第5章第1話〜激乱の予感〜
遅くなってまいました…第5章スタートです!
…ここは…どこだ…?俺は…どうなった…?あの方はどうなった…?あの男から命辛々…逃げてきたは良いものの…あの日から…怯えるかのように…生きてきた…このまま…朽ちていくのだろうか…否…あの忌まわしき…血脈と…俺に屈辱を与えた…あの男を…殺すまで…
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京都の戦いから早くも1年、俺や林くんたちは高校2年生となり任務以外では会う機会がめっきり減ってしまった。あの戦いからまだ美香は立ち直れておらず部屋に閉じこもっている。一応この1年間俺や文乃様が毎日美香の部屋に向かって話しかけるがようやく短いながらに返事をするようになったぐらいであった。しかしそれでも俺や文乃様の前に姿を現すことは一切なく逆に俺と文乃様以外だと変わらず返事もしないと言う状態のままであった。
「どーしたものか…」
俺は教室の角っ子で1人呟く、先に言っておくが別にぼっちなわけじゃないぞ?ただ単に喋る人が周りにいないだけだ。というわけで俺の呟きなんて誰にも聞かれないし聞こえてない、そう思っていると途端に隣の席に座っている人が話しかけてきた。
「どーしたの?渡辺くん?」
「…えっ?あぁ…なんでもない」
声をかけてきたのは河原沙織、この4月からこの町に引っ越してきたらしい…と言っても特に話したことなんてないしこの子自体良く色んな男子や女子と話している子だ。
因みにこれはあんまりどうでも良いし偶々聞いただけの話だが彼氏がいるらしい、リア充め爆発しちまえ。
(聞かれてたか…組織のことはこの学校だと学長ぐらいにしか知らないし秘匿すべきことだから気をつけないとな…あ、チャイムなった)
俺は窓際の一番後ろの席なので授業が始まると窓の外を眺める、ここだけの話俺は英語以外なら大体聞いてるだけで理解できるから問題はない。英語は知らん、なんやねんあれ。
(…ん…?)
なんか見られてる、ノートを取るフリをして周りを横目などで見ると隣の河原がちらりと覗いていた。
(なんだこいつ…)
視線にはなぜだか違和感を感じる、興味のある感じや殺意などではなく、まるで監視しているかのような視線であった。ただ何故だか嫌な予感を察した。
「…何見てんの、次の問題あんたが当てられるぞ?」
俺は小声でそう伝えると河原はハッとした顔で黒板の方を向き急いだ様子で教科書などを見る。
(…なんだったんだ?)
まぁ特になんも害はなかったから良かったが…俺は再び窓の外を眺め始める。
(美香…)
未だに部屋から出てこない同年代の少女の事を考える、俺ができることはただ毎日話しかけることしかできない、でもそれがずっと続けるわけにもいかない。それは組織としても、俺個人としてもダメだと思うことだから。
(…そういえばあれからバイケルからは何もしてきてないな…)
そうあの京都の戦い以降低級や野生で湧いた妖怪を除き一度もバイケル本人やその配下を名乗る妖怪との戦闘は無かった。
(そういえば今日は宇佐山城に皆んなが来るから久し振りに会えるな…ここ最近は単独任務が多かったし、3ヶ月ぶりに会うのかな)
そして時間が経ち放課後、俺は終礼が終わるとほぼ同時に教室を後にし学校を後にした。
(あれが渡辺勝斗…ネオプリズム内のハンターで最高戦力の1人…)
「どうなるのか見ものね」
1人の少女が考えているのをすでに去った俺に気づくことは一切無かった。
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宇佐山城に入城した俺はまず城内の一室にノックする。
「…美香?俺だ、勝斗だ。ちゃんと食べてるか?ちゃんと寝れてるか?」
「…うん、大丈夫…」
微かに、小さく美香の声が聞こえた、一応念の為に侍女に聞いてみるとどうやらちゃんと食べて寝ているしお風呂に入っているらしいから良かった。
「それじゃあ…また来るからな」
そう言うと俺は美香の部屋から遠ざかり城内の広間に行き上座に座った。暫くすると林くん達が入って下座に座ってきた。
「よっ勝斗、来たぜー」
「久し振りだな勝斗」
林くんと遥がそう言うとすぐさま互いの報告を行う。
「俺のところは今のところ異常はないな、低級と野生の妖怪以外特になし」
「俺もそうだな、遥、弘、雄也、歩も特に異常は無いらしいぜ」
「それじゃあその他に何かあったりする?」
そのまま会議を進めていくが特段異常という異常が起こっていないためその場で解散しようかと話になり始めた。
「…あ」
「ん?どした勝斗なんかあった?」
俺はふと今日の河原の視線を思い出した、あの殺意でも興味でもない監視するかのような視線、これを話そうかと思ったが。
「ううん、なんでもないから気にせんでいいよ」
(話すような大事でも無いし見られてるだけだったし大丈夫だろ)
「そうか?ならいっか」
「それより久し振りに全員集まったんだ、飯でも行くか!」
「山本にしちゃあいい提案じゃん」
「んだと雄也テメェこの野郎」
弘の提案によって久々に俺達6人で外食に行くことになった。
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「響木、あの人達城から外に出たよ、どーする?」
「ん、今纏まっているから出ても返り討ちにされるだけだから1人1人になるまで待とう。」
「りょーかい」
「ま、何かしら機会があれば良いんだけどなぁ…おっと?」
「どしたの?」
「沙織、武器を用意しときな多分もー少しで出れる」
奴等が跡をつけていることも、この後始まるまた新しい戦いに、この時の俺達は歩みを進めていることに気づいていなかった。




