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第九十八話


「遥…… 大したもんだ。まさかジャンを倒すとは」


 マリー王女が胸を苦しそうに押さえながら遥に声をかける。


「あ! マリーさん。大丈夫ですか? 」


「ああ、大丈夫だ。今、回復薬を飲む」


 そう言いながらマリー王女は回復薬を飲み干した。彼女の体が光り輝く。どうやらダメージを回復したようだ。


「これで大丈夫だ。ほんとよくやったな。遥、あのジャンを倒すとは、驚いたぞ」


「いえ、マリーさんがHPを削ってくれたおかげです。だけど、おじさんからリカルダさんの居場所を聞くことが出来ませんでした」


「うむ、ではあの先に進んでみよう」


 マリー王女が指差した方を向くとそこには扉が見えた。そしてその扉は開いていた。


「あの扉、ジャンを倒したから開いたようだ、あの先にそのリカルダという女性がいるかもしない。行ってみよう」


「はい!」


 遥は扉に向かって歩き出した。が、それをマリー王女が止める。


「ちょっと待て、遥、念の為ジャンが本当に死んだのか確かめる」


 そういうとマリー王女はジャンの首筋に指を当てる。


「うむ、どうやら本当に死んでいるな」


「行きましょう!」


 遥とマリー王女は先を急いだ。




「マリー王女、あそこに扉が!」


 マリー王女と遥が扉の中に入ると中は石壁に囲まれた洞窟だった。そして、その洞窟を進んでいくと行き止まりに扉があった。


「よし、入ってみよう」


 遥と王女はその扉を開け、中に入った。中はいくつもの鉄格子のついた部屋があった。


「む、どうやらここは牢屋のようだな」


「ええ、なんか不気味な感じですね」


 二人が牢屋の中を確認しながら進んでいくと、先の方で女性の呻き声が聞こえた。


「う、ううう。だ、だれ? 誰かいるの?」


 遥はその声に聞き覚えがあった。


「今の声はもしかして!」


 遥はその声の主の場所まで走り出した。そして牢屋の中を覗き込む。


「リカルダさん!」


 牢屋の中にいたのはリカルダだった。彼女は壁から鎖が出ている頑丈な鉄の手錠に繋がれていた。


「は、遥!」


「マリーさん。いました。リカルダさんが!」


「遥、ちょっと下がってろ! この牢屋の扉を壊す」


 遥が後ろに下がるとマリー王女が斧で扉の錠を壊した。そして扉を開け中に入るとリカルダを繋いでいた鎖を斧で破壊する。


「これで大丈夫だ」


「あ、ありがとう…… あなたは?」


「私はマリー・ヴィランクだ。マリーでいいぞ」


「マリー・ヴィランク…… まさか、あなたはイスカグラン国の第一王女のマリー・ヴィランク王女? なぜ、あなたがここに?」


「ああ、訳あってな。今は遥と龍斗と一緒にアメデ ・シソッコを追っている」


「……アメデ ・シソッコ。奴ならこの先にこの屋敷に出る扉があります。そこから奴の部屋にいけるはずです」


「リカルダさん。大丈夫ですか?」


「ああ、ありがとう。遥、それより早くここを出よう。ここにはあの伝説の殺し屋ジャン・ドラットルがいるの。私はそいつにここに連れ去れてきたのよ。あいつの強さは尋常じゃない、早くここから逃げましょう」


 リカルダが遥の肩を掴んで一緒に牢屋に出ようとした。だが、それを遥が止めた。


「リカルダさん。大丈夫よ。そのジャンっておじさんなら私とマリーさんで倒したから」


「なに! それは本当か?」


「ええ、だから慌てないで、私たちはアメデ ・シソッコを捕まえないといけないの」


「わ、わかった。私がアメデ ・シソッコの元まで案内する」


「リカルダとやら、ありがたい」


 リカルダがマリー王女を見て頷いた。


「いいのよ。さあ、行きましょう」


 遥たちは牢屋を出ると突き当たりの扉を開け屋敷の中に入っていった。




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