第12話 復活した水の女神
メイルを倒してから数日、私たちはひたすらバブルアイランドの残党狩りをしていた。
実はあの後、みんなで女神の祠に行ったのだが、闇の霧に包まれていて復活の儀式を行うことができなかったのだ。
しかもその霧は絶えず生み出され続けており、いくら払ってもきりがなかったのだ。
そこでシルフィが霧を生み出す魔力の流れを追ったところ、残党たちが生み出していることが発覚したのだ。
「それにしてもこんなにいたなんてね。フラワープリンセス、アクアプリンセス、大丈夫そう?」
ファイヤープリンセスが私たちに声をかけてきた。
「はい、なんとか」
「私も大丈夫です。あれ?シルフィちゃんは?」
「シルフィなら上空から残党がいないか偵察してくれてるよ」
私は空を飛んでいるシルフィを見ながらそう言った。
シルフィはエルフということもあって飛ぶのはお手のものだ。
残党狩りを始める前に私に空からの偵察を提案してくれたのもシルフィだ。
「それにしてもこの森、かなり深いね」
「はい。だからこそシルフィが空の上から見て指示出してくれてるのが凄くありがたいんですよね」
「フラワープリンセスにはシルフィちゃんの声が聞こえてるの?」
「実は私、シルフィと主従契約結んだので」
「なるほどね」
「ファイヤープリンセスは主従契約結んでるパートナーはいるんですか?」
「昔、オーガの女の子と契約してたんだけど、ダークに殺されちゃったんだよね…」
「そうなんですか…すいません」
「いいよいいよ。気にしないで」
ファイヤープリンセスは明るく笑ってくれた。
するとアクアプリンセスが私たちに質問してきた。
「あの、主従契約ってどうやって結ぶんですか?」
「そそ、それは…」
私は顔を赤くして目を逸らした。
「ん?あー、アクアプリンセスは女神様から教わってないんだ」
「私も教わってないですよ」
「じゃあ何?フラワープリンセスとシルフィちゃんは何も知らずにキスして契約しちゃったの?」
「き、キス!?そ、それも女の子同士でですか!?」
アクアプリンセスが食い気味に聞いてきた。
そういえばこの子、女の子同士でいちゃいちゃする系のが好きだったっけ。
「ちなみにね…」
ファイヤープリンセスは私たちに耳打ちで主従契約をさらに強くする方法を教えてくれた。
私は一気に恥ずかしくなってしまった。
こんなの、誰かに言えたものじゃない。
その反面、アクアプリンセスはかなり興奮していた。
そういう系が大好きな彼女からしたらこれは大好物でしかないだろう。
そんなことを話していると、シルフィがどこかに向かって降りて行った。
まさかあっちの方に残党がいるんじゃないだろうか。
私たちはシルフィが降りて行った方に走って行った。
「シルフィー、どこー」
「こ、こっち来ないで下さい!」
声のした方を見ると、茂みの奥にシルフィの頭が見えた。
「あー…おしっこか」
「い、言わないで下さい」
私たちは離れたところでシルフィが来るのを待った。
考えてみると私たち、残党狩りを始めてからわりかし頻繁に、平気で野ションしてる気がする。
もちろん見られるのは恥ずかしいが、女の子なのにこんなことが平気でできてしまってるのが正直怖くなってきている。
とはいえ、魔法を使っていると尿意に襲われるのは避けようがないので仕方ないといえば仕方ない。
ちなみに拭いたティッシュはファイヤープリンセスが魔法で燃やしてくれている。
シルフィは茂みから出ると、ファイヤープリンセスにティッシュを渡して再び空へ飛んで行った。
ファイヤープリンセスは受け取ったティッシュを魔法で燃やした。
それから数分後、シルフィが私たちのところに飛んできた。
「皆さん、この森にはもう残党はいなさそうです」
「じゃあこれで終わりかな?」
「そうですね。一度、女神の祠の様子を見に行きましょう」
「そうだね」
私たちは女神の祠に入った。
闇の霧はすっかり晴れていた。
