魔王の謎
前回の話の前半部分加筆してます。
宜しければご覧ください。
俺達は宿を出て、竜人達との別れの挨拶を中央の大広場で交わす。
「また会おう!」「またな」「楽しかったぞ」「カカカッ元気でな」
「ああ!俺も最高に楽しかった!」
「むしろ会いに来いよ」 「何時でも歓迎するぞ!」
本当に気持ちのいい連中だ。必ず会いに行こう。
広場を離れようとして なんとなしに後ろを振り返る
竜人と言えど酒の強さは人並みで 辛そうな者から未だイビキをかいている者等様々
それは人間も同様で 普段なら見てられないダラしない光景
だけど俺には暖かいものに思えて込み上げるものがあった・・・・ウエッ・・・ゲロゲロ
(´・ω・)飲みすぎた
片付けをした後、広場を出て、門の入口で見慣れた出店を見付けるが、別の売り手だった。
「あれ?ここで店を出してたおっちゃんは?」
「ああ、急用が出来たと言って、店を俺に格安で譲ってくれてな、慌ただしく街を出て行ったよ。」
「そうか・・・」
俺が最後迄立っていられたのはガンドの貸してくれた棒のお蔭だ。必ず利子をつけて返しに行くからな。
俺はガンドとの再会を誓いつつ、さてクラフトまで馬車で行くべきかと旅の面子を見やる
レア 自然主義者
ティーナ わんこに跨っている
わんこ そこはかとなく幸せそう
・・・歩きで問題なさそうだな
門の入口でパリスと向かい合う。
「俺の拠点クラフトの街だから、何時でも遊びに来てくれ」
「ああ、妹と一緒に遊びに行くよ!」
「ああ!待ってる」「達者でな」「ふん」
俺達はパリスに見送られ街を出た。
街道を歩きながら俺は疑問に感じている事をティーナに尋ねてみた。
「魔物って魔種とは違う存在なのか?」
「違うよ、但し魔種の影響は受けている、長くなるからオネムにならんようにな」
ナデナデ ナデナデ
「ならない!」
まったく!宿の出来事から何かあると子供扱いだよ・・・う、嬉しくなんかないからな!
「魔種は魔人と呼ばれ、自らの[闇]を用い気に入った相手を侵食するの」
「その[闇]って何なの?夜に訪れる闇と一緒じゃないの?」
「キール良い点に気付いたね」
ティーナは花丸っと指先で大きな円を描く
「へへっよせよ」レア(顔がダラしない)むにゅ~! 俺(イタヒ、性格変わった!?)
「魔人の[闇]とは[見た目]からそう呼ばれるだけ、本質は魔人の持つ魔力の事だ」
「人の魔力とは違うと?」
「全ての種族の魔力と違うね・・・より万能で悪質な魔力と言うべきかな、相手の攻撃を掻き消す事も出来るわ」
「そんな奴倒せんのか?」 無敵じゃね?
「相手より強い魔力を持って攻撃すれば掻き消す事は出来んし、後は退魔剣か神剣を使用して攻撃する事でも同様にダメージを与えることが出来るよ」
「退魔剣と神剣って何?」
「退魔剣と神剣は山の妖精種ドワーフが特殊な技法を持って作った剣ね、特に神剣の威力は凄まじかったけど、あれは禁忌の技を使用しておるからこの先作られる事はないだろうね」
禁忌の技って・・・むしろ魔剣の方が似合ってんじゃねえの?
