第11話:カナデ
クレナが決意した時、カナデがやってきた。
「カナデ…。決まったの?」
そう聞くと、カナデは頷いた。
「うん。…クレナ、私を壊して。」
「本当に…。それでいいのね…?」
「うん。構わないよ〜。」
カナデはそういつものように言った。
「それじゃあ準備するから、ちょっと待っててね…。」
クレナが道具を持って戻ってきた時、カナデはまだその場にいた。
「もう一度聞くけど…。本当にそれでいいのね?」
「うん。」
答えを聞くと、クレナは道具に手を伸ばし、作業を開始しようとした。
「ねぇクレナ〜。聞いてくれる〜?」
そうカナデが言ったので、クレナは手を止めていいよ、と言った。
「あのね、クレナの前では隠してたんだけど、シアは凄く怖がりなの〜。だから、ケイもだと思うけど、最期まで生きるって決断をすると思う〜。ケイは生きたいって思ってるみたいだし〜。2人が生きるって決めた時はちゃんと一緒にいてね〜?」
「うん。分かった。約束する。」
「ならいいんだ〜。クレナ、いいよ〜。」
その言葉を聞くと、クレナは作業を開始した。
―――クレナ〜。この本何〜?たくさん服が載ってあるけど〜。―――
―――これはね、人形の服の作り方の本だよ。―――
―――え〜、そうなの〜?じゃあ、今度この服作って〜?―――
―――いいよ。―――
―――やった〜。―――
―――クレナ〜。この服どう〜?―――
―――人形の服ですか?―――
―――うん。そうなの〜。―――
―――うわぁ、この布凄く綺麗…!どこで買ったんですか!?―――
―――あのね〜。この間穴場的なお店見つけたの〜。今度5人で行こうよ〜。―――
カナデ…、カナデ先輩…。
他の人よりのんびりとしていらっしゃいましたが、その分じっくりと物事を見ていらして、いろんなお店や情報を知っていましたね。
先輩がいてくれて、本当に嬉しかったです…。
クレナは、最後のコードを切断した―――
「カナデ…。壊れちゃったのかな…。」
「多分…。」
「シアは…、どうするの…?」
「まだ決めてない…。」
それから長い沈黙が続いた。
しばらくの沈黙の後、シアがドアの方へ向かった。
「シア!…シアも、壊される事を選ぶの…?」
ケイの問いに、シアは応えず、ドアの向こうに消えた。