もしかして今オレ、めっちゃ褒められてるの?
「血は正直だ。アンタなら浮遊の術も確実に覚えられるだろうよ」
「はぁ……」
「ジェード様、すごいですわ!」
ジェードさんよりはるかにテンションが高いアリシア様。もう目がハートの勢いだ。いやでも、ホント凄いと思う。
「アルディア様が見えるなら、相手の位置も見当はつけやすいだろうさ。これだけ海が荒れてるんだ。アルディア様と仲違いしているのは、水の大精霊オッティマクアだろう。世界中の海を回ってるって話なのに、なんでまたここに留まって喧嘩なんかしてるんだかねぇ」
「水の大精霊……」
「仲裁してやりゃあ嵐も収まるかも知れんが、人間なんかが行ったところで話を聞くどころか姿も拝めない輩が大部分だろう? アタシが行ってやろうにも見ての通り老いぼれだ。ヘソを曲げてる『力ある者』達を根気よく説得するなんて芸当はもう難しいんだよ」
「それでジェードに?」
「そうさ」
「オレ!!!??? いや無理でしょ、そんな大役!」
「アンタ、アルディア様が好きそうな顔してるよ。ニコニコしてりゃあ何とかなる」
「顔!?」
「そんなの危険ですわ!」
ショックを受けるジェードさんの横で、アリシア様がぷくっとほっぺたを膨らませる。気持ちは分かるなぁ。あたしだって大精霊様がリカルド様にもし惚れちゃうような事があったら複雑だもん。
強大な加護が貰えるかも知れないけど、ご機嫌を損ねたらそれこそどんなひどい目にあわされるかだって分からないし。そもそも彼女と水の大精霊様がご機嫌を損ねてるばっかりに、今まさに嵐がおきまくってたくさんの人が困ってるわけだもんね。
確かにこれ以上怒らせたくはないなぁ。
ジェードさんが渋るのもわかるかもしれない。
「しかしそれ以外に今考えられる手はないだろう」
「そりゃそうだけどさ」
「皆船が出せずに困っているんだ。できるだけの事をしよう」
「そりゃ分かってるけどさ」
リカルド様のド正論に、ジェードさんが唇を尖らせる。リカルド様は騎士の家系でこれまでもずっと主席を維持してきた責任感の塊みたいな人だから何の迷いもなくそう思えるんだろうけど、あたしは万年落ちこぼれだったからさ、自信がないっていうジェードさんの迷いの方がわかっちゃうんだ。
「実際、エルフの血の事がなくてもこの件についてはジェードが適任だと思う。俺もできる限りのサポートをする。頑張ってみてくれないだろうか」
「え? なんでオレが適任!?」
「ジェードはコミュニケーション能力が高いし人に合わせた話し方が出来る。対応力も高いし、俺達四人の中では最も上手く交渉出来るだろう」
「えっ……もしかして今オレ、めっちゃ褒められてるの?」
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