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アンケート  作者: 菊池まりな


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102/104

第102話 旧学苑の朝

夜の光に包まれた都市を越え、美佳たちがたどり着いたのは──かつて青春を過ごした場所、旧藍都学苑だった。




 朝の光が校庭に差し込み、長く荒れ果てていたはずの校舎を柔らかく照らしている。


 ひび割れた壁や割れた窓ガラスはまだそのままだ。だが、よく見ると足場が組まれ、工事の幕が掛けられていた。再生が始まっている。




「……戻ってきたんだね」


 美佳が呟く。




 純は校舎を見上げ、懐かしそうに微笑んだ。


「ここから全部始まった。俺たちが迷って、失って、でもまた繋がった場所だ」




 ユリは胸の前で両手を組み、まるで祈るように目を閉じた。


「この学び舎がもう一度、未来を育てる場になりますように……」




 玲は周囲を見渡しながら、真剣な表情を崩さなかった。


「でも、ここが象徴になるってことは、また狙われる可能性もあるってことよ。LAPISの残滓は完全に消えたわけじゃない」




 その言葉に、翔が淡々と応じた。


「だからこそ、俺たちが見守る必要がある。破壊ではなく、守るために」




 美佳は校舎へ歩み寄り、手をそっと壁に触れた。


 ひんやりとした感触の中に、確かに「生き返ろうとする力」を感じる。


 心臓の奥で、彩音の笑顔がよみがえった。




──「未来は、あなたたちに託す」


 彩音の声が聞こえたような気がした。




「……そうだね。もう逃げない。これからは、ここでみんなと一緒に」


 美佳の声は震えていたが、確かな決意に満ちていた。




 校庭の空気が少しずつ温まり、朝の陽光が彼らの影を長く伸ばしていく。


 それはまるで、新しい一日の始まりを告げる鐘の音のようだった。

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