プロローグ
全面改稿しています。大筋は改稿前と同じですが、細部はかなり違います。
また改稿に伴い、話数が変わります。ブックマークされている方は注意してください。
修正中は話数番号の重複が発生します。
恋愛パートはストーリー中盤以降になります。
1章では主人公が自分の足場固めに注力するため恋愛要素ゼロ。
恋愛小説っぽくなるのは、改稿前に書こうと思っていた『淑女科編』以降になります。
――こんな世界無くなってしまえばいい――!!
壊れてしまえ、滅んでしまえ!
怨嗟に心を呑まれたまま、私は破壊の魔法を発動させ、龍の力を呼び出す。
周囲のあちらこちらから悲鳴が響く。
自分が今、その声の主たちを道連れにしようとしているのは理解しているけれど、まったく何も感じなかった。
夜会の最中、ほんの少し前まで、誰もこんなことが起きるとは思わなかっただろう。
崩れ落ちた瓦礫の中に、色とりどりの布がはためいていた。
赤い絨毯はきっと多くの血を吸っている筈。
――でも、そのすべてがどうでもいい。
水、火、風、土の四龍の力は凄まじくて、身体はあっという間に吹き飛ばされそうだった。
自分を中心に周囲には強い風が吹き荒れ、部屋の中の全てを吹き飛ばす。頭が割れそうな轟音と悲鳴が響く。一度発動すれば術者の命を魔力に変換しながら魔法が続く。抜け落ちた天井から丸い月が覗いていた。
――ああ、今日は満月なのね……。
惨状とは不釣合いな美しい月を人生の最後に見られたのだけは、唯一良かったことかもしれない。
そう思った直後、白い光に呑み込まれて意識が途切れた。
私――マリス・アングラートは自分の命と引き換えにできる限りの物を破壊した。意識がなくなる直前、周囲の人間の身体や王宮の壁が、崩れドロリとチーズが溶けるように何もかもが溶けていくのを見て、満足して逝った。




