25話 マインドコントロールとマリオネット
脱力感が僕を襲う。
何をやるにもやる気が出ない。理由は1つだ。
「僕ね!お母さん所に行く!
そして、一緒に暮らすんだ!」
息子にそう言われ、僕は落ち込んでいた。
秘密にしていた様だ。娘がポロリと言った事がキッカケで発覚する。
何故!?どうして!?
僕は自問自答をするのだ。イチの事は随分と可愛がっていた。ヤツが息子を虐待するのを庇ったのも一度だけではない。
「なぁ?イチを海兵隊の様な施設に入れないか?」
「・・・お金はどうするんだ!?」
「それは何とかする」
「はあ!?施設入れるならば、離婚する!!」
それからイチを施設に入れると言わなくなった。
直ぐにテレビに影響される。海兵隊の施設紹介の番組を見て、そう言い出したのだ。糞が!死ねばいいのに!
僕は、吐きそうになるのを堪える。
娘は、シーソーだ。餌をチラつかせれば揺れる。お母さんの所へ行く!そして、お父さんの所へ行く!
だが、イチは頑なに僕を拒絶した。
理由を聞く。そして、僕はまた吐きそうになるのだ!
「お母さんが早く決めろ!って言うの。そして、妹だけ引き取ったら、大阪に行く。僕と妹を引き取ったら、滋賀に行くって言うんだよ!だから、僕は選んだ。僕がお母さんの所へ行けば、皆と離ればならにならない!」
何という事だ!
8歳の息子に、こんな選択を迫るのか!?
死ねばいいのに!死ねばいいのに!死ねばいいのに!
糞が!人間のクズ以下の存在だ!
人は落ちる所まで落ちる。だが、ヤツはまだ底が見えない。まだまだ落ちて行くだろう。
そして、その時は上手い答えが見付からなかった。
なので、そういう事を言われるとお父さんは悲しいと伝えた。今の僕にはそれくらいしか思い付かないのだ。
次の日。
イチからまたとんでもない発言が飛び出す!
「僕ね!お母さんの所へ行く!理由は、お婆ちゃんのオシメ替えたくないんや!」
「イチ!言って良い事と悪い事があるぞ!人間はな!いつか歳を取る!絶対に寝たきりにならない人はいないんだ!お前は、今、人として最低な言葉を発しているんだぞ!分かっているのか!
それとな!お婆ちゃんのオシメはお父さんが替える!イチはお婆ちゃんのオシメを替える事は無い!絶対だ!」
「・・・ごめんなさい」
イチは小さく謝罪した。
僕は、怒りで我を忘れる所だった様だ。手を出す寸前だった。だが、叩いても意味は無い。寧ろ、自分を傷つけるだけだ。そして、イチにも。
実家に帰るのが、そんなに嫌なのだろうか?
ヤツとの生活より、絶対に良いのに!
ネグレクト
家庭環境が、ゴミ屋敷の中で生活をする事。
サイレント虐待とも言う。ヤツと一緒に暮らせば、絶対にゴミ屋敷となる。そして、家事を全て押し付けられるのだ。お皿洗い、お風呂掃除、洗濯、掃除、ゴミ出し、ご飯を作る。
こんな環境で、幸せ等見いだせない!
イチは分かっているのだろうか?ゲームも直ぐに禁止されるだろう。言うことを聞かなければ。ヤツに二人共、マインドコントロールされている。誘導もされ、最早マリオネットだ!
僕には、仕事がある。
だから、完全に不利な状況なのだ。勝てるのに、負ける。仕事に行き、僕は毎日死にたいと願うのだった。だが、それは叶わない。何故ならば、子供達が可哀想だから。僕が死ねば、子供達は間違いなくヤツに引き取られる。なので、僕は絶対に死ねないのだ。




