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竜門の十哲~最強の10人は再び集う~  作者: 柊 楓
第2章 19歳-ロック-
33/50

第28話 跳ねる足取り錆びた鉄橋

俺と天音の家の間には、大きな鉄橋がある。築どれだけかは知らないが、親父が産まれる前からあったそうだ。下には太平洋に流れ込む大きな川が流れており、確かその水深もかなりあったはずだ。


車道の脇の歩道には、下の川に落ちないためのフェンスが連なる。治安の悪いこの区では、鉄橋の修理費なぞまともに出すことができず、それはあちこち錆びていた。


鉄橋に差し掛かったとき、ふと対向車線側の歩道に人影が見えた。声から複数人の女子がいることはわかったが、まばらではあるが通る車に遮られ、上手く確認できない。




ふと、そのとき何を思ったのか。俺は車の来ないうちを狙って、向こう側へ飛び出した。何か、勘が、第六感がビビっと来たのかもしれない。


なんにせよ。その行動は正解だったらしい。


複数人の女子は、天音を含めたクラスメイトたちで、聞こえた声は天音への罵倒だったのだから。


「おい...おい!?何やってんだよ!」

彼女らはそのとき俺に気づいたようで、一人の女が俺と天音の間に入り込む。


カールした髪を茶色く染め、うるさいほどのアクセをつけたこの女は、確か姫華といったか。クラスメイトのはずだ。


「ちょ、ちょ。違う!そうじゃなくて...。こいつに少しみんなの考えを言っただけなの!」

そいつは突然来た俺に慌てながら、言い訳を口にする。


「そのみんなの考えってのはなんだよ」

天音を見ると、強ばった顔の中にホッとしたような安堵が見られる。本当に、一体何をしていたのか。


「それは。...天音が色んな男とよく絡んでて、彼氏持ちの子たちがみんな迷惑してるからなの。ほら、天音って可愛いし」

上目遣いでオネダリするようにつぶやく。コイツは嫌いなタイプの女だ。


そして何より、こいつは嘘をついた。


天音は、ほとんど男子と喋らない。俺がずっと見ていたから知っている。


男子にはあまり入れないような会話で、少し天音を建てることで俺に状況を誤認させようとしているのだろう。


ただ、初手から嘘だと見破られたら、どんな建前も虚構の前提条件にはなりうらない。


「なるほどな。あれ、お前らって彼氏いなかったよな」

「...いる子達が『 私たちが言うより姫華たちが言った方が聞いてくれる』って言うから」

さっきからこいつだけが率先して喋っているが、どうにも後ろの奴らの動きが怪しい。天音が喋らないことも気になる。


「へー。女子って大変だな」

「うん。ほんっとにそうなの」

「ならよ」

言い訳をするのに距離の近くなった姫華の肩を抱く。その耳元で


「俺と気持ちよくなって、そんなこと忘れちまおうぜ」

「あ...」


思わずぼうっとする彼女を置いて、天音に群がる女の元に。天音は何か(とが)めるような顔をしているが、それ以外の奴らは物欲しそうな目で俺を見ている。

「俺さ、最近理絵が気になってたんだよね」

思わずそいつを向く女共をかき分け、理絵の元にたどり着く。肩を掴んでどかせた女全員がびくりと肩を跳ねさせることに、しばし快感を覚え、思わず名前を呼ばれて真っ赤になった──天音を後ろから抑えてる、性欲のせの字も湧かない豚に手を伸ばす。


自分が天音を抑えていることすら忘れた豚は、頬に伸びる俺の手にうっとりと目を細め──。


ダンッ!!

「きゃあぐッ」

「え。ちょっ陽太くん!?」


首を掴まれて地面にたたきつけられた理絵は、突然のことに一瞬喘いでから恐る恐る俺の目を見る。そして、あっという間に過呼吸に陥った。


「なんでお前が天音の後ろでこんなの持ってんだよ。おい醜女(ブス)

倒すと同時に彼女の手から奪った刃渡り7センチ程のステーキナイフが、俺の手に握られていた。

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