「圧倒的な強さを誇る魔人だけど、数が少なく幾ら強いと言ってもそれだけでは驚異にはならない、魔人の驚異、それは先に述べた魔力・・・つまり闇ね、この闇による侵食が問題となる。侵食された相手は魔種の言う事に全て従う家畜と化すの」
「それなら家畜じゃなくて奴隷とか人形のほうが適切じゃないか?」
「其処が特に魔人が忌み恐れられる理由だね、侵食の時に奴らは相手の魔力を食べるのだけど、その食われた魔力は時と共に回復する、その時支配された意識も戻っていき完全に精神は回復するの」
「元に戻るんじゃん」
「精神だけね、体の支配は奪われたまま。つまり大事にしている家族を正常な精神を持ったまま操られて殺すなんて事もありうる・・・此処までは人形の表現が正しいだろうね」
・・・現時点で吐き気がする内容だが、ティーナの話は終わらない
「魔力が回復したら再び闇に食べられる。生きたまま延々と食われ続けるんだ・・・タチの悪いのは魔力回復の時、壊れた精神も正常に戻ってしまう事ね」
ああ・・・食われるために育てられる。
「成程・・・まさに家畜だ。」
「ここで本題の魔物の話に戻るんだけど、魔物とは闇の影響で突然変異を起こした動物の事ね」
本題の説明の方が短そうだな・・・
「故に魔物は人でも操る事が出来るぐらい単純な者も多く凶悪な存在はいても脅威ではない、そんなところかな」
「本当に魔種って恐ろしいな・・・それなら魔王は何なの?強い魔人みたいな感じ?」
「魔王は正確には誰も解明出来なかった・・・分かるのは超越した強さね。武器を使えば誰よりも上手く扱え、魔力においても敵うものは居ない、闇を持たぬ存在でありながら闇に侵食される事はなく、しかも闇と同じ様にその魔力は全てを掻き消す事が出来る・・・それは神剣でさえ大きなダメージを与える事は出来なかった。更には全ての種族の天敵の筈の魔人に好かれ従えるカリスマ、洞窟で魔王を倒したという話をレアがしてたけど正確には違うの・・・死んでいた・・・これが正しい表現、その死すら謎、それが魔王よ」
「はあ・・・良く勝てたな・・・絶望的じゃないか」
「歯が立たないのは魔王だけだからね、魔王が死んだ後は何とかなった感じね」
凄いな魔王謎の死か・・・現代魔王で名探偵の妹に推理してもらうかな、などと益体ない思考に身を委ねていたら、一つの気配がこちらに近づいてきた。
「皆さんこんにちは。私はマリー、森のエルフでこちらの世界の情報を集めています。どうか私と一緒に森に来て貰えないでしょうか?」
目の前に美しい女性が姿を現した・・・いやこれは眼福
肌はどこまでも白く透き通っている
布の服で最低限しか覆われていないのに其処にやらしさは無い
耳が長く白い髪は肩まで伸びている
・・・眼福・・イタタ、ティ!イタタ、レ!ヒタイヒタイ・・・もう止めて・・・
「デレデレしおって」「キー坊ダラしない」
「カリカリすんなよ・・・!分かった俺が悪かった」
「クス、楽しそうですね、それでは此方に来て頂けますか?」
「ああ、ついて行くよ」
俺が付いて行こうとするとティーナが突然声を上げる
「あれ!?マリーよ、なんだか匂わないか?」
突然何を言い出すんだ?他の皆もキョトンとしている。
マリーは苦笑いしつつ答える。
「何も匂いませんよ?」
「いいや匂う、薄汚い闇の匂いが[目]に見える程にね!」
言いつつティーナはナイフを投擲する!マリーは首だけ動かし難なく避けてニヤリと笑う
「乱暴ね、安心させてゆっくり絶望させてあげようと思ったのに」
おいおいマリーの白い肌が黒く変色していくよ・・・ちょっと怖いな、マリーがぼそっと何かを呟いた瞬間7つの光球が出現するが、全てがすぐに消え去る!驚愕に顔を歪めるマリー
「ククク、光の最大魔法かやるじゃない、でも真紅の魔眼に対しては児戯に等しいわね」
言いつつマリーに近づくティーナ、真紅の魔眼とかで動きを封じられているのかマリーは動かない
「手に入れたばかりの玩具を壊さないでくれよ」
突然間を割って入ってきた声がマリーの呪縛を解き放つ、いつの間にか現れた男の後ろにマリーは下がる。
声も言葉遣いも子供にしか見えない
黒の伯爵服に黒のマントを身に着け
スラリとした背丈に凛々しい顔立ち
見た目は大人の貴族といった雰囲気
なんなんだ?一体・・・体が震える・・・こいつは何だ!?
「最近コツコツ増やしてた玩具がどんどん壊されててね、苦労して手に入れた竜人使って竜人なりきりごっこをしてたら壊されちゃって泣きそうになっちゃったけど・・・今回は放し飼いにしなくて良かった!お姉さん美味しそうだし!」
「ふん、魔人とはいえ一人で現れたのは失策であったな、我はティーナ・ヴラドツェペリ、全ての吸血種の始祖にして頂点、貴様如きに食われはせぬわ!」
お互いの言葉を合図に動き出す二人・・・ハッキリ言って何してるのか全く分からん!早すぎる・・・互角の戦いに感じるが俺の中で不安は大きくなる一方だ・・・震えが止まらない。
激しい魔力のぶつかり合いが止まり二人は大きく距離を取る
「やるではないか、我と互角とはな」
「ふひっふひひ!互角と思った?思ったんだ!?お姉さんに合わせてあげたの・・・ほら、ほらっ、ほらっ!どう感じる僕の魔力!手加減されてるって気付いた?ねえ絶望した!?」
濃密な闇が男から漏れ出ている・・・考えろ 考えろ 何か手は
焦る俺を尻目にティーナは余裕たっぷりの声で返す。
「愚か者が、魔力だけが勝負を決めると思うたか、我が手にその退魔の輝きと共に姿を現せ、神剣ヴァン・ヘルシングよ!」
ティーナの宣言と同時にわんこの体が光り輝き剣へ変化すると、クルクル回ってティーナの手の中に収まった!男を覆う闇が薄くなっていく
「何!?神剣だと!!!」 ・・・なんだ
「ククク、遊ぶつもりはない、消滅せよ!」 ・・・なんだこの
気付けば男の胸には剣が突き刺さっている ・・・得体の知れない
「グワー!」 ・・・違和感は!
