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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
其れは、紅く燃える強者の大陸
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195 炎帝領域渡り その2 領域の中の村

"炎帝領域渡り編"は数回続きますが、先に言っておきます。

一緒に行動しているプレイヤーたちの名前は決めていません。ごり押してます。



「着いたな。此処に入れば一先ず安心だ」


 炎帝領域の熱風に晒されながら辿り着いた安全地帯。其処は紛れもなく人が住まう場所だった。話で聞く限りでは環境の理由で信用できなかったが実際に入ってみれば集落として機能しており、NPC・プレイヤー共に確認出来る。


「さっきまでがアレだったから変な感じだな。削られる感じがねえ」

「判定が変わったから?」


 外からの熱気は相変わらず感じるけれど、先程迄とは違って熱気によってHPが減る気配は無くなっている。領域自体がフィールドにしか影響していないのか其れともこの場所自体が特殊なのか、どちらにしろ、景色が変わらず領域の中なので少し変な感覚である。


「其処まで盛んという訳では無いが、取引も行われているから先が心配なら今のうちに補充しておいた方が良い」


 その言葉の通りに、大きい商店ではなく露店という形ではあるが店は存在している。中継地点だからなのか今もプレイヤーたちが列を作って露店で取引していたりする。この場所の広さからして其程多くはなく、片手で数えられる程度しか存在しない。


「…最低限しか無い感じか」

「通り抜ける前提なんだろうね此処は」

「では少しの間解散としよう。俺は此処で待っているから準備が済んだら呼んでくれ」


 案内役の言葉で即席集団は一先ず解散となった。あちらのプレイヤーたちも領域内では少しは余裕を保っていたように思えたけれど念の為に補充をするようで店の方へとそれぞれ向かっていった。其れを受けて私たちも露店の方へと向かう。


「補充をしないといけないのは確かだけど、此れは時間が掛かりそうね」

「みんな同じ事考えてるからね」


 耐性が不十分で回復アイテムをかなり使ったので補充をしなければいけないのだけど、露店の方が少ないが故に今すぐ補充をする事は出来そうにない。


「あ、あっちにもあるね」

「アレって…プレイヤーの店?」


 数少ない店の中にはプレイヤー経営のものも混じっていた。というよりプレイヤー経営の方が数は多いだろう。元の店舗数が極端に少ないので立ち寄った側からすればこういった出店は有り難いだろう。恐らくそういう客入りを見込めるからこその出店なのだろう……立地の問題と見合っているのかは謎だけど。


「あっちに回復系あったりしないかな?」

「どうでしょうね?」


 プレイヤー経営の店は基本経営の店よりもお客は少ない。プレイヤー経営は何を扱っているか謎なので品揃えが無難な方を選んだ結果なのだろうか。気持ちは分からなくもない。とはいえ其方で回復アイテムが売っていれば少しは助かる。なので確認を兼ねて覗いてみた。すると回復アイテムもある事はあるという答えが返ってきた。


「この辺だと一番需要があるからね」


 確かにHPが常に削られるこの領域では需要は高いのは目に見えているので置いていても不思議ではないか。わざわざ此処で開いているぐらいだから。

 そういう訳で置いてある商品を見せて貰う事にしたのだけど…


「…何此れ?」

「何って、特製のポーションさ」

「特製のポーションさ、って此れ売り込む場所間違えてない?」


 "わんたん"が試しに渡された商品を見てそんな事は発したので、どんなものかとアイテムの説明を見せて貰った。実際に見ればそう発した理由も理解出来た。

 試しに渡されたポーションは確かに回復アイテムであった。だけど回復量は其処までなく、代わりに少しの効果を付与するものだった。しかもその追加効果は簡単に言えば寒さに強くなる代わりに暑さに弱くなるというもの。明らかに逆である。


