第20話「三日月道中」
新たな仲間ミルを加え、政宗達はサバから三日月へと向かっていた
しかし政宗達を乗せていた暁が何かに気付いた
「ギャウ!?」
そして何かに怯えた様に暁は取り乱していた
「どうしたんだ!?暁!!」
政宗の声は届かず暁はそのまま下へと降りたのだった
地上へ降りた暁ひどく怯えていた
「グゥ」
「どうされたのかしら、何か怯えている様に見えますが」
「そうだな、こんな暁は初めてだ」
「あ!政宗!あれを見ろ!」
「何だ、あれは?」
ミルは何かに気が付きそこへ指を指した
そこには今まで見た事が無い生き物がいてその生き物は首が長く、鋭い牙を持ち、大きな羽を持っていた
それはまるで見るもの全てを威圧するかの様な生き物だった
「これはすごいな」
政宗は驚いていた
「あれ?政宗どこへ行ってるの?」
「なに、暁がこのままじゃ動けない様だからちと場所を移動してくれぬか頼みにいくんだ」
「ちょっと本気?」
「ああ、俺はいつだって本気だ」
そう言って政宗はその生き物の方へと足を運んでいた
「政宗様、私もお供しますわ」
ディーヴァもそう言うと政宗についていった
「ちょっと、私を置いて行くなよ!」
ミルもしぶしぶ二人を追いかけたのだった
「近くから見るとこれまた圧巻だな」
政宗はその生き物を近くから見上げていた
「おや、ドラゴンを見にやってくるとは珍しい人でありんすね」
「どうしたんだ?」
そこには猛々しい龍を象った鎧を身につけた娘と着物をわざとはだけさせ肩まで出した娘がいた
「いや、すまぬがここから少し立ち去ってくれぬか?俺のウマがお主らのそのドラゴンとやらに怯えて動けなくなってしまったんだ」
「そうか、じゃあ少し退いてやるか、なぁ貂姫」
「ディアーナ、待つでありんす、この者天眼使いでありんすよ」
(こやつら、俺が天眼を持ってる事を知ってるのか!?)
「ほう、こいつは面白い、そこの天眼を持ってる兄ちゃんよ、俺達と手合わせしないか?兄ちゃんが勝ったらここを退いてやるよ」
「すまないが、俺は先を急いでいるんだ、悪いが止めておく」
「そう言わず、そこの先生、うちと遊びましょう、ディアーナ、うちから遊ばせてもらいます!」
そう貂姫が言うと貂姫の目は青く輝いた
「うちの名は貂姫!父は最強の武人呂布、母は貂蝉、参りましょう、戦いの世界に」
(これは天眼!?この娘天眼を使えるのか?)
その瞬間、政宗は天眼使いとの戦いにおいて油断は己の死に繋がる事を知っていた、だから天眼を見開いたはずだった
しかし、いつもの様に天眼を見開いても力は出なかった
(どういう事だ?何故力が出ないんだ?それにここは?見覚えがある気がする)
「うおおお!」
そこには鎧を身に纏い槍や刀を使い戦っている者達がいた
「死ね!独眼竜!」
「ぐっ!」
政宗はとっさに刀で斬られそうだったがそれを防いだ
(ここを俺は知っている、ここは俺が死ぬ前にいた元の世界だ、何故ここに俺が来ているんだ?あの世界はどうなったんだ?それに統一された世界で何故この様な戦がまだ続いておるのだ?)
政宗は突然元の世界へ戻され戸惑っていた
そして色々考えを巡らせていると
「独眼竜の首貰った!」
「ぐはっ!」
後ろから斬られたのだった
(くそ、何故だ?人の気配は後ろには無かったはず、どうしていきなり後ろから斬られたんだ?訳が分からん)
「はぁはぁはぁ、政宗様?」
「どうしたんだ、政宗?」
ようやく政宗に追い付いた二人は政宗の異変にすぐに気が付いた
そこには誰もいないところで刀を振ったり防いだりしている政宗の姿があったのだ
「あら?今日はお客さんが多いでありんすね」
「ほお、ゴーレムの娘にエルフの娘か珍しい組み合わせだな」
「政宗!どうしたんだよ!」
そう言ってミルが政宗に近づこうとすると貂姫が止めた
「この先生に近づかぬ方がいいですよ」
「どうしてだ?政宗に何をした!」
「うちがあの先生に幻を見せているのでありんす」
「幻ですか?」
「私が覚めさせてやる!」
ミルが政宗に駆け寄ろうとすると巨大な大刀が前に振り落とされそれを邪魔させた
「おおっと、貂姫とあの男との戦いの邪魔はさせねぇぜ」
「くっ、」
そのディアーナと呼ばれる娘の圧倒的な気迫に圧されミルは怯んでいた
「政宗様…」
そしてディーヴァもただ政宗を心配そうに見つめるだけだった
「ほら、先生!うちの幻の味はどうでありんす?蜜の味がするでしょう?うちの天眼は幻をみせる、その攻撃にあわせて現実のうちがこの鉄扇で攻撃を与える、そうする事でよりその幻は現実に近いものに感じるでありんすよ!」
そう言って貂姫は政宗の首目掛けて鉄扇で突こうとした
カン!
すると激しく金属同士がぶつかり合う音がしたのであった
「やはりそうだったか」
政宗はその鉄扇を弾き飛ばしたのだった
飛ばされた鉄扇は美しくひらひらと舞っていた
それを華麗に飛び上がり貂姫は鉄扇を取ったのだった
「まさか、うちの幻が効かぬ殿方がいようものとは思いませんでしたわ」
「心眼を開眼した俺にはまやかしの類いは一切効かないさ、さぁそちらがやる気ならやろうじゃないか、独眼竜伊達政宗参る」
「いいわぁ、その眼、その表情、強き者は大好きよ、先生と戦いたいわ、本当にうち何だか濡れそうでありんすわぁ…」
そう言った貂姫の表情は妖艶であり甘くとろけきった顔をしていた




