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英雄の心がわり  作者: 酔夫人(旧:綴)


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黄褐色の最愛(3)

「監禁って、どこまでやったら犯罪なんだ?」

「本気で言っているのか?」

「本気だからボーダーラインを知りたい」


リリアンナの愛を失う覚悟でやったことだが、あれから事態は二転三転した。


もちろんイグナシオもリリアンナが素直に堕胎に応じるとは思わなかった。リリアンナが腹の子を大事にしていることをイグナシオは知っていたし、堕胎させられる理由が夫に他に愛する女ができたというふざけたものだからだ。


(愛されないなら、と泣いて去るような女ではない)


リリアンナは聖女のような見た目をしているが、中身は苛烈である。


父親に紛争地帯を連れ回されたおかげで精神力と忍耐力は新人騎士よりタフ、華奢な見た目に反して行動力も過分なほどある。


その過分な行動力のおかげでリリアンナは土砂崩れの被害に遭わず、エアハルトを殺すという最悪の選択からイグナシオを救ってくれたわけなのだが、そういうリリアンナなので 「やっぱり許せない」とリリアンナが背を向ける場面しかイグナシオには想像できずにいた。


(俺の妻になることも、エアハルトを守るための、致し方なしだ)


まだエアハルトが幼いため、エアハルトの後ろ盾であるリリアンナが「まだ残る」と選択したことは、イグナシオにも分かっている。



「残る意志を見せられたら、監禁するわけにはいかない」

「だから即監禁って考えるなよ。二人で話し合えよ」


「話し合って、リリアンナが別れると言ったらその場で監禁する自信がある」

「そんな自信、あるなよ」


「リリアンナもそれを分かっている。だから残るというはずだ。そしてタイミングを見計らって逃げるはずだ。確実に逃げるためなら、五年でも十年でもジッと待つタイプだ」

「似たもの夫婦過ぎない、お前たち」

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