表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
其れは、紅く燃える強者の大陸
201/237

186 カウンターコード 1 2 3

ユ〇ルの召喚を無効にしそうじゃなこのサブタイトル。

「レースだけでも結構盛り上がったねぇ」

「…他のモードはどうする?」

「別の所も見たいから今日はいいかな」


 幾つかの部門が一つとなっている生態体験型娯楽【エネミーズ】を後にして私たちは別の方角へと向かうべく一度街の中央へと向かっていた。中央には娯楽共有の専用金銭による交換所があるが今はまだ使わないだろう。【エネミーズ】では一度や二度ではない程度には勝ち負けを繰り返したが、皆勝ち続けたり負け続けたりということは無いので懐的には損得はプラマイゼロに近い。其れでも強いて言えば少し増えたぐらいか。


「さて次はどんなゲーセンかな?」

「ゲームセンターって」

「言い方はアレだけど間違ってはないよね?」


 あっさりと交換所のある中央を抜けて次の娯楽を目指す。其れは此処からでも分かるような大きな建物。この街のメインコンテンツの一角であろうその建物はカードのようなオブジェが飾られているので内容も其れに関するものだろう。


「カードゲームかな?」

「それにしては少し形が変じゃない?絵柄が飛び出てるようにも見えるし」

「【カウンターコード】ってタイトルみたいね」


 外見だけでは内容を予想出来ないので早速建物の中へと入っていく。今回も入り口は複数有ったりするが出入りし易くしているだけでどれも部屋は同じようなので気にせずに通る。中へ入るとアナウンスに出迎えられた。


「…モニターが至るところにある」

「何かの会場みたいね」


 建物の中は先程の場所とは打って変わって待合室のようであり、娯楽に使うような機材などは見当たらなかった。代わりといってモニターが幾つも設置されていて休みながら見られるようになっていた。


「アー」

「何が映ってるの?」

「普通に考えて此処の内容…?」


 設置されているモニターのどれもが同じ光景を映し出していた。正確に言えば映っている人は違うが行っていることは同じであった。モニターにはテニスのように自陣に入った光を返し合っているプレイヤーたちの姿が映っていた。テニスのようとは言っても此の世界なだけあって中身はかなり異なっている。


「アレが此処の娯楽みたいね」

「今度は身体を動かすタイプなんですね」

「しかもチーム戦だ」


 確かに今モニターで見た試合は団体で行われているが試合によってはその人数が変動しているようなのでその辺は自由が利きそうだ。少なくとも今の人数分でのチームは可能なようだ。


『いらっしゃいませ。此方ではエントリーを受け付けております』


 受付と思われる所まで行くとNPCの対応が待っていた。受付では娯楽への参加の他、文章だけの説明や行動の伴ったチュートリアル等が出来るようである。初回という事もあり此処はチュートリアルを選ぶことにした。


『チュートリアルですね。此方では実際の試合を交えた説明が行われます。試合となりますので参加登録をお願いします』


 するとウインドウが現れ、参加者の登録が促された。人数上限に問題は無いので此処は当然ながら全員でのエントリーとなる。ところが―――――


『申し訳御座いませんが、従者は対象外となっております』

「アー!?」


 どうやら従者はまだ非対応のようだった。振り返ってみればモニターに映されてる試合にはどれもエネミーは映っていなかった。単に従者持ちが居ないだけかも知れないけれど、挑戦できるのはプレイヤーのみのようだ。

 カゼマチが小さく落ち込んでいると"先輩"が其れを抱えた。


「其れなら私が見ておく」

「え、でも其れじゃあ」

「私なら構わない」


 システムで引っ込める事なら出来るだろうけれど其れでもカゼマチ自身が落ち込んでいるのは変わらない。其れを読んでか"先輩"が自分から残ってくれるらしい。


『よろしいでしょうか?』


 結局エントリーしたのは先輩を抜いた五人と言う事となった。"先輩"はカゼマチを連れて観戦用のモニターの方へと先に向かったので私たちは受付に案内されるままに試合の会場へと向かった。会場へは道が繋がっているという訳では無く転移されて向かう。地続きだと場所が限られるから当然といえば当然か。

 転移された先はスポーツで使うコートのようなフィールド。五人が集まっても片面を埋め尽くす事はない程に広め。陣地を区切るようなネットはないが線引きはされており、地面のあちこちには何かが刻まれているようである。


『では此れよりチュートリアルを開始します』


 転移してきたのは私たちだけでNPCは転移していない。此処からはアナウンスによって説明が進行されていく。チュートリアルの開始と共に地面に刻まれている模様から光が薄らと浮かび上がる。


『この娯楽は対戦制です。フィールドに刻まれたコードを駆使して相手のHPを削り合うルールとなっています』


「…コード?」

「確かタイトルにも書いてたよね、【カウンターコード】って」


 よく見てみれば地面から浮かび上がっている模様には種類があるようで形や光の色がそれぞれ違っていた。


『まず攻撃側ですが、自陣と敵陣にそれぞれ共通したコードが一種類出現し、先に其れを発動させた側が攻撃となります。攻撃に使用されるコードは毎回ランダムに選ばれます。』