「よし、これで復活の儀式ができるね」
「でもどうやってやるんですか?」
アクアプリンセスのその一言に、私たちは唖然としてしまった。
儀式のやり方は、その女神様が司るエレメントのエレメントプリンセスと女神の眷属しか知らない。
でもアクアプリンセスは儀式のやり方を知らないようだ。
となると眷属に聞くしかない。
私たちは海辺に行った。
アクア様の眷属はイルカだ。
海に行けばいくらでもいると思っていたが、どこにも姿が見えない。
するとアクアプリンセスは防波堤から海に飛び込んだ。
「ちょっ、アクアプリンセス!?」
私とファイヤープリンセスも追いかけるように海に飛び込んだ。
アクアプリンセスは息継ぎもせず海の中をすいすい泳いでいた。
私とファイヤープリンセスは一度海面に上がった。
「な、なんでアクアプリンセスは息継ぎもしないで泳げるの?」
「あれはアクアプリンセスの能力です」
シルフィが防波堤の上から私たちに手を伸ばしてそう言った。
私たちはシルフィに引っ張ってもらって防波堤に上がった。
「今はアクアプリンセスを信じて待つしかありません。水の中を息継ぎ無しで泳げるのも、イルカさんとお話ができるのもアクアプリンセスだけです」
私たちは焚き火を囲んで体を温めながら大人しく待つことにした。
アクアプリンセスが戻ってきたのは、日が暮れるか暮れないかというくらいの時間だった。
どうやら儀式のやり方を聞けたようだ。
ただ、教わり方はかなりハードだったらしい。
アクアプリンセスの話によると、イルカさんは魔法でアクアプリンセスの脳に一気に情報を流し込んだらしい。
その影響か、アクアプリンセスはかなり疲れている様子だった。
「大丈夫?アクアプリンセス」
「だ、だいじょぶですよー…」
アクアプリンセスは明らかにフラフラしていた。
私たちはみんなでマリン王国の宿に戻った。
その夜、のどかちゃんはご飯を食べながら儀式のやり方を話した。
どうやら儀式は満月の夜、しかも満潮の時に行う必要があるらしく、明日がそのタイミングだというのだ。
「つまり、どちらにしても明日までは何もできないってこと?」
私が尋ねると、のどかちゃんは首を縦に振った。
「うん。だから今日はゆっくり休んで、明日に備えて欲しいんだ」
「わかった」
私たちはそれぞれ部屋に戻って休むことになった。
翌日、朝ご飯を食べるために食堂に行くと、のどかちゃんが座っていた。
「おはよう」
「おはようございます」
のどかちゃんはまだ眠そうにしていた。
それにシルフィもまだ起きてきていなかった。
そういえばのどかちゃんとシルフィ、夜中まで何かしてたっけ。
私も手伝いたかったけど、戦いの魔法の使い方を覚えた程度で魔法学の基礎すら勉強したことの無い私に手伝えることは無いと突っぱねられてしまったのだ。
逆にのどかちゃんは転生してくる時にアクア様から魔法学を徹底的に叩き込まれ、その上で魔法を教わったらしい。
最初から使える魔法の種類が多く、さらに安定して使えてるなとは思っていたけど、まさかそんなところで差がついていたとは思いもしなかった。
そんなことを考えてると、シルフィが起きてきた。
「おはようございま…」
「シルフィ!!」
「きゃっ!何ですか、急に…」
「天界への門を開いて!」
「え?なんで急に…」
「フローラ様に用があるの!」
「は、はあ…」
シルフィは天界の門を開いてくれた。
「帰りはフローラ様に開いてもらって下さい。私はこの後もやらないといけないことがあるので」
「うん」
私は天界の門に近づいた。
ただ、何かがおかしかった。
門に近づくと、何か叫び声のようなものが聞こえてきた。
それにここまで熱気が伝わってくる。
「ねえシルフィ、天界ってこんなに暑かったっけ?」
「え?」
シルフィは門の先を覗き込んだ。
すると門を閉じ、急に謝ってきた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「え?急に何?」
