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蠕動 黒の一族の復活 4

老けた王様の愚痴さく裂です。 そして漸く1巻分完了。

今回も少し短いです(^^;

「私にはささやかな望みがあった、、、」

ぽつぽつと王が語り出す。

「まだ父王が存命だった頃

 私には言い交した娘が居た

 美しい羽の愛しい娘

 彼女と結ばれ共に幸せに暮らす

 それが私のささやかな望みだった。

 だが、、、

 彼女は蜘蛛に殺された

 彼女は私の子を身ごもっていた

 蜘蛛は彼女の腹を裂き胎児(私の子)を狙って喰ったのだ」

話しながら当時の苦痛に顔が歪む。

「解るか?!最愛の女と我が子を蜘蛛にくわれた私の思いがっ!

 私の嘆きがっ!解るかっ?!」

怒りにムカサムの眼が見開き声が荒ぐ。

「父は、、王は無論白の里に蜘蛛討伐を願い出た

 白の剣士が数名来て近辺の山や森を狩り

 2匹の蜘蛛が討伐された、、、

 2匹だぞっ!たった2匹、、、っ!

 年間幻羽人が何百、何千人蜘蛛の犠牲になっていると思う?!

 幻羽人の血肉を喰いあさるあの悍ましい化け物にっ!」

「蜘蛛などすべて狩り尽くせばいいっ!

 皆殺してしまえばいいんだっ!

 幻羽人にはそんな真似は出来ないが

 古の一族なら、、、白の一族なら出来るはずだっ!」

シェラを指差し怒鳴り続ける。

「私は父を介して白の里にそう進言したよ

幻羽世界に居る総ての蜘蛛を滅ぼしてくれ、とな

だが、白の王子は何と言って返したと思う!

 『蜘蛛もまたこの幻羽世界の住人

  むやみに殺めてよいものだろうか』

 こう言ったんだぞ!あんた等の王子はっ!!」

一気に語り、白の一族への憤怒をぶつける。

「蜘蛛に喰われるのは幻羽人だけだ!

 白の一族は喰われたりはせん!

 所詮白の一族にとっては他人事なのだ

 幻羽人がいくら喰われようがかまわんのだっ!」

その怒りに慌ててシェラは反論する。

「それは違うっ!

 シュリアン様はもっと広いお考えでそう言われたのだ。

 王!第一、貴方は思い違いをされているぞ

 我々白の一族にとっても蜘蛛は脅威だ!

 決して他人事とも思ってはおらんし幻羽人の命をないがしろにしている訳では

 無い!」

シェラの言葉に自嘲ぎみにムカサムは笑う。

「そうだな、、、それは認めよう

 どうやら私は白の一族を過大評価していたようだ

 あの娘は我々とさほど変わらなかった

 あの娘なら蜘蛛には勝てんいい餌だ

 同じ顔をしておらねば到底白の一族の娘だとは信じらんかったからな」

ムカサムの言葉にシェラが反応する。

「あの娘?」

「しかしもはやそんな事はどうでもいい事だ

 どうせ、白の一族は蜘蛛を滅ぼしてはくれんのだろう?

 だから私は白の一族を見限る事にしたよ」

何を言っているのだこの王は?

シェラは嫌な予感が渦巻く中王の言葉をじっと聞いていた。

「騎士殿

 なぜ白の一族を見限った私がそなた達を招いたと思う?

 知っておるか?

 黒の一族を遙か昔、異空間に幽閉したと伝えられる

 封印の要石を破壊するのに何が必要か

 血だ

 だが、幻羽人の血で何度試しても駄目だった

 白の一族の血が必要だったのだ

 白の一族の封印を破るのは穢れた白の血だったのよ」

くくくっと笑いながらムカサムが語る。

シェラの中で全てが繋がる。

「ミューズ!ミューズの事か?!