 その説明を現すように空中に紋様が浮かび上がった。そして辺りを見渡してみれば他の紋様に混じって確かに表示された紋様と同じものも存在した。此れを先に取れば攻撃となるらしく、早速"わんたん"がその紋様に手を出していた。


「で、此れでどうするの…っと!?」


 手で触れた紋様は手の動きに合わせるように地面から離れ、その後は紋様の光が何処かへと放たれた。手の向きの関係であらぬ方向へと飛んでいったが此れが攻撃なのだろう。


『次に防御側ですが、攻撃が放たれた後、相手側は其れに対応したコードをフィールドから探して発動する事で跳ね返す事が出来ます』


「何でも良いって訳では無いのですね」

「対応したコードって瞬時に判断しないといけないのかー」


『対応コードは基本的に色、もしくは形が同じものとなります。』


 要は瞬時に同じ種類を選べば良いと言うこと。瞬発力や即断即決が要求される辺りやはりテニスに近いだろう。まあ得点に関しては加点式ではなく減点式のようだけど。フィールドにHPが設定されていて攻撃を防げなければ自陣がダメージを受ける仕組みらしい。


『では、此れより模擬試合へと移ります。準備はよろしいですか?』


 大雑把であるが基本行動は説明されたので次は実戦という事らしい。断る理由も準備するものも無いのでそのまま実戦へと移る。すると相手として此方の人数と同じだけの黒い人が現れた。


『カウントがゼロになった時点から開始となります。皆様位置についてください』


 そのアナウンスを最後に空中にそう長くないカウントダウンが表示される。其れと同時に相手として用意された黒い人も散らばって構えを取った。


「攻撃は先に見つければ良いんだったよね」

「…其れなら散らばっていた方が良い」

「確かに」


 相手と同じように此方も自陣の中を散らばる。此れなら何処に出ても誰かしらは対応は出来るだろう。そしてカウントは無くなって代わりに紋様が表示される。攻撃コードだ。アレを探した側が攻撃となる。


「同じやつ何処?!」

「色が同じだからややこしい!」


 攻撃コードが表示されてから地面に刻まれた紋様から光が浮かび上がっているが、その数は一つや二つではない。恐らくフェイクとして浮かび上がっていて触れても問題は無いようだけど、何とも紛らわしい。この中から正確に見つけ出さないと始まらない。


「此れか!」


 Akariが見つけ出したようで一つの紋様に手を伸ばしていた。だけどその紋様は触れる寸前に光を失って地面へと戻った。其れと同様にフェイクの紋様も同じように落ち着いていく。原因は明らか。相手が先にコードを見つけたのだ。

 コードを見つけた相手の手の先に光の球が膨らんでいく。そして其れが此方へと撃ち出された。


「もう来ましたよ!」


 攻撃が放たれた時点で、此方のフィールドの紋様は防御コードへと切り替わって浮かび上がっている。カラフルな光景であるので形は兎も角として色は直ぐに見つけ易い。


「此れで良いの?!」


 わんたんは咄嗟に赤い紋様に触れて迫り来る赤い光球に向かって手を差し出した。すると紋様はシールドのように展開されて攻撃を受け止め、跳ね返した。


「おお!」

「…でも」


 跳ね返された光球は敵陣へと向かっていく。此れが地面に付けば相手のHPを削れる。だけどそう簡単には行かず、相手も此方と同じようにコードを見つけて防御した。


「戻ってきますよ!」

「そう簡単には行かないか」


 跳ね返された光球は再び自陣へとやってくる。再び防御の態勢に入る訳だけどコードは先程とは異なっている。浮かび上がっている方も形は地面に刻まれた通りでも色が変わっているので同じようにはいかない。此れこそがこの攻防の特徴であろう。


「そい!…って早くない!?」


 無事に返したと思いきや、相手が走り込む勢いでコードを拾ってすぐに返してきた。流石に油断もあって間に合わず、その光球は後ろの地面に着弾する。その瞬間此方側の陣地に設定されたHPが減少した。


「今の完全に決めに来たよね!」

「まあ実戦だからね。決めにも来るわよ」


 HPが削られた所でまた攻撃コード探しへと戻る。この繰り返しである。此れを繰り返してHPを削りきったら勝敗が付く。

 この後も私たちは自陣の中を動き回った。模擬試合とはいえ相手が易しくない強さを発揮したので試合が終わる頃には軽い疲労感を感じていた。ちなみに試合は僅差で何とか勝った。


『チュートリアルでは適応されませんでしたが、本来の試合ではプレイヤーの種族による補正が掛かります』


 この試合では補正どころか自前のスキルも無効化されていたけれど、本来の試合では専用の補正が用意されているらしい。其れは楽になるのか難しくなるのか判断は出来ない。まぁ今が初期状態に近いからこれ以上難しくなるという事も無いだろう。


 アナウンスはこのまま試合に移るかと問いかけてくるけれど、今は少し休憩をとることにした。…この空間で。



『困ります。お客様』




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