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境界に立つ者たち  作者: 麻婆豆腐


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123/135

第121章 責任を引き受けるもの

第121章 責任を引き受ける者

王宮・謁見の間。


装飾も、儀礼も、最小限だった。


皇帝は、玉座から降りていた。


——それだけで、場の空気が変わる。


校長アルケオンの前に立ち、

皇帝は深く頭を下げた。


「……すまなかった」


その声は、低く、はっきりとしていた。


「私は、学園を信じていた」


「正確には——

 信じているつもりで、見ていなかった」


一瞬、言葉を切る。


「恩師であるあなたが守っている場所だ」


「だから大丈夫だと、思い込んだ」


「それは、皇帝としての怠慢だ」


誰も、息をしなかった。


⸻


皇帝は、顔を上げる。


「今回の事故は、

 王宮軍部の一部が関与していた」


「国家が、学園に手を伸ばした以上」


「——国家には、

 真実を知る義務がある」


視線が、まっすぐ校長を射抜く。


「禁忌魔法の使用を、正式に承認する」


「条件は一つ」


「学園のためではない」


「国家のためでもない」


「——犠牲になった者たちとこれから被害をくいとめるためだ」


副校長ミレーヌが、静かに息を吐いた。


⸻


皇帝は、もう一度だけ言った。


「私は、学園に責任を押し付けない」


「だが、同時に」


「国家も、逃げない」


「この件は、

 “事故”では終わらせない」


その言葉は、宣言だった。


⸻


校長は、ゆっくりとうなずいた。


「……承知しました」


「真実を、明らかにします」


その背中を見ながら、

皇帝は思った。


——信じるとは、

 任せきることではない。


——責任を引き受けることだ。


禁忌魔法の承認書が、

その場で発行された。


封印は、重く。


だが、必要な重さだった。


ここから先は、

誰も目を逸らせない。


真相は、

ついに“見られる側”へ進む。

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