50)楽しみは明日
短めです。
コルツエはリカルドと十分話し合った結果、婚約を了承してくれた。
何があったか解らないが、とりあえず部屋のものが壊れていたことにリザリーは驚いてミレンダを見たが、ミレンダはニコニコしているだけで部屋の状況には何も触れずに、リザリーに良かったわねと言っただけだった。
リカルドに聞くと、男の話し合いをしただけだよ?と軽くいなされてしまう。
リザリーは小さなため息をついた。
リザリーが祖父母と暮らすにも、まずは部屋を整えてからということになり、今日のところは城に戻ることになった。
城に戻り、リザリーとリカルドは手を繋ぎながら部屋へと歩いていると廊下の先に人影を捉えた。
カイゼリンが広く長い廊下の真ん中で壁画を一人眺めていた。
リザリーとリカルドが歩いてくるのに気づくと振り返り声をかけた。
「おかえりなさい」
「カイゼリン・・・ただいま」
リザリーは返事をした。
その様子に笑顔を残してカイゼリンは背後にある窓側へと下がっていった。
「・・・最後に二人に挨拶をしたくて、私はそろそろ天上界に一旦戻るわ」
「カイゼリン?・・・あの、また会えますよね?」
その言葉にリカルドとカイゼリンが息を飲んだ気がした。
「・・えぇ、またね」
そう言ってカイゼリンは手を振って分かれた。
部屋に戻ってからリザリーは先ほどから黙っているリカルドにきまづげに聞いた。
「カイゼリンとはやっぱり会えなくなるのかな?」
「・・・どうしてだい?」
「よくよく考えたら、カイゼリンって皇后なわけでしょ?今私がこうして会えているのが奇跡てきな事であって・・・それなのに、また会えますよね?って聞いた私って迷惑だったかなって」
「いや・・・カイゼリンは嬉しいと思うよ。・・・君の事を娘のように気に留めてるし。」
「そう?ならよかった」
そう言ってリザリーは目頭を押さえた、なぜか先ほどからズキズキと頭痛がしはじめてきたのだ。
「・・・どうした?リザリー」
「んー疲れたのかな?頭が少し痛くて」
「きっと、緊張してたんだよ。今日はもう休んだ方がいいよ」
「そうだね、ありがとうリカルド」
そういうと、リカルドはリザリーのおでこにキスを落としてお休みと言って部屋を出て行った。
リザリーは着替えてベットに横になると、眠気が襲ってきた。
「明日も忙しいな。」
そう、明日はいろいろと買い揃えると祖母と約束したのだ。
なんだが久しぶりにワクワクしてきて、リザリーは一人笑いながら眠りについた。