ユキちゃんの一日!
累計二万PVと三千ユニーク突破しました!
感謝感激ちょー嬉しいです!!
今回は主人公視点じゃないです。
誰視点かは、多分二行読めばわかります。
「今日は一日休み!皆やりたい事をやりなさい!」
お父さんがそう言いました。
最近わかってきたことなのですが、どうもお父さんにはサボり癖があるような気がします。
まあ、仮にお父さんが働かなくなったとしても、私がお父さんを養うだけなんですけどね。
それはともかく、冒険者としてのお仕事を休むとなると、私にはする事がないのです。
お父さんは趣味に時間を使えばいいと言いますが、私には趣味などありません。
よって、冒険者のお仕事をしない時には、アリスと一緒に出掛けるか、街を散歩していたのですが、いつも散歩をしていると、いい加減に飽きが来るものです。
これは、お父さんの言葉通りに趣味を作るべきなのでしょうか?
とはいえ、趣味などそう簡単に作れるものでは――
いえ、ありました。私がやりたいと思うこと。趣味にしたいと思うことが。
『思い立ったが吉日』という言葉が、お父さんの故郷(前世で過ごしていた場所は故郷なのでしょうか?)にあったそうですが、正しくその通り。
今すぐ向いましょう!
******
「それで、ユキさんはうちに来たの?」
「その通りです。それと、ユキでいいですよ」
私は、前にお父さんやアリスと来た食堂にやってきました。
この子、リーちゃんこと、リーラルちゃんに頼んでお料理を教わるためです。
前に来た時にお父さんがここの料理を気に入っていたのを覚えています。
それに、前に友達のエルちゃんが、「男を落とすには料理ですよ!」と力説していました。
「私からもお父さんに頼んでみるけど、流石に教えてくれるかはわからないよ?」
「ええ、頼んで貰えるだけで、十分にありがたいです」
飲食店のお料理はその店でもっとも大切なものです。そう簡単にそのレシピを教えることは出来ないでしょう。
「嬢ちゃんが俺に料理を教わりたいやつか!」
少し待っていると、そんな言葉と共に店長さんがやって来ました。
「ん?いつかの嬢ちゃんじゃねぇか!
どうして料理をしたいんだ?まだ子供だろ?」
私が料理をしたい理由ですか……
「お父さんのためです。お父さんに私の作った料理を食べて貰いたいんです。それが私にできる恩返しですから」
これは偽らざる私の本心です。
お父さんは私と何の関係も無いはずなのに、私のために尽くしてくれています。
そんなお父さんの為に、私にできる最大限の恩返しをしたいんです。
「……そうか。よしわかった!嬢ちゃんに俺の料理を教えてやろう!!」
「ありがとうございます!!」
******
「違う!もっと素早く炒めるんだ!いいか、炒飯は火の通し方が命なんだ!もう一度やってみろ!!」
「はい!!」
料理の練習は熾烈を極めました。
戦闘の訓練の時にはお父さんが絶妙なタイミングて休憩を入れてくれるのですが、店長さんは一切休む暇なく作るように言ってきます。
ずっと作り続けているので、作った料理がどこに行っているのか気になったのですが、ほとんどリーさんのお腹の中に入っていったそうです。
見かけによらずとても大食いです。
「よし!今日はこれで終わりだ!」
「ありがとうございましたっ!」
思わず時間の経過を忘れていました。
外を見てみるともう夕暮れ時も近いようです。
そろそろ宿に戻りましょう。
「流石だな、嬢ちゃん。なかなか才能あるぜ。これからも暇な時はうちに来な。親父さんのために最高の料理を作ろうぜ」
「はい!ここで習ったことを、私はきっと忘れません。今日は本当にありがとうございました!」
感動のシーンです。
もっとも、一日中炒飯作っただけですが。
しかしそれでも、料理を作ることの楽しさや食べてもらうことの嬉しさが少しはわかったような気がしました。
店長さんには感謝してもしきれません。
******
宿に戻ってきました。割と遅くなったけど、心配をかけるような時間じゃないから大丈夫です。
「ん?ご機嫌だな、ユキ。なんかいい事あったのか?」
「はい!とってもいい事がありました!!」
問いかけてきたお父さんにそう答えると、少し驚いたような顔をしてから、
「そうか、それは良かったな」
と、微笑んでくれました。
待っていてください。
きっとすぐに、大好きなお父さんに私の手料理を振る舞いますからね!!
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