人権武器
皆さんは『人権』について知っているだろうか。
もちろん、「すべての人が生まれながらにして持つ、人間としての権利」のことではない。
ここでいう『人権』とは、いわゆる『人権武器』、『人権アイテム』のことだ。
これはすなわち、「所持していることが前提の」、「持っていないとはじまらない」という意味合いの、強力な武器・アイテムのことだ。
その意味で、私は、いま、『人権』を得たかもしれない。
*********
ダンジョンに戻ってから数十分、もはや慣れた手つきで棺を開け、中身を物色していく。
新たに開けた棺の中には、複数の装飾品、アクセサリーと一つの剣が入っていた。
それは、いわゆる片手剣で、自分でも十分振れる程度の程よい重さとそこそこのリーチ。
なかなかに良い武器なのではと思い、次の戦闘の時は試してみようと思った。
次に見つけた相手は、もう何体も倒している鎧+剣持ちのスケルトン。
どの部位に鎧を着ているかはランダムなようで、今回の個体は頭と手に鎧をまとっている。
少し面倒だなと思いつつそのスケルトンに向かう。
まずは攻撃を振らせなくては。
しかし、いつもなら攻撃してくる距離まで近づいても、攻撃してこない。
不思議に思いよく観察してみると、どうやら新たに手に入れたこの片手剣を警戒しているようだ。
先に攻撃してくれないことに困っていたが、仕方がないので自分からそのスケルトンに対して剣を振り下ろした。
すると、何の抵抗もなくスケルトンは切断され、倒れた。
今までも、スケルトンのことは斬っていた(鞘なしの剣もあったため)が、こんな反応は初めてだ。
大抵、攻撃を加えてある程度ダメージが与えられると、倒れ、ドロップ品を落とす。といった様子だった。
今回のスケルトンは切られた瞬間、なんなら剣に当たった瞬間に倒れたようだった。
これを見て、一つの可能性に思い当たった。
「これは、いわゆる『聖属性』なのでは?」と。
ゲームでも良くある『聖属性』。原理は様々だが、一貫しているのは、アンデット相手に効果抜群ということだ。
ゲームでは『聖水』だの『聖なるロザリオ』だの『聖なる剣』なんかがよくある。
件の片手剣をよく観察してみると、今までのどの剣よりも装飾が凝っている気がする。
もし、この剣が『聖属性武器』だとすると、これからのダンジョン探索には革命が起きるだろう。
なにせ、このダンジョンは今のところスケルトン、つまりアンデットモンスターしか出てきていないのだから。




