ep.フィットネスクラブ、そして戦い
ep.フィットネスクラブ、そして戦い
「おい、飼い主。朝だ。起きろ」おまえは目覚まし時計か。
「新しいぼりぼりが皿に残っているだろ。それで我慢しろ」
「オレがしけったやつが嫌いなん分かっているいるだろ、それでも飼い主か」
わかった、わかった。
「ぼり、ぼりぼり」
「なぁ、飼い主。最近運動不足でさあ」
「だから?」
「まだ寒いだろ。オレはねこだから、外はつらいのよ」
「だから?」
「フィットネスクラブに行きたいなー」
「ねこはコタツで丸くなってろ」
「今、体力つけておかないと、温かくなったら喧嘩のシーズンやろ。初戦で負けたくない。プライドだよプライド」
しょうがないな。こいつに負けてほしくはないしな。たしかに意地だ。投資しよう。
どこがいい?と言っても、ここは田舎なので一択だ。カントリーフィットネスクラブ。
「すみません。体験コースをお願いしたいのですけど」
「大人1名ですね」
「いいえ。ねこなんですけど。こいつです」
「ねこちゃんですね。はい。どうぞ」できるのか・・・・・
「ちなみに会員になったら、毎月会費はいくらでしょうか」
「ねこちゃんはですね、えーと。月150円になりますよ」安っ。カラオケといいここといい、ねこに優しいな。
「ちなみに人間の大人は月どれだけかかりますか?」
「会員の種類によりますが、標準のもので月11,000円ですね」
「おまえだけ通え。わかったな」
「あたりまえだ、どこに飼い主同伴で来るやつがいる。もう勝負は始まっているんだ!」
「おい。なんか最近雰囲気が違うじゃないか。毛並みも毛艶もいいんじゃない」
「飼い主。やっと気づいたか。フィットネスクラブ効果や」
「あそこでなにしとるん」
「は、は、は、まずだな皆でストレッチを15分して軽く汗をかく。そのあとはウェイト、そしてダンスだ!オレの悪魔の羽を見せてやってもいいぞ。「10時の観覧車~なんたらーーーー!!」
「最後は天然温泉や。運動して温泉に浸かったあとのノンアルコールビールは何ものにも替えられない♪」
「あっそ。自主練は順調そうだな。どいつか知らんが勝てそうなのか」
「相手は決まっていない。オレの領土を侵そうとするものが敵だ。まずは自分の領土を固めてから進軍だ!準備万端、いつでも来なさい。カモーン」
「あ、そう」
春めいた頃、庭が騒がしくなってきた。
「にゃー、にゃー!」
「あーお、あーーーーーーーーーーーーーーーーお!」
「ぐぅーーーーーー!!!」がちゃがちゃがちゃ!
「にゃあぁーーーー!」
領土と雌をかけた戦争が始まったらしい。
あっけなく終わった。ぽんたは勝てたのか?
そろそろそろ・・・・・帰って来た。
「へ、ざまーみろ」右足と左手から、噛まれたのか血を流している。
「おい!大丈夫か」艶やかだった毛が汚れてる。
「は、あは、は。飼い主、見てたか」いや聞いてただけだ・・・
「トレーニングの甲斐があったな」
「割と骨のあるやつだったな。とりあえず最低限度の仕事はしたぞ」
「なぁ、知っとるか。喧嘩というのは目を合わせたその瞬間に、勝敗がほとんどが決まってしまうんや。なんでもそうだ。目を見ろ。飼い主も冴子ちゃんと一瞬でもいいから、真剣に目を合わせればいい。いろんなことがわかる」




