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第十一話


 僕達3人が教会に入るとキャソックを着た中肉中背で渋め男が近づいてきた。


「お! 龍斗。お前、とうとう呪いの短剣を使ったのか。」


 男はニヤニヤと笑いながら僕を見ていた。


「はぁはぁ、ベネディクト神父。た、頼む。今日の時のために教会に何度も金を寄付したんだ。の、呪いを解いてくれ」


「ヘイヘイ、了解、了解。任せなって」


 軽いノリな言い方をしながらベネディクト神父は首をコキコキ鳴らし右の肩をぐるぐる回した。それを見てリカルダは驚いた様子で尋ねた。


「ちょっとあんた、呪いを解くの?」


 ベネディクト神父はリカルダの方を向くとアッサリとした口調で答えた。


「ああ、解くよ」


 リカルダはまたも驚いて尋ねた。


「ちょ、ちょっと、あんたこの坊やの呪いはあの呪いの短剣をなのよ。これを解くにはかなりのお金が必要でしょ?」


 ベネティクト神父はリカルダの問いにニヤッと笑いながら答えた。


「ああ、呪いの中でも龍斗がかかっている呪いは結構厄介だからな。それ相当の報酬でなければやれないな。だが、こいつからは十分な金額の寄付を貰っているよ」


 神父の答えにリカルダは少し納得できないようだったが、それ以上聞いても無駄だと思ったのか「そう……」とだけ言うと黙ってしまった。


「さて、龍斗。呪いを解くぞ。ジッとしてろよ」


 僕は両膝をつくと目を瞑った。ベネティクト神父は僕の額に手を当てるとボソボソと何やら呪文を唱える。

すると神父の手が光を放つ。その光は僕を包み込んだ。


 光が消えると僕の体は痛みから解放された。どうやら呪いは解けたようだ。


「助かったよ。ベネティクト神父」


「別にいいけどよ。お前から貰った金額だと呪いを解くのは一回だけだぞ。もう、呪いの短剣は使うなよ。使って呪われても解かないからな」


 ベネティクト神父はニヤッと笑いながら言うと僕は頷いた。


「ああ、わかっているさ」


 そして僕は神父にお礼を行って教会を出ようとするとベネティクト神父が僕を呼び止めた。


「おい、龍斗。無茶するなよ」


「わかってる」


 それだけ言うと僕達は教会を出る。


「黒羽くん、良かった。一時はどうなることかと……」


「心配かけてごめん」


 僕が謝ると姫野さんは慌てて両手をブルブル振った。


「ううん、謝らないで、とにかく元気になって良かったけど。これからどうするの? もう、呪いの短剣は使えないでしょ」


「ああ、だが大丈夫。もう一つ奥の手がある」


「ええ!奥の手? それは何?」


「それはリカルダ。あんたにちょっとした協力をしてもらうよ」


 僕はフフと軽く笑うとリカルダは訝しげな顔で僕を見た。


「私が協力? するわけないじゃない。何を言ってるのかしら?」


「いや、もうすでに協力しているさ」


 そう言うと僕は腰につけている小型のバックから一本の羽根を取り出した。


「黒羽くん、その羽は何?」


 姫野さんが不思議そうな顔で尋ねる。


「これは一度行ったことがある場所に瞬間移動できる魔法のアイテムなんだ。これを使ってあるアイテムを取りに行くんだ。だけど、その場所の行くまでの道のりが今の僕のレベルではとうてい行くことができない場所なんだ。だけど、このリカルダはきっとその場所に行ったことがあるはずだ。だから彼女がいればその場所に瞬間移動できるってわけさ」


「なるほど!」


 姫野さんが感心した様子で僕を見る。僕は少し良い気分で羽根を天に掲げた。


「さ!行くよ」


僕達3人の体は突然、光に包まれる。そしてパッとその場から消えた。



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