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名もなきうた  作者: 空野 翔


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5/5

帰る場所

帰る場所があるということは

どこへでも行けるということだ


ここに戻ればいいと分かっているから

遠くまで行ける

家のことだけじゃない


疲れたときに

思い浮かぶ顔とか

ほっとする声とか

何も言わなくていい時間とか

そういうものが帰る場所だ


遠くへ行くほど

帰る場所のことを考える


離れてみてはじめてわかる

温度というものがある


ただいまと言える場所が

あることのありがたさを


子どもの頃は

早く遠くへ行きたかった

大人になったら

帰る場所を大切にするようになった


どちらが正しいとかじゃない

遠くへ行きたい気持ちも

帰りたい気持ちも

両方本物だ


今日も帰る

それだけで今日が完成する


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