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アンケート  作者: 菊池まりな


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第74話 再会の予感

藍都学園都市の駅前ロータリーは、昼間でも薄い霧が漂っていた。


美佳は純と並んで歩きながら、コートの襟を立てる。




「……本当にここで待ち合わせで合ってるの?」


「間違いない。あいつの言う“別ルート”ってやつだ」




純が低く答えた直後、ロータリーの端に立つ男が片手を上げた。


黒いジャケットに無精ひげ、以前より痩せたように見える。




「東郷……翔?」


「よぉ、美佳。それに純も。お前ら、相変わらず危ないところに首突っ込んでるな」




彼は軽く笑いながら近づくと、美佳の肩越しに周囲を素早く確認した。


「ここじゃ話せない。ついて来い」




路地裏に入ると、冷たい風とともに、かすかにオゾンの匂いがした。


翔は足を止め、懐から薄いデータカードを取り出す。




「有栖川から預かった。お前らの“鍵”に関係する解析結果だ」


美佳の手が無意識にポケットの中の銀色の鍵を握る。


純も黙ってそれを見つめ、眉をひそめた。




「玲が……?」


「ああ。例の廃墟で拾った断片データ、彼女が解読した。だが半分以上、暗号化されたままだ。ユリって女なら、解けるかもしれん」




宮下ユリ──同窓会で一度顔を合わせたきりだが、印象は鮮烈だった。


美佳の脳裏に、あの時の視線と意味深な微笑みが蘇る。




「ユリは今どこに?」


「……旧藍都病院の地下だ」




その一言に、空気が重くなった。


旧藍都病院──LAPISの記録上は十年前に完全封鎖されたはずの場所。




翔は続けた。


「俺が案内できるのは入り口までだ。中は……お前ら自身で確かめろ」




美佳は鍵を握る手に力を込めた。


冷たい金属の感触が、ただの偶然や置き土産ではないことを告げている。




「分かった。行こう」


純の短い返事と共に、三人は霧の中へ歩き出した。


その背後で、翔は一瞬だけ何かを呟いたが、美佳は聞き取れなかった。





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