↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンケート  作者: 菊池まりな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/104

第44話 灰色の交差点(二)

──どうして、こんなにも懐かしいのだろう。




彩音の声が耳に残る。「ちゃんと、迎えにきたよ」と微笑むその表情は、今も鮮明に記憶の中に焼きついている。




だが、美佳にはまだわからない。彼女が「どこへ導こうとしているのか」、その全貌は霧の向こうだ。




「彩音……あなたは、何を知っているの?」




風に揺れる制服の裾。あれは、LAPISの制服ではない。かつての藍都学苑の、懐かしいセーラー服──。それが、彼女の存在がただの幻覚でないことを告げていた。




「答えはもうすぐ、あたしの役目は、あなたに“鍵”を渡すこと。それだけ」




「鍵……?」




「うん。思い出して。あの日、わたしと最後に話した場所を。そこに、あなたを待つ“扉”があるの。今のあなたなら開けられる。だから、お願い──向かって。時間がないの」




そう言うと、彩音は静かに手を差し出した。その手の中に、小さな金属のペンダントが握られていた。




美佳の胸がざわめく。その形に見覚えがある。中学のとき、二人で「おそろいにしよう」と言って買ったものだ。が──それは、失くしたはずのものだった。




「……どうして、これが……?」




「あなたの心の中に、ずっとあったからだよ」




彩音が手を開いた瞬間、ペンダントがふわりと宙に浮かび、美佳の首もとへ吸い込まれるように戻っていった。




カチリ。




小さな音とともに、空間にひびが入る。




「扉が開いた──あとは、あなたが歩く番」




目を見開いた美佳の前で、彩音の姿は薄れていく。




「待って……まだ、話したいことが……!」




「また会えるよ。ほんとのあなたに、戻れたなら──」




風が吹き抜け、光が走る。




気づけば、美佳は白い廊下に立っていた。足元には、古びた木の床。壁に並ぶ写真。見覚えのある──旧校舎の内部だった。




そして、目の前にあったのは「記録室」。封鎖されたはずの場所。




「鍵は、ここを開けるものだった……?」




美佳はそっと手を伸ばす。ペンダントが淡く光ると、重い扉が軋みを上げて開いた──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。