「ごめんなさい、間違えて第5の地獄、大叫喚地獄に繋いでしまいました」
「地獄!?」
シルフィは再び門を開いた。
「今度は大丈夫です。本当に申し訳ありませんでした!」
私は門をくぐった。
今度はちゃんと天界に行くことができた。
辺りを見渡すと、綺麗な花々が咲き誇る綺麗な場所だった。
少し歩くと、フローラ様たちが暮らしている「女神の城」が見えてきた。
どうやらシルフィは女神の城から少し離れた場所に門を開いてしまったようだ。
城に入ろうとすると、門番に足止めされた。
「待て!ここは女神の城。許可された者以外の立ち入りは禁じられている。立ち入りたいのであれば許可証を見せよ」
「えっと…これで大丈夫ですか?」
私は門番にフラワープリンセスの証を見せた。
「フラワープリンセスでしたか。これは失礼致しました」
門番は城門を開いてくれた。
「この門を潜る前にフラワープリンセスに変身して下さい。でないと内部の者も不審者として貴女を拘束してしまう可能性がありますので」
「分かりました」
私はフラワープリンセスに変身し、城の中に入った。
そして、そのまままっすぐフローラ様の執務室に向かった。
扉の前には、フローラ様の侍女が立っていた。
「ごきげんよう、フラワープリンセス。フローラ様に御用ですか?」
「ええ。入っても大丈夫ですか?」
「申し訳ありません。フローラ様は4日前にたくさんの死者の魂がここに導かれてきたことによりその裁きが追いつかず、本日も裁きに追われておりまして…」
「そうだったんですか…」
「ところで、フラワープリンセスはどのような御用で?」
「魔法学の基礎の勉強をしたいんです。アクアプリンセスはアクア様から教わったと聞いたのですが…」
「アクア様から?となるとあの方法か…」
「あの方法?」
「まずはフローラ様から許可を得なければいけないのでこちらでしばらくお待ち下さい」
「え?許可?」
「エレメントプリンセスの体に負荷のかかることをするには、それぞれのエレメントの女神様の許可が必要となりますので。ではこちらに」
私はフローラ様の侍女に連れられ、小さな部屋に入った。
部屋にはベッドと椅子が置かれていた。
「ではそちらにお掛け下さい。それと今回、かなりお体、特に脳に負担がかかりますので限界が来たらすぐ仰って下さい」
「は、はい」
私が椅子に座ると、彼女は祈りのポーズを取り始めた。
その次の瞬間、私の頭の中に一気に膨大な量の情報が流れ込んできた。
そのせいで頭が割れそうなくらい痛くて、意識を失いそうになったけど、なんとか耐えることができた。
でもそれが終わった時には、目の前の世界がぐるぐる回っていて、今にも倒れてしまいそうになっていた。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です…」
とは言ったものの、全然大丈夫じゃない。
このまま気を失ってしまいそう…。
「無理をなさらないで下さい」
そう言うと彼女は私をベッドに寝かせてくれた。
直後、私はそのまま意識を失ってしまった。
次に目を覚ますと、そばにフローラ様が座っていた。
「大丈夫ですか?」
「うぅ…かなりやばかったです…」
「ごめんなさい。本来なら貴女をあの世界に送る前に私が教えなければならなかったことでしたのに…。それにしてもメアったら、魔法学の全てを一気に脳内に流し込むなんてとんでもない無茶をしたものですね…」
「あの人、メアさんって言うんですね…」
「あの子は6年前に、唯さんと同じくらいの歳で亡くなって私のところに導かれてきたのです。彼女は非常に不遇な人生を歩んできたと言っていいでしょう」
そう言うとフローラ様はその時の話をしてくれた。
彼女の母親は元々、彼女を産む気なんてさらさら無く、彼女が生まれた後も、生まれてきた彼女をかなり恨んでいたらしい。
そして母親は彼女が12歳の時、彼女が寝ている家に灯油を撒き、火を点けて逃げたらしい。
