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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
其れは、紅く燃える強者の大陸
202/237

187 居残り組の観戦

直前までサブタイトルが無かった模様。

「アー」

「ん、皆の試合ね」


 皆がチュートリアルに入った中でシステム上其れに参加出来なかったカゼマチと自分から残った"せんな"はロビーに設置されたモニターから様々なプレイヤーの試合を観戦していた。そして数試合が過ぎたであろう頃、モニターの一つにレギオンのメンバーの姿が映った。チュートリアルから試合に移ったらしいそのフィールドには同じような相手プレイヤーの姿も映っていた。


「アー、アー」

「始まるわ」


 恐らく正規としては初めての試合。だがレギオンのメンバーは良い動きをしていた。役割分担をしているように、毎回全員が動くのではなく動く人数を絞って行動と休みを交互に行っている。数人は完全に集中を解いている事もあって守りを突破される事も度々あるが、スタミナ管理に関しては安定していた。


「善戦してる」

「アー」


 相手側は仲間よりもこの試合に慣れているのだろう。判断力であったり自身に掛かる補正を理解していたりと初心者の動きではなかった。と言ってもプロの動きという訳でも無い。其れでも全体的に仲間よりも上であるが。言うなれば相手が早々に攻めきるか、仲間が粘れるかというような勝負だろう。


 此処で余談であるが、相手の動きに反映されているように試合では種族毎に補正が掛かるため、いくら外見を偽装していても本来の種族にあった補正が掛かる。なので見た目と違った補正が掛かっていれば違和感を与える事になるので、未だに姿を偽装している"せんな"に取っては出なかったのは良い選択だったりする。


「アー!」


 試合は止まらず、直に終わりもやってくる。幾らスタミナ管理が出来ていようと他の能力を補えている訳ではない。着実に陣地のHPは削られていき、今最後のHPも防御から零れた光によって削り取られた。『Celesta Sky』の負けである。









「疲れたー。対人になるとチュートリアルの比じゃないね」

「向こうも本気だからね」

「おかえり」

「アー!」


 試合を終えた後、私たちはロビーに帰ってきて待っていた先輩たちと合流した。

 試合の結果は敗北である。良いところ迄行ってはいたのだけどやはり手数で押し切られてしまった。とはいえ対人初戦と思えば悪くない結果だろう。参加費を取り返すぐらいの参加賞も貰った訳だし。


「モニターに映ってた」

「アー」

「マジで!?見られてたのアレ!?」

「まあ此れだけモニターがあればねぇ」


 試合は戦歴関係無くモニターに映されるらしい。同時に何試合行われているのかは謎であるがモニターが画面を分割して複数試合を映していたりするので自分たちも映っていても不思議は無い。

 そんなこんなでロビーで雑談を続けた後、私たちは此の建物を後にした。メンバーを少し変えてもう一戦という選択肢もあったが一連の流れだけで疲労感も其れなりなので一先ず休憩という事に。


「休憩に良さそうな場所ってあったっけ?」

「宿くらいならあるでしょ。一応は都市だし」


 街に娯楽が溢れている事や街の場所の関係と明暗による雰囲気で忘れがちだが、此処は歴とした都市なのである。此処までで定番どころは限りなく少なく思えるとはいえ一定の施設ぐらいは存在するだろう。


「ほら有った」

「確かにあったけど此れは…」


 探してみれば意外と見つかった。少なく思えたのは娯楽部分との主張の差だろう。娯楽部分は派手な看板や案内が出ていたりするが他の施設は一般的な装飾や光源で留めている場所が多いので紛れてしまうのだろう。小さな娯楽の方がまだ目立っているまである。そして私たちが見つけた宿もまた控えめな装飾の宿であった。本当に経営しているのかどうかすら怪しい所であるが扉は開くようである。


「…一応やってるみたいだね」


 中へと入ると、空き家という事も無くNPCの店員が此方を見た。話してみれば経営もしているとの事で私たちは受付を済ませて自由スペースで一休みする事にした。


「窓越しに見たら夜の風景って感じだね」

「実際は夜ではなくて光が入らないだけなのですけどね」

「此れ大丈夫かな?出入り繰り返してたら眼に毒じゃない?」

「…それぐらい対策してるでしょ」


 確かに此れだけ明暗の差が激しい場所に居れば眼への影響が心配になってくるけれど、今の所そのような影響は出ていない。考えてみれば疲労感だって精神的なもので現実に戻っても身体に疲労はない。なので視力に関しても影響が残らない程度の調整が為されているのだろう。でなければとっくに出ている筈である。


「ところで、此れからの事だけど、当分は此処に滞在する方向で良いの?」

「まあ…結果的にはそうなるわね」


 此処から大陸の先に進もうとなると必ず『炎帝領域』を通らねばならない。だけど『炎帝領域』はある程度の耐性が無ければ通り抜ける事は出来ず、その耐性のある装備品をこの街で入手する迄は実質先へは進めない。一応、先に進まないのなら敢えて戻るという選択肢も存在する。この街でなくとも耐性装備を手に入れる事は出来るだろうから其方の選択も現実的ではある。


「熱に耐性のある装備って何処で売ってたっけ?」

「どうだろう…何処かにはあった気はするけど…」

「種類があったからよく覚えてないわ」


 探しに戻るのは現実的ではあったが思ったよりも無策過ぎた。考えてみればそもそも大陸を戻れる場所をまだ知らなかったので大陸内部迄しか戻れなかった。

 もう一つ、装備品なら自分で作れるのではという案も出たが、現段階では無理だろうと潔く流れた。


「一番手頃なのはこの街の中で探してみる事かな。まだ娯楽しかしていない訳だから、探してみれば案外あるかも」

「アー」

「あー」

「何で共鳴したの今…」

「確かにまだ街自体は見てなかったね。当分居るのなら見て回っておくのも必要か」


 結局のところ、この街に滞在する方向で纏まった。別に急いで『炎帝領域』を越えなければならない必要もないので。其れに行動範囲をある程度絞っておけば自由行動もやり易いだろうから。

 そういう訳で私たちはログアウトすることにした。此方の景色では分かり辛いが、其れなりの時間ログインしていたのでそろそろ良い頃合いだろう。


「もう少し残ろうかな」

「え、そうなの?」

「まだ余裕あるし」


 ログアウトしようと思ったところ"Akari"はまだ残る意思を見せた。其れに乗って"わんたん"も残ると言い出した。


「待とうか?」

「良いって。少し延長するだけだから」

「ちゃんと時間の事も考えて帰るから」


 正直その辺りを忘れてのめり込みそうな組み合わせなのだが、自分から言い出していて意識には有るようなので放っておいても良いだろう。時間が大丈夫な理由があるのかも知れない。

 其れならと延長組を除く残りのメンバーはこのままログアウトする事にした。残った二人が何をする気なのか心配ではあるが気にせず帰ろう。


「さて、それじゃあもう一丁行きますか!」

「受付済ませてるからこっちの事は考えなくても良いからね」


 本当に何をする気なのか。





【独り言】

ダイパリメイク発売の影響で日付変わった瞬間から配信が多くて追えるか心配。


ところで、ブリリアントの方の省略名の案で鰤大根って言われるの笑う。


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