第九十一話
カルラが剣を斬り下ろそうとした瞬間、エリノルがニヤリと笑った。
「なに!」
その顔に驚いたカルラだったが、攻撃を途中で止めることはできない。そのまま振り切った。しかし。エリノルはその剣を難なくかわすと、後ろ回し蹴りをカルラの脇腹に食らわす。
「ぐは!」
後ろ回し蹴りを食らったカルラはヨロヨロと後ろに下がるとエリノルは「バーンブレスト」を放った。
カルラは光刃を片手剣『蛇龍柔剣』で受けるが、その威力に押されて吹っ飛ぶ。
そしてヨロヨロと立ちがるとエリノルを睨みつけながら叫んだ。
「貴様!なぜだ毒に犯されているはずだ! なぜ動ける」
カルラの問いにエリノルはニヤッと軽く笑いながら答えた。
「残念ね。私には『神の加護』の魔法がかかっているのよ」
「なに?『神の加護』だと …… どんな状態弱化も跳ね返すと言われたラビスト教会独自の魔法。 そうか。貴様、教会のエクソシスト か」
「そう、だけど運が良い。私が『神の加護』が使えるようになったのはついさっき、この山に登ってくる途中でレベルアップしたからよ」
「く…… しかし、『神の加護』は状態弱化を回復する魔法ではなく、防ぐ魔法、ならば私のスキルを食らう前にかけなければいけないはずだ…… 貴様、いつその魔法をかけた」
「それはさっき、煙に包まれていた時よ。チャンスと思い咄嗟に魔法をかけたの」
「そうか…… あの時……」
カルラは先ほどエリノルが煙に包まれていた時のことを思い出していた。
「だが、それだけでは説明がつかん。なぜ私のスキルに毒効果が付与されているとわかった。それを知らなければ私の目を盗んで『神の加護』をかける理由がない」
「フフ、それはあなたのお姉さんが、最初に自分たちの武器の名前を言ったからよ。私たちエクソシストは呪いや病気を治すことが仕事よ。そのため状態弱化について、徹底的に勉強する。どんな武器やアクセサリー、道具に状態弱化の効果が付与されているか……とかね。私はね、あなたの武器『蛇龍柔剣』がスキルを放つと毒効果が付与されている事を知っていたの。残念だったわね」
「貴様!」
「敵を舐めているからそういう目に合うのよ。次から気をつけることね。…… いや、次はないけどね」
エリノルがカルラに斬りかかる。カルラはその攻撃を避けようとするが先ほどのバーンブレストのダメージが残っていて足に力が入らない。
ズバッと肉が切れる音が聞こえる。カルラの右肩から腰までエリノルの剣が疾った。
「ぎゃああ」
カルラが叫びながら天を仰ぐとそのまま後ろの受け身も取らず倒れた。
エリノルはゆっくりと慎重に近づきカルラの顔を見る。
「死んでる。思っていたより呆気なかったわね……」
エリノルがカルラの死を確認すると、彼女はルイとエーリカの方を見て叫んだ。
「ルイさん! こちらの勝負はつきました。今から応援に行きます!」
「ナイスです! エリノルさん!」
ルイが笑顔でエリノルを見ている。エリノルはルイの方へと走り出した。
「さあ、あんたの妹は死んだわよ。これで二対一。勝負はついた」