寝ていた彼女はそのことに気付くことはできず、寝たまま焼かれて亡くなったそうだ。
そして挙げ句の果てに、母親は葬式の時も彼女が地獄に落ちるように祈っていたらしい。
「あの子は私のところに導かれてきた時も、なぜ自分が天界にいるのかも分からずにいました。そして、私が死んだことと死因を話すと、ものすごく泣いていました。さっきも話しましたけど、彼女の母親は彼女が地獄に落ちるように祈っていました。もちろん彼女自身は何の罪も犯していなかったので、私は天国に導こうとしたのですが、彼女は母親の望む通りにしてほしいと言ったのです。ですが私も無実の少女を地獄に落とすわけにはいきません。そんなことをしてしまえば私はお母様…クラリス様に女神の資格を奪われ、地獄に落とされてしまいます。ですので私は彼女に提案したのです。『私の下で働きませんか?』と。元々あの子は人に尽くすことが好きな子だったので、あっさりと承諾してくれました」
「なんで天国に導かなかったんですか?」
「地獄なら無理矢理落とすのですが、天国は地獄と違い、仮に門を開いたとしても自らの意思で歩いて行かなければ辿り着くことができないのです。ですので私が開いたところで行く意思の無い彼女が天国に行くことは無かったのです」
「なるほど…。それで彼女を働かせてるんですね」
「はい。彼女が自ら天国に行くと言う日が訪れるその日まで、私はいつまでも待ち続けるつもりです。唯さんの場合は天国へ行くことはできませんけどね」
「え!?私、地獄行きなんですか!?」
「貴女達エレメントプリンセスは、亡くなると将来、新たな女神となるのです。私も昔、フラワープリンセスとして活躍し、女神となったのです」
「生前はどんなことをしていたんですか?」
「それについてはいずれ機会があればお話しします。とにかく、貴女は私の後任の女神となるため、再び亡くなった後は天国に行かず、この天界で女神になるための試練を受け、最後に神化の儀式を受けていただきます」
「な、なるほど…」
「そんなことより、お体の方は大丈夫そうですか?」
「はい。なんとか動きそうです」
「それなら良かったです。メアったら、気合い入り過ぎて貴女に魔法学の基礎だけでなく全てを伝心したようだったので少々心配していましたが…流石はフラワープリンセスですね」
「いやー、でも本当にやばかったですよ」
「メアに言えば再びシルフィたちのもとへの門を開いてくれますので、戻る際はメアに言って下さい。では、私はまだお仕事があるので」
「フローラ様も無理なさらないで下さいね」
「ありがとうございます」
フローラ様はお礼を言うと、部屋をあとにした。
体は動くけど、やはりまだ少しフラフラしている。
私は再び眠りに就いた。
次に目が覚めると、夕日が出ていた。
私は慌ててメアさんに帰りたいと伝え、急いで門を開いてもらった。
門を抜けると、シルフィが腕を組んで仁王立ちしていた。
「遅いですよ。何をしていたのですか?」
私はフローラ様に魔法学を教わろうとして行っていたこと、そしてメアさんに伝心で一気に魔法学の全てを詰め込まれたことを話した。
シルフィはエレメントプリンセスの体に負荷がかかることは女神様の許可なくできないはずだと言ってきた。
それに対し、私はフローラ様が許可を出したらしいと話すと、シルフィは眉間にシワを寄せた。
「全くフローラ様は…こんな大事な時に何てことを…」
シルフィはフローラ様を呼び出す儀式を始めた。
あ、これまたフローラ様のお説教タイムが始まるパターンだ。
私は自分の部屋に戻った。
その直後、フローラ様の声とシルフィの怒る声が聞こえてきた。
なんかもう、お約束と化してるなぁ…。
結局シルフィのお説教は日が沈み切るまで続いた。
深夜、私たちはエレメントプリンセスに変身し、女神の祠に来た。
アクアプリンセスはすでに祠での儀式の準備を済ませていた。
「いよいよだね」
