004_脱出
すぅーーーー
「はぁぁーーーーーーー」
俺は声が出るくらいの大きなため息を吐き、王国ご自慢のベッドにダイブした。
転生していきなりの事で心身疲れてるはずなのに、妙に頭だけは冴えていた。
首を動かして窓・扉・家具・部屋を見渡し、部屋の作りを見る。
そして目を瞑り、馬車から降ろされ、この部屋まで案内された道順を頭のなかにひいていく。
道順から立体的な建物構造を頭の中で思い描く。
そうして頭の中で出来上がったイメージから、この王白がかなり大きさがある事に感心する。
俺らは城に着いてから、城の上部にある長い廊下へと案内された。
そこには”一”から”八”と書かれた扉が八つあり、先ほど転生した場所の数字の通りの部屋に入っていく。
まるで8人の勇者がこの城にやってくるのが分かってるかのように作られた部屋だ。
まぁ、そのおかげでこうして一息着けるんだがと呟く。
コンコン
ベッドで寝転がっていると部屋の扉を叩く音がする。
侍女の人だろうか何か食べ物の差し入れを持ってきてくれたのかもと期待して、ベッドから這い上がると扉を開ける。
扉を開けると、部屋の前に立っていたのは七乃花だった。
俺が気付いたように彼女も俺の事で何か気付いたのかも知れない。
「あ、あの岡崎さんちょっと話が」
「ハァ」
俺は七乃花にも分かるよう露骨にため息を着きながら、言葉を続けた。
「あのさ、、、、七森さんだっけ?こうして突然、転生させられてよくわからないまま城にいるんだ。助け合いたいっていうのも理解出来なくもないが、今はほっといてくれないか」
七乃花は、俺の露骨な悪態に驚き、たじろいでしまう。
「ご、、、ごめんなさい。でも、どうしても話したい事が・・・いえ確認したい事が」
今までの人生の中でもベスト10に入る悪態だったんだが、、押してダメなら、引いてみるかと次の一手を行動に移す。
「ごめん、色々あって頭が混乱しているんだ。休ませてくれ」
俺はそう言うなり、無理やり扉を閉めた。
七乃花は諦めきれずその場に立っていたが、しばらくすると足音が聞こえ自分の部屋へと戻っていった。
その後、ベッドでボーッとしているとまた扉をノックする音が聞こえる。
「失礼します」
聞いた声に安心し扉を開けると、侍女が立っている。
「お疲れの所、大変申し訳ありませんが、我がアスガルド王が皆様との謁見の場を設けましたのでお越し下さい」
俺はすぐに準備をすると侍女の案内の元、謁見の間へと向かう。
他の勇者達も同様に、それぞれ侍女が謁見の間へと案内されてきた。
その中に七乃花の姿を見つけ、これ以上藪蛇にならないよう疲れきっている素振りをしようと決める。
ただ実際に疲れていたのは本当だった。
全員が揃うと、玉座の脇の扉から王が入室してくる。
「おお、よく来て下さった勇者達よ。我がアスガルド王国は王国設立以来、勇者達のはじまりの場所として…」
王の話は本当に異世界のテンプレ通りの話をしてくれたこの世界の事や王国の事、過去にも魔王が存在し勇者が現れ討伐してくれたと。
「よもや本当に魔王が復活し、伝承の通り大臣を祠に使わせてみれば、こうして勇者達が…」
特に真新しい情報もないと判断した俺は、その後の話をほぼ聞き流していた。
終わると、王を交えた食事会が成される事になっていると侍女に案内されたが、体調が悪いと伝え欠席した。
親切にも部屋へと食事を運んでもらったので、一人で食事を取る。
どういった食事だろうと思って期待と不安を膨らましていたが、日本でいう所の洋食に近いものが出された。
食材が何なのか気になったが一人での食事では誰にも聞きようがない。
結構腹が減っていたのですぐに食事を食べ尽くす。
せっかくだと思い、食器を返しに行くついでに城の中を拝見させてもらおうと、うろうろする。
10分程だろうか、城を見て回ってたら侍女に見つかった。
素性の知れない者が城の中を歩くとはと怒られるかと思ったら、普通に体調の心配された。
侍女に食器を渡すと、ついでに王城がいかに素晴らしいかを聞く振りをして、城の作りや人の配置をそれとなく聞く。
「大丈夫か、京?」
「飯は食ったか?モンスター退治の前にぶっ倒れられても困るからな!」
「あまり無理をされない方がいいですよ、みんな混乱してますから」
部屋の戻り道に他の勇者達と出くわしてしまった。
こいつらはこんなに優しかったかと思いつつも、返事をする。
「あ、あぁ、すまない、みんな。二神の言うとおり、早く寝るよ」
少し離れたところから七乃花がこちらを見ている。
何かを言いたげな目をしているのに俺は気付き、すぐに部屋に入った。
その後、何回かノックをされたが、七乃花だろうと思い全て無視を決め込んだ。
俺は先程まで途中だった、頭の中の城のイメージに侍女から聞いた情報を追加していく。
夜が明け、謁見の間には王と姫、貴族たちが並んでいる。
「さて、それでは8勇者の鑑定式を執り行いたいます!」
大臣は高らかに宣言する。
「勇者たちは前へ」
勇者たちは一歩前へと進む。
「あ、あれ、、、」
「1、2、3、4、5、6、7・・・」
「1人いないぞ!」
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