていないのかちょっと怖い。


「さ、流石に年上の方を呼び捨てはちょっと申し訳ないと言いますか…すみません…。」


「ああ、流石にいきなり呼び捨てはきついか。友樹は今いくつなんだ?」


「えっと…今は27歳です。」


「まだまだ若いな。俺は享年38歳だ。」


夏弥さんは笑いながら言うけど、享年で年齢を教えられても笑えないんだけど。

ブラックジョークの返し方ってどうすれば良いんだ?

「へー、働き盛りの年齢で亡くなったんですね。過労死ですか(笑)」とでも言えば良いのか?

いや、流石にブラックジョーク通り越して無神経なだけか。


「あー…面白くなかったか?悪い、こういう場を和ませるのは得意じゃなくてな。」


俺が反応を返せないでいると、夏弥さんはバツの悪そうな顔で頭を掻く。


「い、いえいえ!俺も上手く返せなくてすみません!」


「いや、別に友樹が謝る事じゃねーよ。俺は死んだのが1900年代だったから、ちょっとギャグの価値観が古いのかもな。」


いや、価値観の問題じゃない気がするけど…それは黙っておこう。


「そうだ、携帯の番号を交換しないか?天使を知ってる人間は多く無いからな。せっかくだし連絡先を知っておきたい。」


そう言いながら、夏弥さんはスマホを取り出す。

携帯番号の交換かー…大人になってから携帯番号の交換なんて滅多に無いから、少し…いや結構嬉しいかも。

最近は携帯の番号の使い道なんて、何かの契約をする時しか無かったし。

まあ、学生の時代に番号を教える機会があったかと言うと、ほとんど無かったんだけどさ…。

俺は充電していたスマホを取ると、夏弥さんと番号を教え合った。


「まあ、こんな俺だがこれからよろしく頼む。イオの奴は結構騒ぎを起こすから、何かあったら相談してくれ。もちろんイオ関係無く相談とか話がしたい時でも連絡して良いからな。」


「あはは…わかりました、ありがとうございます。何かあったら相談させてもらいますね。イオについても…確かに俺と会って2日目で騒ぎを起こしてますからね。」


「本当にトラブルメーカーだよ、あいつは。天使学校の時も…。」


そう夏弥さんが話しかけた時、玄関が勢いよく閉まった音がしたかと思うと、イオが走って戻って来た。


「2人とも!敵襲だよ、敵襲!防衛準備をしてっ!」


どうやら早速イオが騒ぎを起こして来たみたいだ。

それにしても、本当にイオは連日騒がしいな…退屈はしなさそうだけど。

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