「ティーナ!そいつから離れろ!」
「!」
俺の声に反射的に後ろに下がるティーナ、瞬間ティーナが先ほどまで居た場所に突き刺さる神剣
「ちぇっ、何だよ君は、折角信頼してた神剣で逆に死にかけるって最高のシチュエーションだったのに・・・台無しだよ」
「神剣が効かぬなどあり得ぬ!・・・まさか貴様・・・魔王か!?・・・だとしたら何故闇が使える!?」
「あ~あバレちゃった。もっともっと追い込んでギリギリでバラしたかったのに、魔王が使えないものを何時までも使えないままにしとくわけがないでしょ?・・・そうだ君を使おう!」
男は言った瞬間俺の前に出現し抵抗する間もなく意識は沈んだ。
・・・・ 誰かが叫んでる
・・・・ 泣いている
・・・・ 遠い昔に見た記憶に
・・・・ どこか似ている
火だるまの女の子がか細い声で縋ってくる「・・・助けて」
・・バキ・・ボキ・・少し目の前の光景が見えてくる誰か殴られてる?
目を凝らす・・・何とか・・・見えた・・・あれは・・ティーナか!
意識が大きく覚醒する!クソッ誰に殴られている!?あの男か!?・・・あ?この視点は何だ!?・・・それじゃあ殴ってるのは・・・俺なのか!?・・クソッ!・・・止めろ・・止めろ―――!・・・クソ・・・また意識が・・・
血塗れの誰かが死にかけてる・・・俺のせいで死ぬ少女は・・・何一つ悔いのない顔で
「ありがとう」
また失うだと!?また守れぬだと!?俺が・・・我が!そのような事許せるはずがない!許すはずがない!!!
――――――――――――
ふひひっ、ふひひひ、楽しい、楽しいよっ、僕はもうイキそうだよっ!
いいよその顔!もう一人もすぐに拘束外して男にいたぶらせてあげるから、待てよ?
この醜く膨れ上がって可愛くなったお姉さんと僕とこの男で 徹底的に犯すとか
ふひひっ最高だ! ? おいっ何止まってんの? もっと殴れよ ? お前 何やってる?
――――――――――――
バキッ・・・ボキ・・・私は悔しい・・・動きを封じられ・・・殴られている事がじゃない
大事な・・・バキ・・・家族を・・・ボキッ・・・守れない事が・・・悔しい!!
キール・・・ゴメン・・・?・・・あれっ?
――――――――――――
私の耳にただ殴る音だけが聞こえてくる・・・今の私は洞窟に居た時のような力はない
キー坊! キー坊! キー坊! 私の叫びは届かない
ふひひふひひと 不愉快な声が響く許せない・・・許せない!
私の家族を傷つけるクソが!私の[生命]ごとぶつけてやる!
? 拘束が解けた? 私は後ろを振り返る あれは・・・
――――――――――――
俺は魔力でティーナの傷を治す・・・・傷一つないきれいな肌だ
「お前 何やってる?」
「黙れ屑」「ふぐっ」
俺は右手でぶん殴る!おー吹っ飛んで行ったねー、会心の一撃だ。
マリーが俺に斬りかかってきたので、唇から魔力を送り込み闇から開放する。
「ば、馬鹿な・・・侵食が・・・外れるなど!」
「馬鹿はお前だ」「どぎゅっ」
俺は左手でぶん殴る!地面に頭がめり込んだ、ホールイワンだね。
屑は器用に頭を外し、闇を増幅させる。
「ふひひっ馬鹿が!余裕を見せてる間に」
「馬鹿はお前だ」「ニーチェっ」「誰がニートだ」「チェリーっ」「卒業した」
俺は襟を捕まえ往復ビンタをする。みるみる膨れ上がる屑の顔
・・・もっとだな「アヴァっ」
俺は黒く染まった、わんこの剣をその手に掴む、輝きを取り戻す剣
「貴様何者だ!?」
「お前に名乗る名は無い」
俺は剣を振り下ろす・・・ム・・消えた・・・
「ふひひっ空間転移は出来まい!この屈辱は貴様の周りの・・・ふひっ?」
「逃すわけないだろ?」
俺は空間から屑を引き摺り下ろし、今度こそ微塵切りにして肉片を燃やす
俺はその炎を踏み潰し吐き捨てる。
「きたねえ花火だ」
名前 キール・ライトニング ♂ 18歳
LV ???
HP??? MP???
職業 ???
筋力 ???
俊敏 ???
知性 ???
直感 ???
器用 ???
意思 ???
魅力 ???
幸運 ???
技能 ・・う・・ん・・た・
加護 無し




