18話 たまに行くなら、近場の温泉
メッキは直ぐに剥がれる。
朝の幼稚園への送り迎えに、ヤツは気合いを入れていた。でも、実際は3日持たなかったのだ。こうして、水曜日から会社の夜勤終わりに、娘を幼稚園まで送っている。
洗濯や、食器も同じだ。
気が付けばもう、そのままである。僕は溜まるのが嫌なので、直ぐに洗うようにしていた。洗濯は溜まってしまうのは、仕方無い。なので、土日を利用して洗うのだ。
勿論、フローしたなら、夜勤で帰ってから洗濯するけどね。
火曜日、ドヤ顔で娘と近所の温泉に行ったらしい。
息子は連れて行って貰えないようだ。可哀想なので、夕方に連れて行くと約束したら、とても嬉しそうに笑う。まだ小学生2年だから、女湯はギリギリOKだろうに!
その日は、早く帰って来た。
なので、宿題をさせてから、温泉に行く事にする。
汚い字を書くので、お父さんの様なはしょり書きしないよう促す。自分でも、何を書いているのか分からない。はしょって、良い事等1つも無いのだ。
「お父さん!お父さん!早く!」
「はいはい。走るなよ!」
近場の温泉に向かう。
行った事が無いので、不安になる。確かホテルの温泉らしいのだが、そんな感じでは無いなぁ。フロントに行くと、販券機があった。大人450円、子供250円だ。高いな、そう思った。まぁ、試しに行くには良いだろう。迷わず購入する。
チケットを受付で渡し、案内される。
営業時間を見ると、15時~となっていたので、営業開始直ぐのお風呂だ!中に入ると、おっさん1人と出会う。まぁ、僕もおっさんだけどね。
給水機があるので、思わず飲むのだ。冷たい水は心地良く胃袋へ流れ込む。ロッカーは7番に決めた。ラッキー7だからね。
「お父さん!早く!」
「走るなよ!滑るから!」
温泉は、とても綺麗だった。
新しいから、そうなのだろう。ふと、床を見ると!おっさんが寝転がっているではないか!?もしかして、死んでるのか?不安になる。床に寝転がるとは、そんな汚い事等出来ない!あ!でも、新しいし開店直ぐだから、掃除して綺麗だな。僕はとりあえず頭を洗った。
「お父さん!このリンス使っていい?」
「ああ、タップリ使うといい!」
シャンプーインリンスでは無かった。
ボトルが3つあるのだ。しかも、ホテルのシャンプーは良いモノを使用している。僕はタップリとシャンプーとリンスを使った。
「湯船に入るぞ」
「分かった」
体を洗い、湯船に浸かる。
白透のお湯だった。琥珀と言って良いかもしれない。お湯は暑すぎずといった所か。1つしか無いのは不満だが、まぁ、こんなモンだろう。関西だと、550円以上の値段になるからね。
折角だし、サウナに入る事にした。
これまた丁度良い温度だ。子供には暑すぎるのか、何度も入ったり出たりを繰り返す。鬱陶しくなったので、サウナは止めた。
最後に、湯船に浸かり100を数えて出たのだ。
おっさんは、死んではいなかった。復活し、頭を洗っている。僕は安堵した。
家に帰ると、慌てて二階にヤツが登る。
電話しているのを、聞かれたくないからだ。もしかして、叔父からの電話なのかもしれない。ヤツに連絡すると言っていたしね。僕は疲れを癒したので、その日はゆっくり寝る事が出来た。




