↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンケート  作者: 菊池まりな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/104

第84話 廃工場へ

夜風が冷たく肌を刺した。藍都学園都市の街灯が遠ざかるにつれて、光はまばらになり、道は荒れ果てた舗装へと変わっていく。


 三枝美佳は上着の裾を握りしめ、歩みを進めていた。隣には朝倉純、その後ろを宮下ユリと有栖川玲が続く。




 四人は言葉少なに歩いていた。緊張が空気を圧している。


 やがて、遠くに巨大な影が見え始めた。鉄骨がむき出しになった無骨な建物。その壁面には崩れかけたロゴがかろうじて残っている。




 《LAPIS: Logical Algorithmic Parallel Integration System》




 美佳の心臓が強く跳ねた。


 ──これだ。記憶の断片で見た、あの場所。




「間違いないな」


純が低く言う。


「ここが、“始まり”の場所だ」




 近づくほどに、工場の廃墟は不気味さを増していった。窓は砕け、錆びついたフェンスは倒れ、雑草が伸び放題に蔓延っている。だが、その荒廃の中に、異様な“気配”が漂っていた。




「……ねぇ、聞こえる?」


ユリが囁く。


 美佳も耳を澄ませる。風の音に混じり、低く機械が軋むような音が確かに聞こえた。


「電源なんて切れてるはずなのに……」


玲が険しい顔をする。


「誰かが、今もここを使ってるってことか」




 工場の正面扉は錆びついて固く閉ざされていた。純が肩で押してみるが、びくともしない。


 そのとき、美佳はポケットの中の“鍵”を握った。七海彩音から渡された、小さな銀色のペンダント。


 不思議と手のひらに熱を帯び、廃工場の扉に近づくほどに微かに光を放つ。




「……美佳、それを」


純が気づき、息をのむ。


 美佳はおそるおそるペンダントを扉の錆びついた錠前に近づけた。すると、カチリ、と乾いた音を立ててロックが外れる。




 重々しい扉が、軋みながらゆっくりと開いていく。


 冷気と共に、暗い闇の奥から、かすかな電子音が流れ出した。




 美佳は息を詰め、仲間たちと視線を交わした。


「行こう……。真実が、ここにある」




 四人は足を踏み入れる。


 長い年月を経て朽ちた廃墟の奥に、かつて世界を揺るがした“計画”の残滓が眠っているとも知らずに──。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。