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1話

俺『大平悟』(おおひらさとる)大学生20歳は今、楽しみで仕方なかった。夏の期間しか航海されない旅客船ヴィーナス。

太陽の光で海がキラキラ反射するここ日本海側の沖縄港から北海道港の間の各港に停泊し17日かけて日本を南から北へと渡っていく。

記念すべき旅の始まりである今日、その最初の出発する便に俺は乗った。

もしかしたら観光名所を巡って旅先の人と仲良く、一期一会なんてこともあるかもしれない。

心が弾んで思わず顔がニヤけてしまった。


「さてと、とりあえず自分の部屋に荷物でも置きに行こうかな」


「ブォオオオオオー」


ヴィーナスから出航する音が鳴り響きだした。

すると入口から女の子の声がした。


「やばいやばい乗り遅れる、待ってー!」


と、時間ギリギリに乗って突っ走ってきた女の子は俺と思いっきりぶつかりお互い倒れた。


「いててて。ふぅーあぶない、乗り遅れる所だった・・・あ?ごめーん私のせいで倒れちゃった?」


「ああ大丈夫。平気だよ」


そう言って体勢を立て直す俺


「それより乗り遅れなくてよかった。旅の始まりが台無しになる所だったね」


そう言うと俺は女の子に立ち上がるように手を差し伸べ、女の子は手をつかむ。


「ありがとう。あ、そう私『河口光』(かわぐちひかる)っていうんだ。21歳、大学生君の名前を教えてよ」


野球帽をかぶった水色ジーンズに白色長袖シャツのボーイッシュな格好をした子が言った。


「俺は『大平悟』。年は一緒だね。同じ大学生。ここ沖縄からあてもなくブラブラ船旅をしようとしてるんだ」


「なんだ同じだ。私もここから北海道まで旅をするつもりなんだ、目的もなくね。まあこれから色々とよろしく頼むよ旅の仲間として」


彼女がポンポンと俺の肩をたたく。距離感が近い女の子だなと思った。


「じゃあ俺自分の部屋に行くから、また」


「ああ、じゃあまたね!」


彼女はそういうと手を振っていった。


・・・


自室について荷物を下ろすと一休憩。


「すごい良い部屋だな。ベットにイスつき。窓から見える大海、うーん文句なし。100点満点中100点あげられるくらいだ」

「ふー・・・ここでゆっくりしててもいいんだけど、せっかく船にいるんだし、船内を散策してみるか」


そう言うと自分の部屋を後にした。


・・・


まず先に食堂室に訪れた俺は真っ先に目を疑った。天上から吊るされたきらびやかに輝くシャンデリア。

クラシックなイスとテーブル。ここは本当に船の中か!?竜宮城か(?)豪華すぎる、さすが旅客船と名乗るだけのことはある。


「ふむふむ、せっかく来たんだから何か注文して食べてみるか」


イスに腰掛ける。フランス料理、日本料理、中華料理。その料理の豊富さは街のレストランと遜色ないレベルの品の数だ。

また味も美味いだろうなとメニュー表を眺めながら想像した。


「フランス料理と中華料理も捨てがたいがうーむ・・・ここはやはり王道の日本料理でいこう」


すみません、と言うと店員さんがかけつけ、注文をとるとしばらくお待ちくださいと言われた。しばらくして、頼んだ寿司がきた。


「うっほおおお!船の上で大トロ食えるなんて時代も発展したな」


そう言って一口、パクッ。


「味も最高かよ・・・」


脂ののった大トロにワサビの辛さ、シャリの味とマッチして、想像してた通りに美味い。

もういい、俺ここで死んでもいい、いやだめだけど。

そんなオーバーなリアクションをするほど美味かった。

そうして食べたものを水で流し込み、早々と食べ終える。

会計をすませ他の部屋へ移動することにした。


・・・

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