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第一章 パストアンドナウ その壱


 ユッキーとの出会い、清正の登場から淀家よどけ、破断の総裁、安座間あざま、そして今後の自分の未来、様々な掴みきれない考察と不安を頭の中でかき乱す中、一行は清正の家に到着した。


 「着いたよ、ここ、安倍家へようこそ。涼はいつぶりだ?」


 「あの時以来だからね、清正の家、おじさん元気?」


 「元気っつーか、相変わらずだからなぁ、まぁ涼はお気に入りだから喜ぶだろうなぁ、だるいわぁ」


 清正の家に来るのはいつぶりだろうか?学生の頃この身体に鬼を宿した時には、ものすごいお世話になった。それ以来、来てないもんな。つーか相変わらずデカイ家だな。さすが安倍晴明の本家かぁ。俺が余韻に浸るのも程々に清正が大きな門をくぐり玄関へと向かった途端。


 「このくそ孫がぁー!今度は何をやらかしたんじゃぁー!」


 「はぁー、涼やっぱ場所変えよっか」


 清正が頭を抱え、ため息をついて苦笑いでそう言った。俺も苦笑いでかえす。怒鳴りながら全速力で走って来たのは清正のおじさん。その勢いのまま清正の頭めがけて思いっきり竹刀を振り下ろした。清正は慣れたようにそれをかわす。


 「じじぃ、それ下手したら死ぬっつーの、そんな怒りなさんなって」


 「このクソ孫っ、淀家に何をしたんじゃ、それに四回結線はどうなっておる、何故あんなに揺らいだっ、お前が出るとなんでいっつも事が大きくな…大きく…お…おぅ、涼、涼かぁ!元気だったか!」


 鬼の形相をした清正のおじさんと目が合った瞬間、おじさんは仏のような笑みに変わり俺に抱きつく。


 「元気です、元気です。おじさんも相変わらずお元気そうでなによりです」


 「おう、おう、そうかそうか、ワシはこのバカ孫のせいで血圧が上がってしゃーないわ」


 「じじぃその変にしといてやれよ、涼もびっくりしてんだろ」


 「うるさいわっ黙っておれ久々の再会に口挟むでないわ…というてもなぁ…これは?…清正よぅ、涼のこの腕時計に入ってるのはなんだ?それと涼が背中に背負っているその子…まぁ話しは中でするとしようかのう、さぁ涼あがりなさい」


 やっぱりわかるんだユッキーの事、すごいよな陰陽師って。そういえばユッキー静かだな俺がコンビニで羅刹らせつを解放してから一言も話してないような。俺は心配した眼差しで腕時計を見つめる。


 「うひゃっ!」


 「えっ?ユッキー?」


 俺が心配して腕時計を見つめていたら、ユッキーから奇声が発せられた。


 「ユッキーどうした?大丈夫?」


 「ひゃっ、食べないでください…お…鬼さん」


 「お、鬼さん?俺だよ涼だよ?」


 「本当に?涼?はぁ…良かった、いきなりたくさんの声が聞こえてきたと思ったら涼がいきなり目黄色くなってわちゃわちゃして、ジェットコースターみたいな動きするから気絶しそうになって気付いたら屋上に飛んでて…死ぬかと思った、あっ、死んでるんだっけ」


 そっか羅刹らせつ解放した時か、俺の中の鬼達の声も聞こえたのか?まぁでも無理もないか羅刹のスピードは速いから、俺でも酔うくらいだからな。ていうかユッキーの(死んでるんだっけ)のくだりは二回目だな、やっぱり天然だよねユッキーは。


 「ユッキー大丈夫だよ、それに俺の中にいる鬼は全員いい奴らなんだ」


 「良かったぁ、恐くてだんまりしていましたごめんなさい、わたし、いや、柚木さん大丈夫かな?ずっと起きないですね」


 「うん、そうだね、でもきっと大丈夫。清正のおじさんが力になってくれるよ、早く目が覚めればいいね」


 心配するユッキーをなだめ、俺達は一室に通された。清正のおじさんは「よいしょっと」とタバコをポッケからだしながら腰をおろした。俺達もおじさんの正面に向かい合い腰をおろす。おじさんはタバコに火をつけ、一口ゆっくりと吸い、清正に問う。


 「でだ、清正、まず話してみ。何があった?」


 優しかったおじさんの目つきが鋭くなる。



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