14話 やっぱり叔父を頼ります
1月11日、家庭裁判所に向かった。
清々しい気持ちで満たされている。穏やかな、そして温かい日差しを受け、車から出た。市役所と違い、全く車は混雑時していない。余裕で駐車する事が出来た。
家庭裁判所の駐車が満車だったら、この世界は悪意に満ちている。そんな気がしてならない。
「2Fか」
この裁判所は、地方、家庭、その他と3つの集合体になっている。2Fに足を進めた。勿論階段を使う。健康の為もあるが、やはりエコには協力しなくてはいけないと思う。ヤツはどんな状況だろうと、エレベーターを選択するがな。それも、もうオサラバ出来るのだ。嬉しくて仕方ない。まぁ、最近では、一緒に出かける事も無いけどね。
「すいません。子供の虐待を嫁から受けているので、親権で争いたいのですが、どうすればいいですか?」
「すいません。こちらも、アドバイス出来ないんです」
「なら、子供の監護権利を取りたいんです」
自分の事情を簡単に説明し、メモを取るのを見ていた。アドバイスは貰えないが、何かしらのヒントが得られると確信する。
「少しお待ち下さい」
担当に変わるようだ。事情が複雑なので、専門担当でなければ、対応出来ないと判断したのかもしれない。
「お待たせしました」
「あ、はい。お世話になります」
「大体の事情は説明をお聞きしました。それで今日は、子供の監護の指定手続きをされたいのでしょうか?」
「えーと、協議離婚の裁判もした方が良いのですか?」
「そういうアドバイスは言えません」
「そうですか」
相手の表情を読み取る。した方がいい気がするのだ。
「協議離婚と子供の監護の指定を、
平行して行いたいです」
「分かりました。
では、監護の指定をお話させて貰いますね」
流れは
申し立て
↓
調停期間通知
↓
第1回調停期間日
↓3~4週間
調停期日
↓
調停期日
↓→→→→→→→→↓
合意 当事者が出席しない
↓ 合意しない
↓ ↓
調停成立 調停不成立、その後、裁判
調停期日は、合意するまで、何度でもだ。
「相手が出席しない場合いは、どうなりますか?」
「その場合、調停は開催されません」
「ヤツを家庭裁判所に連れてくる事は無理そうです」
「それだと、開催されませんね」
困った。調停に来て貰わなくては、話にならない。
長期間を狙われれば、3カ月を切っているこの状況では、とても調停不成立まで持って行くのには、時間が足りないのだ。
「これって、いけそうですかね?」
「そういう事はお答え出来ないんです」
「弁護士さんに聞くしかない?」
「そうなりますね」
弁護士に聞く。
簡単そうに思うが、そんなおいそれと電話は出来ない。相談料金が発生するからだ。1時間1万円である。30分で切り上げられたら、5000円で済むと思うけど、複雑過ぎて説明だけで1時間持っていかれそうだ。
聞かなくてはならない事をメモり、テンポよく相談しなくてはならない。そんな器用な人間では無いので無理だ。とりあえず保留しよう。
「調停離婚の協議はどうなるんですか?」
「子供の監護者を決めるのと、同じです。少し違うのが、調停不成立が無いんですよ。決めるまで、ずっと争う形となるんです」
「そうですか。とりあえず紙下さい」
「はい。分かりました」
紙を貰い、車に乗り込む。
あれだけ晴ればれしていたのが、心は曇り空へと変化する。どうする?やはり聞いて思うのは、弁護士に頼るか、それとも身内に頼むかだ。身内となると、やはりヤツの叔父が思い付く。一番まともなのだ。名古屋の人で、とても人当たりの良い方である。大阪の叔父は糞だから、あれは無理だろう。
「はぁ、電話するか」
16時頃、緊張しながら、スマホの電話に手をかけた。
「ええい!ままよ!」
ポチ!もう後戻り出来ない!自宅の方へかけたのだ。その方が良いと判断する。
「はい。もしもし」
「こんにちは。お久しぶりです。
上野 浩二と申します。今お時間宜しいでしょうか?」
「え?誰?こうじ誰さん?」
「あの、上野 浩二です。輝子さんの旦那です」
「ああ!お久しぶりだね。
キレイな言葉使いで、誰かと思ったよ」
「あの、えーとですね。この度色々とありまして、その」
「そうだろうね。何も無いなら、
電話して来ないよね。で、何があったの?」
「この度、輝子さんと離婚する事になりまして、それで親権で揉めております。話し合いをしてのですが、平行線を辿るだけで、何も進みません」
僕は軽くだが、これまでの経緯を話す。そうして、納得して貰えたのだ。まぁ、敵側だけど、安心や信用はしない方がいいな。でも、まともな人で本当に良かった。
「それなら、行くしかないね」
「ありがとうございます。助かります。無理を言って悪いと思ってます。本当に」
「まぁ、行かなしゃーないわな」
金銭的な事や、費用については話さなかった。
そういうのは、最後でいいと思う。とりあえず来てもらうのが
一番なのだ。後は放置してもいい。
「ちょっと、1週間待ってくれる?」
「はい!いつまでも待ちます!」
「ちょっと、病気しちゃってね。注射を1週間連続で投与しないといけないんだ。申し訳ないね」
「いえいえ!めっそうもごさいません!」
「僕からも、輝子に違う話でアプローチしておくよ」
「はい!お願いします!では失礼します!」
はぁ、とりあえず来てもらえる事になった。
弁護士や調停離婚の裁判は、その後でも間に合うだろう。
僕はほっと溜め息を漏らし、息を整えた。よし!牛乳と唐揚げ買って帰るぞ!足取りは軽かったのだ。