「そりゃあお客来ないって。ただでさえ熱で大変なのに」

「ははは、冗談だって。一応基本形も用意してるよ」

「…遊ばれた」


 なんて事が有りながらも回復アイテムを買わせて貰う。基本形と言った方も少し癖があったりしたけれど、値段の割に回復量は良かったので気にせず複数買う。


「消費期限守りなよ。切れたら質が劣化するからな」

「なんでわざわざそんなものを…」

「材料の問題かなー?」


 回復アイテムは無事に補充できた。後は案内役のところに戻って合流するだけなのだけど、他のメンバーが意外と時間が掛かっているようなのでもう少し歩くことにした。


「薄々察していたけど宿もないのね」

「そもそも土地が小さいからね。途中に有った遮蔽物の延長線的な意味でしかないんじゃない?」

「村と言うより道の駅に近いと思う」

「…確かにその通り」


 この安全地帯では休憩をしているプレイヤーもちらほらと確認出来るが、ログアウトに適しているような場所は此れといって見当たらない。不都合ではあるが、そもそもこの領域を進もうという初心者はこのようなオアシスがあると思わず一度で進みきろうとする者が大半だろうから問題は無いだろう…きっと。


「あれ?」

「どした?」

「いえ、皆同じところを目指していると思ったのですけど、其れにしては別々の方向に進んでいるなと」


 "るる。"に言われてから其方に目を向ける。この安全地帯は一度廃れてた場所にヒトが集まっているような場所であるので門などのしっかりした造りの出入り口はない。だからなのか旅立っていくプレイヤーたちは全てが同じ方向という訳ではなくそれぞれ違った方向へと進んでいる。


「其れは仕方がない。慣れてなければ次の街がどの方角にあるのか分からない上に、ただでさえこの空気が方向感覚を阻害するから」

「知らない場合は運で進むしかないと」


 運で進むのも一つの楽しみ方であろうが、この環境で其れをする事に少し恐怖した。案内役が居ることが助かった。


「…そろそろ戻る?」

「そうだね」


 他の面々は其処まで数を求めている訳では無いだろうから流石にそろそろ集合している頃だろう。そう思って待っている案内役の所へ向かう。


 戻る短い道中でも先に関する噂は聞こえる。領域の外には気をつけろだとか、間違えて前の場所に戻っていただとか、道に迷ったら終わりだとか、先に行った事が無い故に不安になるような話が多かった。中には参考になる話もあるので気には留めておこう。


「もう少し見ていても良いぞ」

「何か気を遣わせてるみたいだから此れで十分です!」 

「急かしてないのに」


 戻ってみれば他の面々が準備万端といった体で待っていた。まだ時間が掛かってもいいと言うが、このような状態で待たれていては此方が気を遣う。


「で、此処からはどう行くんだ」

「此処までの道順と同じく安全地帯を経由しながら次に進む」

「同じか…此れが続くとなれば首都に着くまでかなり掛かりそうだな」

「いや、そうでもない」


 此処までの移動を思い出していた者に案内役は軽い説明を述べる。


「道順は同じだが、次に向かう街は首都と関連した関係性にある。それ故に次の街に到着すれば首都は目と鼻の先だ」

「つまり難所は今で、此れを越えさえすれば後は楽に進めると」

「別に楽ではないがな」

「難易度は兎も角、方角を迷わなくても良いって事だろ。目的地が見えるだけマシだ」


 確かに方向が分かるだけ楽だろう。何せ現在地は未だに吹いている熱風によって先方を隠し、方向感覚を狂わせてくるのだから。そう言う意味では今が難所というのも分かる。


「其れじゃあ行くか。方向は分かるのか?」

「大体はな。こっちだ」


 プレイヤーたちが運に任せて思い思いの方向へと旅立っていく中、案内役は躊躇いなくとある方角へと進んでいく。経験者故の選択というものなのか。見失うと困るので私たちはその後を追って再び熱気が弱者を蝕む領域の中へと突入した。




【独り言】

意外なところが配信でマスターデュエルを好きに楽しんでいるのを観てるとやりたくなってくる…。




ところで、アルセウスってシリーズの立ち位置的にはどこなんだろう?

プレイしたいけど、DLCがあるかもしれないから情報が出るまで少し様子をみようかな。(諸事情)


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