召喚魔法
召喚魔法で精霊を呼び出そうと思っていたら、特定の場所に行かなくてはならなかった。例えば火の精霊は、召喚主が他者の力を借りずに自身の力のみで火起こしをして、そこに聖木を入れて炭にして、その炭がまだ熱いうちに召喚呪文を一度も噛まずにかつ13秒きっかりで呼び出さないといけなかった。つまりは、リューカこと私には厳しかったのだ。水の精霊が一番呼び出しやすくて、契約関係も良さげになれそうだったからという理由で領地の近くにあるエルフの森の近くの川で、聖句を唱えていく。
「水の精霊よ。我が呼び出しに応じてその偉大なる姿を見せ、友人となろうではないか!我が名はリューカ、ウィルクネーゼ・キュイ・リューカである」
水が意思を持ったかのように盛り上がり、人の形になり、口を開ける。
「良かろう、儂は水の大精霊である。名前はまだない」
「じゃあ、あなたと契約させてもらう代わりに名前を与えます。名前はオンドゥールです」
水の大精霊改めオンドゥールはそう喋る。
「了解である。儂はオンドゥールだ。これからよろしくお願いしますわ。我が主人」
彼女はまだ知らない。この精霊が原初の精霊王の一人娘であり、エルフの中でも水の精霊を尊ぶものからすれば神のような存在であることを...