「満潮まであとどのくらいですか?」
「まもなくです」
アクアプリンセスは、この儀式は満潮になったと同時に始めると言っていた。
シルフィはカウントダウンを始めた。
そして、ついにその時は訪れた。
アクアプリンセスは儀式を始めた。
すると、空に巨大な魔法陣が現れ、そこから水が滝のように流れ落ちてきた。
そして海から大きな波が発生し、私たちのいる場所に向かって押し寄せてきた。
そして、私たちは波に飲まれてしまった。
「くっ!」
「きゃっ!冷たいです…」
「頑張ってください!もうすぐです!」
私たちは流されそうになるのを必死に耐えた。
しばらくすると、波が穏やかになってきた。
そして、すごく綺麗な声が聞こえてきた。
―――我は水の女神アクア。アクアプリンセスよ、此度のそなたの活躍、大義であった。そしてフラワープリンセス、ファイヤープリンセス、そしてフローラの巫女よ、ここまでアクアプリンセスを支えてきてくれたこと、感謝する。さて、此度のことでバブルアイランドは甚大な被害を受けてしまっているようだ。モンスターを全て滅ぼすことは叶わぬが、再び生き物が住むことのできる地にすることはできるだろう
声が途切れると、外が一気に明るくなった。
ただ、夜が明けたとかそういった様子ではなさそうだ。
たぶんアクア様の魔法で強い光が発せられているのかもしれない。
そしてしばらくすると光が収まり、再び夜空が見えるようになった。
―――これで再び全ての生き物が住むことができるようになった。このことをバブルアイランドに住んでいた者たちに伝えると良い
「分かりました」
私たちの答えに返事が返ってくることは無かった。
しかし、アクア様が復活したことで一つ、大きな変化が生まれているのは明らかだった。
「すごい…。チカラがみなぎってきた」
そう。アクアプリンセスのチカラが完全に目覚めたのだ。
これまではアクア様が眠りについていたためアクアプリンセスは本来のチカラを発揮できなかったが、これでようやく全力で戦えるというわけだ。
その時、私の体の周りが光り出した。
そして、どこからともなくフローラ様の声が聞こえてきた。
―――フラワープリンセス。短期間でよくぞアクアを目覚めさせてくれましたね。その功績を讃え、あなたに新たなチカラを授けましょう
フローラ様の言葉が終わると共に、私の足元に魔法陣が現れた。
そしてその魔法陣は強い光を発した。
「きゃっ!!」
私は思わず目を瞑ってしまった。
しばらくして光が収まると、私は自分の姿を確認した。
見た感じ、何か変化は無さそうだった。
―――あなたにはアクアの魔法を授けました。アクアプリンセスは魔法戦士です。前線で戦わなければならない場面も多いでしょう。そんな時にはあなたがアクアの魔法を使って助けてあげなさい
「分かりました」
―――そしてシルフィ、あなたにはこれを
するとシルフィの前に小さな指輪が2つ現れた。
―――それは『契りの指輪』。フラワープリンセスと共に着けることで、貴女とフラワープリンセスは常に繋がることができます
「ありがとうございます」
―――それでは皆さん、他の女神たちのこともお願いします
直後、声が聞こえなくなった。
するとシルフィは私に指輪を渡してきた。
私はシルフィと指輪の交換をした。
「なんか私たち、結婚するみたいだね、シルフィ」
「ふふっ。そうですね」
「でももし私が男だったらシルフィと結婚したいかも」
私がそう言うと、シルフィは顔を赤くした。
「もう…また恥ずかしげもなくそんなことを…」
「お熱いところ申し訳ないんだけど、もう戻るよー」
私たちはファイヤープリンセスの声にハッとして我に返った。
「ねえシルフィ、手繋いで帰ろうよ」
「いいですよ」
私はシルフィの手を恋人繋ぎで握った。
「ちょっ、フラワープリンセス!?」
「いいじゃんいいじゃん」
私たちは手を繋いだまま宿に戻った。
そして、手を繋いだまま一緒に眠りについた。




