第二十一話
「うおぉっと」
大砲並みの勢いで突っ込んでくるサンダーバードの攻撃を僕はかろうじて避けた。
はえーな、おい。魔法でスピードアップしてなかったらモロに攻撃を食らってたわ。
思っていたより速いサンダーバードの攻撃に驚いているとエレンミアが心配しているのか声をかけてきた。
「龍斗、大丈夫?」
「ああ。大丈夫だ」
僕はエレンミアの方を見て親指をグッと立てた。
しかし、この塔ってこんなにレベル高かったっけ? そういえば前世のサリウスだった時はレベル幾つでこの塔に挑戦したんだろうか?
え〜と、う〜ん…… 一度しか登ったことないからよく覚えてないけど確かレベル21ぐらいだったかなぁ。それに比べ今の僕は…… 確かさっき一つレベルが上がったからレベル11か。
よく考えたらこのレベルで石の塔の攻略をするって無謀だったかも? ハハ…… よかったエレンミアが一緒で。
ってか昔の彼女のレベルだったら、僕たちはここまで来れなかったんじゃないか、もしかして……
僕は自分の見通しが甘かったのを反省すると同時にエレンミアのレベルが上がってくれていた事の幸運に感謝した。
だが、このままなんの活躍もできないのは癪だな。なんとか今の僕でもこの鳥をギャフンと言わせることはできないだろうか?
そうだ!あれをやってみよう。僕はある作戦を思いついた。でも、う〜ん…… 果たして上手くいくかな。僕は少し悩んだがすぐに開き直った。
「ま、ダメ元でやるだけやってみるか」
そう呟くと僕は右手を前に出し魔法を詠唱する。
「氷柱槍」
魔法を発動すると氷柱がサンダーバードに向かって飛んでいく。しかし、あっさりと避けられてしまった。避けられた氷柱は天井に突き刺さる。
そしてそのままサンダーバードはものすごい速さで鋭い足の爪を向けながら飛んでくる。
「うおっ」
僕はなんとかその攻撃を躱す。だが、サンダーバードの攻撃は止まない。
やばいやばい、このままだといずれは攻撃を食らうな……
キィーーー
サンダーバードは威嚇の声を上げながら向かってくる。僕はそれを見て背を向け走り出した。
「こっちだ。こっちに来い!」
サンダーバードが追いかけてくる。そのスピードは僕の走りよりも早い。このままだといずれは捕まる。だが、実はこれは作戦の内だ。
僕は突然、クルリと振り向くとサンダーバードに向かって剣を投げた。
「おりゃ!」
剣はサンダーバードの顔面に向かって飛んでいく。そして剣が顔面に突き刺さろうとしたその時、サンダーバードは大きな口を開け僕の剣を思いっきり噛んで止めた。その瞬間、バリバリと剣に電流が走る。
「今だ!」
僕は再度、魔法を詠唱する。
「烈火弾」
野球のボール程度の火の玉が僕の手から飛び出す。僕が放った火魔法はレベル1の烈火弾だ。そしてその火の玉はサンダーバードではなく天井に向かって飛んでいく。
「龍斗!どこに魔法を撃ってるの!」
エレンミアが呆れた顔で僕を見ている。それを見て僕はニヤッと口角をあげるとドヤ顔でエレンミアに言った。
「いいのさこれで! ほら火の玉の向かっていく先を見てごらん」
僕がそう言うと皆が天井を見上げた。天井には先ほど僕が放った氷柱が突き刺さっている。その氷柱に火の玉が直撃すると氷柱が溶けて水になった。
そして溶けた水は下に向かって落ちていく。
バシャァ
水はサンダーバードが咥えている剣に落ちた。剣には電気が流れていて水がかかるとバチバチっと音を鳴らす。電流を含んだ水は剣を伝わりサンダーバードの口に流れた。
ギャース!!!
サンダーバードの身体中でバリバリと電流が流れる音が聞こえた。そして全身から黒い煙がモクモクと出すとその場にバタリと崩れ落ちた。どうやら生き絶えたようだ。
作戦が成功してホッとした僕は死んだかどうかを確認するためサンダーバードに近づいた。




