希夏の呼び出し
「小篠くん顔が怒ってるよ。どうしたの。」
「希夏と萌咲が撮影の雰囲気ぶち壊し、まじやってらんねぇ。」
俺は手早くメイクを落としていた。
「まぁまぁ、僕もスケジュール頑張って合わせるから。」
「絶対な!仕事まで影響だしたくねぇし。」
「せめて仕事は仕事で割り切って欲しいね。」
「ほんとだよ。てか俺のことでそこまで喧嘩する必要なくない?」
「二人とも小篠くんが大好きなんだよ。」
「(ヾノ・∀・`)ナイナイ」
「いや、あるから喧嘩してるんでしょーよ。」
「まあ、そうだろうな。」
「はい、小篠くんついたよ。今日もお疲れ様。」
「サンキュー。ありがとな、川上さん」
俺は車から降りて部屋に入った。
希夏は、俺のこと好きなわけない。
だって他の男と一緒にいたんだから。
俺なんて、必要ない。
《プルルルル……》
電話が鳴った。希夏からだった。
「もしもし?」
『あ、翔太?今から会えない?』
「え、なんで?」
『会って話がしたい。』
「……なんの?」
『お願い来て。』
「どこまで?」
『私の家、鍵あいてるから入ってきていいよ』
「……わかった。」
俺は希夏の家に向かった。
ドアの鍵は開いていたためすぐに入れた。
「おじゃまします……」
玄関には2足の靴が置いてあった。
「希夏?」
リビングには誰も居なかった。
でもかすかに隣の部屋から声が聞こえた。
ベットが揺れる音、希夏の甘い声。
俺を呼び出してどうしたいんだろう。
一旦希夏の家から出た。そして電話をかけた。
もちろん繋がるわけない。
だから、俺は家の前で待つことにした。




