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アンケート  作者: 菊池まりな


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第37話 開場

会場の照明が、柔らかなアンバーからゆっくりと白へと切り替わっていく。まるで誰かの“素顔”をあぶり出すかのように。




「……やっぱり、普通の同窓会じゃないね」




美佳は、天井に吊られた監視用カメラらしき黒い球体を見上げて呟いた。朝倉純は無言で、すでに何人かの顔を確認していた。七海彩音の姿もあったが、その笑顔には微かに緊張の色が差していた。




会場の壁には「藍都学苑 卒業生特別交流会」と書かれた横断幕が飾られていたが、普通の同窓会とは雰囲気がまるで違う。着席指定。荷物チェック。受付でID照合。入場に顔認証まで使われる会が、“ただの思い出話”で済むはずがない。




「東郷翔、来てるかな……」


美佳は探すように辺りを見回した。会って話したい気持ちと、これ以上巻き込まれるのが怖い気持ちが交錯する。




「後ろを見て」


純が低く言った。




振り返ると、彼がいた。東郷翔。ネイビースーツをビシッと着こなし、何人かの人物と談笑している。その顔は高校時代とほとんど変わらないけれど、目だけは別人のように冷たい。




「…やっぱり、LAPISの中枢にいるの?」


美佳が問うと、純は首を横に振った。




「いや、彼は…まだ“試されている側”だろう。だが、あの場に立つってことは、何かに賛同してる」




そのとき、会場中央のステージにスポットライトが落ちた。




「ご列席の皆様、本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます」




現れたのは有栖川玲だった。淡いグレーのドレスに身を包み、静かにマイクを握るその姿は、まるで舞台女優のように整っていた。しかし、その声の奥には、明らかな“演出”の意図が感じ取れる。




「藍都学苑で過ごした日々を、私たちは決して忘れません。そして——今宵、選ばれた皆様にだけ、お伝えしたいことがございます」




美佳は息を呑んだ。その言葉の意味を察して。




「これは……“招集”だ」


純の言葉に、美佳は無意識に頷いていた。




有栖川玲は、手を一度叩いた。すると、ステージ背後の壁がせり上がり、大型モニターが現れた。




「プロジェクト・レヴェレーション。始動の時が、来ました」




その瞬間、空気が変わった。ざわめきが会場を満たし、一部の卒業生たちは立ち上がって退出しようとした。しかし、出入口はすでにロックされていた。




「何が始まるの……?」


美佳の声は、誰にも届かなかった。

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