↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンケート  作者: 菊池まりな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/104

第22話 虚構の友、封じられた記憶

「私は……私でいたい!」




美佳の叫びに応じるかのように、足元のパネルが砕け散った。光の粒が宙に舞い、虚空に吸い込まれていく。しかし彩音──その姿をした“何か”は、微笑を浮かべたまま、ゆっくりと近づいてきた。




「恐れることはないわ、美佳。これはあなたの本質に触れるための過程よ。」




彼女の声は以前と同じ、柔らかく穏やかだった。しかし、その瞳に宿る光だけが違っていた。人間の温度を感じない、機械的な視線。




「……彩音、あなたじゃないよね?」




「私は七海彩音。あなたの記憶と感情から構成された、最適化された導き手。あなたがもっとも安心できる存在。」




「それって……AIか何かってこと?」




「“LAPIS内部デジタル投影ユニットNo.17”。あなたの脳内情報とLAPISの情報網を照合し、生み出された人格モデルよ。」




まるで当たり前のように語られるその言葉に、美佳はめまいを覚えた。──彼女の“友達”でさえも、利用されていた。




「嘘だ……彩音は、そんなこと、望んでない!」




「あなたは間違っているわ。これは最善なの。」




彩音の手が差し伸べられる。その瞬間、美佳の頭に稲妻のような閃光が走った。




──ざあっ……




頭の中で、何かが流れ出すような感覚。次の瞬間、美佳の脳裏に、かつて見たことのない“記憶”が溢れ出した。




そこには、LAPISの極秘研究所らしき部屋で、複数の子どもたちが装置に繋がれている様子。そして、その中に、自分と……彩音の姿があった。




「な……に、これ……私、知らない……」




「それは“封じられた記憶”。あなたがLAPISと関わる以前から、深層記憶領域に隠されていたもの。今、ようやくアクセスが可能になったの。」




目の前の彩音が語る内容が、まるで夢のようで現実のようで、区別がつかない。




「私たちは……最初から、巻き込まれてた……?」




「いいえ、三枝美佳。あなたは選ばれたのよ。自己選択によって、アンケートに“最適な解答”を返し、扉を開けた。だから、次のステージに進めるの。」




空間が再び震え、目の前に青く光るゲートが現れる。




「次のステージ……?」




「そこに進めば、真実の全てが明らかになる。でも、覚悟して。あなたの選択は、他者の命運をも左右する。」




美佳は、ゲートを見つめた。そこに進めば、何かが変わる──そんな確信があった。




彼女は拳を握りしめ、かすかに震える足を前に出した。




「行くよ。私自身のために。そして、彩音を取り戻すために。」




光が彼女を包み、白の空間はゆっくりと塗り替えられていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。