第2話 冒険者になってしまった。
あたふたする出来事の後、俺は無事(?)異世界に転移してしまった。目が覚めると見慣れない小屋の中に1人で寝転んでおり、俺の傍には女神様からの贈り物と思われるモノがいくつか置いてあった。
『ピコッ』
通知音のようなものが鳴ったと思うと、俺の目の前にゲームによくあるようなウィンドウが表示された。ちなみにその内容は女神様からのメッセージだった。
『いろいろありましたが無事で何よりです。そこに置いてあるのは、身分証となる冒険者カードと、周辺の地図、そしてこの世界のお金である金貨、銀貨そして大銅貨になります。お金はそれぞれ10枚ずつ袋に入っています。冒険者カードは都市の検問を通る際必要となると思いまして用意させて頂きました。発行元は神殿扱いにしてあります。また、この世界の言語を理解出来るよう、祝福を渡させて頂きました。とにかくこの、剣と魔法の世界をお楽しみください。あっ、命は大事にしてくださいね!
追伸:なんとか帰る方法を考えてみます。貴方の大事な方についても対処法を考えますので、どうかそれまで。』
女神様はポンコツだったとは思えないほど、ちゃんとしていて、金銭を与えてくれただけでなく、過ごしやすいよう工夫も行ってくれた。あれさえなければ信者になっていたかもしれないな。
とにかく、過ぎてしまったことは仕方ないと思い、この世界でなんとか生きていく為に、まずは人が住む都市を見つけることにした。地図があるので分かりやすい。1番近い街がここから南西にあるようなので、そこに向かうことにした。
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早朝に出て、着いたのは大体2時間後くらいだった。この街は商業都市ルルクという名前らしい。その名の通り、街はまさに商業都市という感じで、商店が賑わっている様子だった。女神様に用意して貰った冒険者カードのおかげで、お金を払うこともなく、検問はスムーズに終えることができた。ただ、門番さんに拠点登録だけするようにと言われたため、ルルクにある冒険者ギルドで登録を行うことにした。なんと案内人も付けて貰った。ハンサムな騎士で、ケインさんという方だ。
「初めての方も困らないように、僕らがこうやって案内するのも仕事のうちなんです!すぐ着きますがそれまでよろしくお願いしますね!」
とても人あたりの良さそうな人だった。自分は田舎の村から来たもので、冒険者についてイマイチ分かっていないと言うと、ケインさんは疑うこともなく答えてくれた。
「そうですね…冒険者は基本2つの仕事があります。ひとつは住民による個人依頼、もうひとつは冒険者ギルドや国からの公式依頼ですね!個人依頼はお手伝いが多いです。指定素材の回収などとにかくいろいろあります。公式依頼は、モンスター討伐や薬草採取、あとはダンジョンなどですね。」
「ダンジョン…?」
この世界にもダンジョンがあるのかと驚き、つい問い返してしまった。
「あぁ、アキハラさんは遠い村の出身でしたね!ダンジョンは知らなかった感じですかね?ダンジョンというのは定期的に出現する未知の建物の事で、その中にはモンスターがたくさんいます。その理由がですね…ダンジョンはモンスターを生成するからなんです。不思議ですよね!…でも、放置しているとダンジョンからモンスターが出てきてしまって、大変な事態になってしまいます。そこで、冒険者に依頼し、日々狩りを行うことで平和を保っているのです!それに、ダンジョンから出るお宝は貴重で、モンスターを倒すことで得られる魔石はエネルギー源として使うことが出来るので需要があり、なんだかんだWINWINなんですよね!」
ケインさんがめちゃくちゃ熱弁してくれたおかげで、ある程度分かってきた。俺の認識とあまり誤差は無さそうだ。
(というか、やけにダンジョンを推してるなケインさん…)
更に話を聞くと、この世界には冒険者のランク付けもあるらしく、最高がSランク、そこからA、B、C、D、E、Fとあり、最初はFランクから始まるらしい。ちなみに、ダンジョンはE級から入ることが許されていて、F級のうちはギルドが初心者向けと認めたものしか受けることが出来ないそう。
「着いたよ、ここが冒険者ギルドだよ。健闘を祈ってる!」
