新発明は金策から
他の人には使えない、オーダーメイド。
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文体を変更しました。
「ペテル…魔力を込めたら魔力最大値はある程度減少するものだよな?」
「基本的には」
「成長に合わせて魔力が大きくなるってのは一般的な事だし、俺も幼い頃から伸びまくってたのは否定しない」
「データも見たな」
「だけどこれだけ短期間にこんなに伸びた事今まで一度もなかった」
そう。
比例方式で増えていた魔力が、一気に指数関数的に増大している。
何が問題かと言えば、活水拳を使う上では非常に大きな問題だ。よく考えてみれば、活水拳を耐えられたレムはまともにせよ、制御できたはずの技がアリサに当たって大変な事になった、というのもおかしい。
というか、レムを躾けた時点で気がつくべきだった。活水拳の技を、
いくら手加減をしていたとはいえ、六時間以上も使い続けられるわけが無い。
「開発部は?」
「今の時間なら御用聞きが残っていると思いますけど?」
前なら大して気にしなかった魔力量がこんなにも気になるのは、俺が常識的な判断をし始め、常識的な友人を持ったから。
アークの中ではこれはまだ許容範囲内と言えるかもしれない。
けれど、全魔権でこんな魔力をぶっ放してしまえばーー問題になる事甚だしい。
「じゃあその御用聞きに伝えてくれ。新しく俺専用の魔具の開発をする。名前は『暴食』だ」
「グラトニィ、ですか?まさかとは思いますけど、魔力回路を仕込まない魔力制御、もとい吸収装置を使うつもりじゃないでしょうね?」
魔力制御装置。魔力回路を俺が発見し実用化する四年前まで、魔力の暴走が絶えなかったそうだ。
それの対抗手段が魔力吸収装置、『食欲』だった。だが魔力切れを起こす者が続出し、俺もその餌食となった事がある。
思わずムカついて、魔力回路など提案したら…。
言わずもがな、である。
だがその当時から俺は桁違いに魔力を上げていた。そして恐らく、今現在ゲートを一人で数十回フルに使ってもお釣り満載の量である。
「なら、『暴食』開発っきゃねぇ」
「もしかしてオーバーヒート、若干苛立って…ます?」
『俺が食ってルのはたった一万ぽっちなんだが…499万、ネェ?』
レムがじっとりとした目線で俺を射抜く。
「『暴食』を改良すれば俺も活水拳を好き勝手できるわけだし!」
『お、おおいおいおいおい!それは俺のトラウマなんだけど!?』
「かてーこと言うなよ。今まですげー手加減して撃ってたのに、街とかぶっ壊したんだぜ?新しい物は使われてこそだ」
そう。俺の活水拳は、魔法力や単純な体術を越えた、融合的なものだ。
身体強化などもあるが、それとは作用を異にする。例えるなら、魔力を魔法に転換するのではなく、筋肉や骨に直接流し込んで、普段の数倍の力を出す。さらに他流派の柔軟さと魔力による防御、加えて自動治癒も行える。
「いやあ、やるしかない」
「そういうのはわからんでもないが、いくら御用聞きしかいないからってここで相談されても困るわけだ」
「いや?情報部に頼んだのにはきちんと理由がある」
「……悪い予感がする。もはや嫌とかじゃ済まされないレベルで」
俺はそんなことないと慰めてやるつもりで、にっこりと笑う。
「朝飯前だと思うぞ?予算の確保」
二人が凍りついてしまったようだ。
「あは、あはははは………無理っす」
乾いた笑みを響かせるペテル、引きつった顔を笑顔に仕立てるロバート。
「俺があっさり見抜かれたのも分かった気がしますよ」
「気にすんな。俺なんか芽が出なくてくすぶって、裏組織を操って絶対にばれない自信があったのに見つかったからな」
「そんな死刑モノの犯罪良く見逃して…いえ班長一人で見逃しましたね?」
「アークもただの正義集団ってわけじゃねぇだろう。俺は断る。受けてぇならロバート一人でやれよ?」
むう。ロバートも俺にすみませんと言って去った。仕方ない、ダメ元で頼んでみよう。
「いいじゃろ」
「……」
「何意外な顔をしとるんじゃ。新しい技術の発展の一路でもある。加えてワシとしては、孫がようやく常識を持った程の喜びじゃ」
「誰が孫だ誰が」
「ワシ?」
「あんたの祖父なんて知るかー!!!」
とにもかくにも、俺の魔道具開発資金は俺と爺さんの個人通帳から出された。が、俺の預金通帳なんて初めて見たんだけど?
なんか桁がおかしい。一般的な通帳でこんなにゼロばっかなのおかしいでしょ。それあと10冊あるとか言われたし。
「ま、幼い頃から使い勝手が良くて魔道具のアイデア料も特許技術もあったからのう?」
……俺の搾取はすごかったようである。
まあまともな金銭感覚はつかむ事ができたし、その点は感謝すべき…でもない。
よし、これで金策は終わった、仕事にもどろう。
次回は丸々開発物語の…予定…ガクッ
大抵狂うので、別の話かもしれません。