 ミューズをどうした?!」

ミューズ、平和だと思っていた城下に一人行かせてしまった。

全てが仕組まれた事とは知らずに、シェラの中で後悔と焦りが沸き起こる。

「あの娘ミューズというのか

 そうよ、司祭役の娘と同じ顔の娘よ

 もっとも何度も熱湯を顔に浴びせられて、今は焼けただれ面影も無いがな

 封印を破るのに必要なのは穢れた血だ、恐怖と憎悪にまみれた血が必要なのだ

 小娘から、恐怖と憎悪を引き出すくらい動作も無い事だ

 我々で散々輪姦してやった!

 まだ男を知らん無垢な身体を無理やり引き裂き貫いてやったわ

 それからずっともう何時間も女を抱くことしか能のない気狂いの男に

 弄ばれ続けておるわ

 これから腹を断ち割り臓物を抉り出す、私の愛しいひとが蜘蛛にされたようにな」

シェラに衝撃が走る。

「どけいっ!そんな事はさせん!」

剣に手をかけるシェラをムカサムがいち早く切りつける。

「もう遅いわっ!」

キンッと硬質の音がし、後から剣を抜いたシェラの方が早く振りぬき

王の黒魔剣のみを叩き斬る。

「愚か者っ!たかが黒魔剣ごときでこのシェラを止められはせん!」

「ふふふ、、、あくまで剣のみを断ち私は切らんのか、、、

 流石よの白の騎士殿、だがもう遅い、、、なにもかもな」

ごふっと口から大量の血を吐き崩れ落ちる。

もうすでにムカサムの命は黒魔剣に吸い取られていた。

その苦しい息の中ムサカムは笑う。

「私は唯の囮よ、、、私の真の目的は時間稼ぎ、、、

 貴殿の足止めだ

 長々と話してやったのもその為よ、、、

 私の、、目的は、、充分果たせた、、、」

「なにっ!」

シェラがムサカムに振り返った時地響きが鳴り始める。

「もう、、、小娘の臓物、、、と血で、、、封印を解除

 魔方陣を、、、」

ヒューヒューなる息でムサカムは笑い続ける。

「馬鹿な!黒の一族を復活させるというのか?

 そんな事をすれば、この幻羽世界は!」

「は、、はは、、そう、、幻羽、、、世界は

 滅亡、、する、、、

 わた、、望、、、、く、、蜘 蛛、、も、、な、、、」

ムサカムはこと切れた。

ぎりっと歯を噛み締めシェラは走り出した。

そんな事はさせない!自分の命に代えても!と。



黒い男たちはミューズの腹を裂き、彼女の臓物で魔方陣を書こうとしていた。

腹を断ち割られた状態でもまだミューズの息はあった。

腹圧で臓器が飛び出す。

笑いながら男たちは臓物をひったくり魔方陣を書き上げていく。

やがて魔方陣が書き上がった頃ミューズは息絶えた。

3人の黒マントの男が微力な魔力を注ぎ込む。

彼らは黒の末裔である、大戦時に密かに散った者達だった。

微力故幻羽人に紛れ込み、白の一族にも気づかれることなく

脈々と生き残り今日のこの日を夢見生きた者達であった。


魔力に反応して魔方陣から黒い磁気場が発生し、黒い稲妻が神殿の中を走る。

祭壇の要石に向かって。

ビシッという音と共に要石にひびが入る。

のたうつ稲妻が何度も攻撃を繰り返す、要石のひびは広がり

相反して魔方陣の上部の空間に黒い球体が浮かび上がる。

要石が砕け散った時、球体は大きく膨らみ稲妻が吸い込まれる。

「おお、、、」

「おおおお、、、」

男たちが歓喜に泣き崩れる。

「見よ、空間が開く」

「永かった、、、くさとして潜み、隠れて生き、、、」

「いつか異空間に幽閉された同胞を

 解放せんと、、、

 ようやく、ようやくかなうわい、、、」

黒い雷が辺りにのたうち回り空間を裂く轟音と地響きがしだいに大きくなる。

ドンッ!一際大きな爆音がし、直後に静寂が空間を支配する。


黒い雷が掻き消えた中、数名の人影が現れる。

「へ~、しっかり繋がったな、感心、感心」

場にそぐわぬ明るい声が響く。

そこには黒の一族が居た。






 


 


 

 





 


 

 

 

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