あっという間に着いてしまった。ケインさんには礼をしてお別れし、冒険者ギルドに入っていく。
冒険者ギルドの中は荒くれ者がいっぱい…という訳ではなく、皆穏やかな雰囲気でわいわい騒いでいた。
「冒険者カードの登録ですか?」
「は、はい!そうです!」
受付と思われる女性に声をかけられ、動揺しながらも答える。
「あら、冒険者カードは作られているようですね。でしたら後は拠点を登録して頂くのと、ステータスのチェックだけお願いします。」
ステータス。ここに来て初めて聞いた言葉だ。恐らく能力の一覧のことだろう。果たして俺はどのくらいなのだろうか。つい好奇心が昂ってしまう。拠点はルルクで登録することにした。後はステータスだが…
「では測らせて頂きますね。こちらの水晶に手をあててください。」
言われた通りにしてみる。すると、水晶は光り始め、そこに何かの文字が映る。受付嬢がそれをみて、俺の冒険者カードにステータスを登録しているようだった。
「お待たせしました。こちらになります。」
渡されたカードに記されたステータスはこんな感じだった。
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アキハラ・カナデ(16)
【所属】ルルク冒険者ギルド(ランクF)
【職業】無し(転職可能:剣兵・魔法使い・弓兵・盾兵)
【体力】C
【筋力】C+
【魔力】B-
【知力】B
【精神力】B+
【敏捷】C
【運】C+
【スキル】言語理解&変換(女神の祝福)
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結果から言うと、俺のステータスは魔力と知力と精神力はかなり高め、という感じだった。他は一般市民の平均よりちょっと上くらいだ(平均値はCくらい)。ちなみに職業によって必要なステータスに補正が付くらしい(ステータス上には表示されない)。また、レベルの概念が無く、努力することや、経験を培うことでのみそれぞれのステータスは上がるらしい。低いと上がりやすいが、高ければ高いほどステータスは上がりにくくなるのだとか。
「アキハラ様は魔力、知力、精神力が高いですね…。この3つのステータスは魔法使いに必要な力です。魔法使いになるのをオススメしますよ!」
(ふむ、どうやら魔法使いに向いているようだな。しかし、どうするべきか…)
考えたものの、受付嬢にオススメされたこともあり、結局魔法使いになることにした。ちなみに魔法使いの上位職もあるらしいのだが…ひとつずつ経験を積んで、魔法を使いこなせるようになって初めて転職可能らしい(感覚で分かるとかなんとか)。登録料(カード発行料を除く)の5銀貨を払い、いろいろ教えてくれた受付嬢に感謝しつつ受付を離れた。今更だが、金貨は日本での1万円、銀貨は1000円で、大銅貨は100円、中銅貨が10円、小銅貨が1円換算である。
無事冒険者としての登録が完全に終わり、冒険者ギルドを出た俺は、依頼は明日からすることにして、生活道具や、魔法のための装備(服や杖など)を買い揃えた。気がつけば夕方くらいになっていたため、冒険者ギルドで近くの宿を紹介してもらい、今晩はそこに泊まった。宿では食事も出て、特にスープが美味しかった。
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アキハラ・カナデ(16)
【所属】ルルク冒険者ギルド(ランクF)
【職業】魔法使い
【体力】C
【筋力】C+
【魔力】B-
【知力】B
【精神力】B+
【敏捷】C
【運】C+
【スキル】言語理解&変換(女神の祝福)・初級火属性魔法・初級水属性魔法・初級風属性魔法・初級雷属性魔法・初級氷属性魔法・魔力自動回復
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【詳細】
初級魔法の使い方は感覚で脳内にインプットされている形。魔法属性は上記5属性+光・闇の2属性、その他にユニーク属性が存在する。魔力は使い果たすと気絶してしまう。知力ステータスは魔法の威力に直結し、精神力ステータスは魔法の発動率に直結する。魔力自動回復は寝なくても回復出来る能力(微量)。




