Rainy Tokyo -Prologue-
-Prologue:A-
雨が降っていた。
アスファルトを濡らす水音が、静かに街の中に広がっていく。
ガラスのビル群が整然と立ち並び、人々は、ただ、前を向いて歩いていた。
空には、昼間なのに綺麗な星座が見えていた。
悠吾は、雑踏に立っていた。
行き交う人々の中心に、光が見える。
その中心に、長い白銀の髪の女性がいた。
その瞳は淡く水のように澄んでいて、遠くにいるのに、まるで自分の中を覗くようだった。
悠吾は、とっさに彼女の名前を呼んだ。
-☂️-
雨が、窓を打つ音が聞こえる。
目を開けて視線をずらすと、窓の外の景色が見えた。
そこは、いつもの東京の街並みだった。
不思議な夢を見た。
呼ぼうとした名前が、雨音に消されて、思い出せない。
でも、どこか懐かしいような。そんな気分だった。
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-Prologue:B-
——冷たい夏の雨が降るあの日、彼女は俺のところにやって来た。
目の前に立っていた彼女は、全身がずぶ濡れだった。
手には傘を持っているのに。
彼女は、玄関先でいきなり胸に飛び込んできた。
「雨宮さん!」
縋るように言う彼女の肩は、震えていて、目は固く閉じていた。
寒さで震えているんじゃない。まるで、何かに怯えているような。
空いた両腕の所在を探している内に、彼女は続けた。
「私、怖いんです。このままだと、私——」
怖い?何が?
俺は言ってることを呑み込めなかった。
「雨宮さん。私を——抱いて…下さい」
始まりは、ほんの数ヶ月前。
静かな雨の降る、梅雨の日だった。
冬瀬澪です。
新作『Rainy Tokyo』の開幕です。
雨の東京を舞台に織りなす、甘くほろ苦い大人のラブストーリー。
Prologue:Aは別作品『MER:AI』からの繋がりの強い内容となっております。
Prologue:Bはレイニートウキョウのみ読む方からでも入れる内容となっております。
(※この作品は一部R15相当の描写が含まれます)




