転移先は謎の神殿
「う……うっううっ……」
「こ……ここは何処なんだ……」
「あたし達……生きているの……」
気が付くと俺は謎の空間にいた。
その空間はなんていうか某RPGにおける神殿のような場所であった。
ただし神殿といっても禍々しい雰囲気を何となく感じた。
「……し……神殿?」
「……ってことは……キターーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
一先ず俺はあたりの様子を伺っていると、異世界に転移したことを知った一部の人間が大はしゃぎしだした。
はしゃいでいるのは男子ばかりだけでなく、女子や教師陣もはしゃいでいた。
まあ大多数は置かれている状況が理解できていなくて混乱していたが……
「健史!」
「詩織!無事だったか……」
「よかった……よかったよぅ……」
バカ騒ぎをしている連中に呆れていたら、詩織が俺の胸に飛び込んできた。
その瞬間見覚えのある殺気を後ろから感じた。
……というより間違えなく詩織の兄の正人さんの殺気であった。
(あの人シスコンだからなぁ~~~~)
自分の幼馴染のシスコンぶりに呆れていると扉が開いて大体十人くらい入ってきた。
立派な鎧を身に纏った人物が6人とそれに囲まれて中央に杖を持った魔術師らしき人物が2人と一番偉そうな女性の組み合わせであった。
「ようこそいらっしゃいました勇者様方……。」
「勇者!?」
「それって俺達のことだよねっ!」
純白の白いドレスを身に纏った女性が俺達を『勇者』と呼んだことで、騒がしかった連中が更に興奮しだして喧しくなった。
確かプラチナブロンドだったかな?そんな髪色をしたシミ一つない白い肌の美女が出迎えたのだから、騒ぎたくなる気持ちは分かる。
しかし……何故か分からないがこの時の俺の頭の中には警報が鳴っていたので、警戒しながら話を聞いていた。
「はい。魔王率いる魔族の軍隊に苦しめられておりましたので、異世界にいるといわれている勇者様方の力を借りられたらと思いまして召喚をさせていただきました。」
「やっぱりな!」
「すっげっ!夢じゃねょな………」
「魔族なんでいる世界があったんだ……」
「漫画やゲームの世界だと思ってたわ……」
魔王軍との戦いと聞いて俺の中の警報は更に音を高くしていった。
「私共人類は、魔王軍による執拗な襲撃を受けております……。勝手に召喚して、いきなり頼むのも申し訳なく思いますが、どうか……我々を助けていただけないでしょうか……」
「「「どうか…お助けくださいませ!」」」
「「「どうか…お助けくださいませ!」」」
王女?らしき人物は、俺達にお願いをしながら言ってきた。
なんか危険なにおいがするのを感じながら俺は一先ず情報が欲しいので、黙って聞いていた。
「それでは、わが国が置かれている状況を私が説明いたしましょう。」
そういって王女?の傍にいた魔術師が俺達にこの国の状況に関して説明をし始めた。
魔術師の説明を簡単にまとめると……
・まず、魔術師の名前はネルヴァで王女の名前はメイア。そしてこの国の名前はアリストロス王国である。
・そして魔王がこの世界を支配しようと魔王軍を率いて攻めてきている。
・我が国よりも国力のある魔王軍の猛攻に何とか耐えている状況である。
・このままでは危険であるため、すがる思いで勇者召喚をしたこと。
・こちらの都合で召喚したうえに身勝手な願いだが何とかこの国を助けてほしい。
・元の世界に帰る方法はこの国には伝わっていないが、魔王軍には必ずあるはずなので助けていただきたい。
・もしも魔王軍を滅ぼしてくれたならば、叶えられる願いを叶えよう……と
そんな魔術師の説明に興奮して盛り上がっているもの、あくまで冷静に状況を見ているもの、興味なさそうに効いているもの、ホームシックになっているものなど様々な反応を見せていた。
ただし俺は魔術師の胡散臭いない話にこれは俺達を戦争の道具にするつもりであると感じた。
……魔王軍に責められているというのに、誰からも悲壮感を感じ取ることが出来ない点。王女とおつきの魔術師が一体何カラットあるんだと聞きたくなるような豪華なアクセサリーを身に着けている点。そしてさっきから違和感を感じているのだが、ネルヴァという魔術師とは別の魔術師がさっきからブツブツ言っているし……。何となく俺の勘がここから逃げろと言っているように聞こえた。
(これはアカンタイプの異世界召喚だな。恐らく元の世界には戻ることはできないだろうからこの国から離れる方法を探さなくては……)
何故か頭がさえわたっていた俺はここから一刻も早く離脱することを考えだした。
「それでは皆様方。『ステータスオープン』と唱えてください。皆様方のステータスが表示されますので……。」
「……何故そのことをしなくてならないんだ?」
殆どの生徒が王女一行の話を聞いて異世界で始まる生活や魔王軍との戦いに沸き立っている一方で、俺と同じように警戒しているような様子の正人さんが王女に若干威圧を込めながら聞いた。俺の傍にいる詩織など胡散臭いと思っている連中は同じように疑いの眼差しを王女一行に向けた。
正人さんの質問に王女一行は来ると分かっていたばかりの表情で答えだした。
「皆様のステータスを考慮して、我々は皆さまを鍛える算段になっております。いくら異世界に召喚された勇者様方といっても、正直な話をしますと戦闘に関しては素人でしょう。」
「あーー。確かにな………」
「うちらが過ごしていたのは平和な日本だから戦いなんてやったことないよね……。」
「うん。ゲームの知識が通用するか分からないからなあ……」
「ですので、指針を確認したいためご協力お願いいたします!」
……もっともらしいことを言っているけど。大方使えない勇者を誰か判断するための材料にしようとしているのが見え見えだな……。戦闘に関しては当たっているけどね。
「なるほど……。我々をサポートするためにステータスを確認する必要があるのですね……。」
「はいっ!」
「……まあそういう理由じゃしゃあねぇよな……」
「それじゃあ……確認しようかな……『ステータスオープン!!』」
「「「ステータスオープン!!」」」
連中の説明に納得したのか周りの連中はステータスを確認しだした。俺達がステータスを確認しだすと王女と魔術師は何かを確認しだした。
「健史……取り合えず確認しましょう?『ステータスオープン!』」
「……ひとまずは確認するか……『ステータスオープン!』」
詩織がステータスを確認しだしたので俺も習って確認することにした。
【名前】 《宮本 健史 (ミヤモト タケフミ)》
【年齢】 《17歳》
【職業】 《???》
【種族】 《人間(異世界人)》
【称号】 《日本人》、《異界から召喚されし者》、《???》、《???》、《N級》
【レベル】 《1》
【体力】 《15/15》
【魔力】 《39》
【攻撃力】 《32》
【防御力】 《40》
【瞬発力】 《???》
【所持スキル】 《???》、《???》、《???》
………ねぇ…。誰か教えてくれ……なんで……???が多いんだよ!?それにN級って何!?ふつうはAとかEとかなんじゃないの!?
一体全体よく分からないステータスを見て俺は固まるしかなかった。




