第二十話
「ところで、この階のモンスターはあちこちにいるのになんで同時に襲ってこないのかしら?」
リカルダが不思議そうにエレンミアに質問した。
「ここの階のモンスター同士は縄張りがあるのよ、一つの群が倒されるまで他の群が攻撃してくることはないわ」
「ふ〜ん、なるほどね」
リカルダが納得したように頷くと、フレムハウンドの群がまたも襲ってきた。僕たちは苦戦しながらも群を撃破する。
「お! アイテムが落ちてるぞ」
僕がフレムハウンドが落としたアイテムを拾う。それをリカルダが興味深く見ていたので、僕はリカルダに拾ったアイテムを見せた。
「このアイテムはフレムハウンドがよく落とす、火の石だ」
「火の石?」
僕はリカルダに向かってヒョイっと火の石を投げるとリカルダが両手で受け取った。
「この石、ちょっと熱いわ。でも、これが何に使えるの?」
リカルダから火の石を返してもらいながら説明する。
「これ自体はただの暖かい石だが、でも、別のアイテムと組み合わせて合成するといろんな効果を発揮できるアイテムに生成できるんだ」
「すご〜い! どんなアイテムに生成できるの?」
僕とリカルダの会話を聞いていた姫野さんがどうやらアイテムの合成に興味を持ったようだ。
「う〜ん、色々あるね。でも、この火の石で作るアイテムは大体は攻撃に使用する物がほとんどだね」
僕がアイテムの合成について話していると、どうやらいつの間にか次の階に上がる階段の近くまで来たようだ。エレンミアが皆に声をかける。
「みんな、あそこの階段から次の階に登れるわよ。急ぎましょう」
エレンミアの言葉に皆が従う。そして長い階段を登ると、またも大広間に出た。
「ここも広いね」
姫野さんが大広間を見渡しながら言うと遠くから羽が生えた大きな魔物がこちらに向かって飛んでくる。エレンミアがそれに気づくと大声で叫んだ。
「サンダーバードよ! こいつに噛まれると全身に電流が流れるから絶対に噛まれないようにして」
「電流以前に噛まれたら全身、引き裂かれて死んじゃう!」
姫野さんがサンダーバードの大きさに驚いている。
サンダーバードは大人の男性ほどで普通の鳥の何倍もの大きさだ。そして半開きにしたクチバシから恐竜のような牙が見える。確かにあんなのに噛まれたら一溜まりもないな。僕は姫野さんを守るように前に立ち剣を抜く。
「エレンミア、確か。この階のモンスターはサンダーバード一匹だったよな」
「そうよ。所謂、中ボスクラスのモンスターね。すっごい硬いからちょっとづつ削るわよ。リカルダ、あなたは味方全員に素早さをあげるバフをかけて。私は防御力をあげるバフをかけるから」
「わかったわ」
エレンミアとリカルダが魔法の詠唱を始めた。
「エンタープロテクト!」
エレンミアが味方全員の防御力をあげる魔法を発動。皆の体が一瞬、土色のオーラに包まれる。
「エンターアジェリンター!」
今度はリカルダが味方全員の素早さをあげる魔法を発動した。皆の体が緑色のオーラに一瞬包まれた。
「さあ、これでサンダーバードの一撃を食らっても即死することはないわ。でも、慎重に戦ってね」
「ああ、まずは俺が行く」
僕は皆の前に立ち、気合いを入れてサンダーバードを迎え撃つ。




