118_第8勇者 八月朔日 京八
俺は大聖堂のある部屋まで来ると扉をノックする。
ニダヴェリール共和国での戦いを終え、やっと傷が回復した俺は七乃花を訪ねに来ていた。
「入るぞ」
返事がなかったので勝手に入らせてもらう。
ベッドに横たわる七乃花の姿があった。
「飯も食っていないのか・・・」
机の上には手付かずの食事があった。
俺はベッドサイドへ座ると七乃花の頭を撫でる。
寝てたのか、それとも俺が触れたからか七乃花が反応する。
「義兄さん・・・」
俺は静かに頷き、頭を撫で続けた。
七乃花は起き上がるなり、俺に抱きついてくる。
「義兄さん・・・私!!六花ちゃんを守れなかったよ!!」
七乃花は大声で泣き続ける。
俺は昔にもこういう事があったなと思いだし、頭を撫で続ける。
「なぁ、七乃花。俺は強くなる。きっと魔王は勇者を全員殺すまで、この戦いは終わらない」
「・・・・・」
「お前は俺が守る。その為に強くなる、勇者として」
「義兄さん・・・」
「目の前で人が殺されようとすれば俺は体が動いてしまう。今までずっとそうだった、俺の意思とは関係なく。でも師匠を失ってもそれでいいと思っていた。けどそれじゃ駄目だったよ。六花は救えなかった。その為に勇者として強くなる。そして勇者としてお前を守りたい」
「私も。。。」
「まだ無理するな。心が弱っているのに、強くなんかなれない」
七乃花は目を閉じ、静かに頷く。
六花を失ったショックでしばらくは立ち直れないかもしれない。
本当なら側にいたいが、俺には決めていた事がある。
「今日は何の用じゃ、小僧」
俺は話があると伝え、星天の間に巫女と四聖に集まってもらった。
「やってやるよ、勇者」
「ほぉ、ついにか」
「あぁ、痛感した。あの魔王はやばい。必ずいつか俺は殺される。それに七乃花も」
「第1魔王か・・・」
「ああ、そうだ。勇者の名乗りがどんなもんか知らねぇけど、勇者として強くなって七乃花を守る」
「覚悟は決まっておるようじゃの」
「ああ。巫女、そして四聖よ。俺はここに宣言する。俺は第8勇者 八月朔日 京八だ!!」
ピロン
固有スキル【深理解】の使用が可能となりました。
「良かろう!ヴァナヘイム神国が巫女が、お主を勇者として認めよう!」
星天の間に勇者の宣言が響き渡る。
体に何か起きた訳じゃないが、身が引き締まる思いになる。
四聖達は、一斉に俺へひざまづく。
「我ら四聖、あなたを第8勇者として認め、生涯の忠誠を尽くします」
フューネルが代表して、俺へそう告げる。
「はっはっは、どうやら四聖もお主を認めておるようじゃ」
「ええ、京八さんは素晴らしい方だと私は思います」
「まだまだ未熟ではあるが、心得はわきまえている」
「小僧はガッツがあるネ。叩けばもっと伸びそうヨ」
忠誠を尽くすと言われ、こっ恥ずかしかったが、元の口調に戻ってくれて良かった。
「小僧、いや京八よ。お主にこれを渡そう」
巫女のお付きが何かを持ってくる。
それは刀と銃だ。
「これは?」
「以前の第8勇者が身につけていたものじゃ」
「この刀と銃が・・・」
そして手に持つとしっくりと馴染む。
刀の刀身は黒く、柄には”八”と掘られている。
銃は種類は分からないが、中型の自動拳銃だ。
色々と細工がされているのが分かる。
しかし刀と銃とは、、、この世界にあるのも驚きなのだが、俺の厨二心をくすぐるかのような好みのデザインだ。
まるで俺が用意したかのようにも思える。
「ああ、ありがたくもらっていく」
俺は刀と銃をアイテムボックスへとしまう。
「名乗っておいて、悪いんだが。しばらく神都を離れて修行に専念しようと思う。名乗ったくらいで強くなるとは思えないしな」
「ふむ、よかろう。して修行はどのように考えておる?」
「うぅん、どうするかな。適当にモンスターを倒しつつ、あの魔王の魂の力や、魔術など、とりあえずあいつに追いつけるよう強くなるって事かなぁ」
「そうじゃのぉ」
すると賢者が俺へ話しかける。
「でしたら、京八さん、私が魔術を教えましょう。私が賢者になった際に行った蜃気楼の塔へご案内しますよ」
「ああ、それは助かる!魔術はしっかりと覚えたかったからな」
「ええ、魔術を習うという事は魂の力の使い方も必然と覚えることになりますから」
アキームが近づいてくる。
「ちょっと待つネ。小僧、まだ戦いにムラがあるヨ。私がたたき直すネ。とりあえず聖拳士のメッカへ行って、他の拳士達と1000人組手をしてもらうヨ」
「あ、ああ、そうだな。確かに体術は、基礎中の基礎だからな」
フューネルがアキームに割ってくる。
「小僧。貴様、剣もまだ碌に出来てなかろう。それに回復術を覚えねば、この間のように負傷して前線から下がるという事もありえるのだぞ?」
「回復術、、、確かにあれがあればまだ戦えた。頼む、フューネル」
「良い心構えだ、いいだろう。教皇となった私が、僧侶の聖地、教会神殿へ連れて行こう」
「ちょっと待つネ、体術が先よ!」
「おかしいですね、京八さんは先に魔術とおっしゃいましたよ」
よく分からんが、このおっさん達は誰が一番最初に修行するかで揉め始めた。
「ああ、分かった!全部やるから!順番なんていいだろう、俺は全部覚えて強くなってやる!」
「はっはっは、愉快。京八、しっかり精進せぇ。お主が修行に行く間は七乃花殿の事は、神国の者に任せておくれ」
「ああ、すまない。頼む、七乃花が立ち直るまで面倒見てくれ」
俺は七乃花を一人にする事を気にかけていたが、巫女が何とかしてくれるそうだ。
「じゃあ、いきましょうか」
「さ、出発ヨ」
「さぁ、参ろう」
俺はおっさん達に引っ張られ、連行されていく。
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