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境界に立つ者たち  作者: 麻婆豆腐


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観測記録:学園の外から



①:納得した者


かつて助役だった男は、

地方の研究機関に移っていた。


新聞を広げる。


「学術都市エイドリア

内部不祥事、全容公開へ」


記事を読み終え、男は息を吐く。


「……そうか」


怒りはない。

悔しさもない。


ただ、遅れて理解した。


「あれは、前進じゃなかった」


学園を離れて初めて、

学園が人を守る場所だったことを知る。


男は新聞を畳み、

今日の研究に戻る。


少しだけ、歩幅を落として。


⸻


②:批判し続ける者


別の街では、

元教官が筆を走らせていた。


「エイドリアは偽善だ」

「効率を捨て、国力を衰えさせる」


記事は辛辣だった。


彼は今も信じている。

自分は正しかったと。


だが——


その論文を、

読む者は年々減っていった。


彼自身は気づかない。


人々が離れている理由を。


⸻


③:どちらでもない者


ある者は、

ただ静かに生きていた。


学園を離れ、

商いに就き、

家庭を持つ。


新聞の見出しを眺めて、

小さく呟く。


「……あの場所は、

 やっぱり特別だったな」


それ以上は考えない。


だが、

心のどこかで思っている。


「戻る場所がある」ということを。

 

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