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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第三部 紅茶の魔女

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火竜さんから思いがけない話が

 その日一日は、とにかくやすむことにした。

 団長様の突然の行動に気が向いてしまって、どうにもできない。


「なんで……」


 団長様は、二度もあんなことをしたの?

 一度目も驚いた。

 火竜さんの攻撃、そして火竜さんを一度動けなくした後のことで、心配のあまりにしても……どうしたの団長様!? と思ったから。


 何かあったんだとは思う。今まで気安く頭を撫でられたりはしたし、発言内容が女性にそれ向けちゃダメ! な感じのものが多かったのは事実だけど。

 おおむね精霊が相手でもやりそうだから、ペット扱いなんだろうと思っていられた。

 でも、あの口づけは……。

 いつかの額への口づけは、私に魔力を戻すためっていう理由があった。

 前回は、心配をかけたからだと思って、無理やりペット扱いだからと自分を納得させたけど。


「二度も団長様が気の迷いにとらわれたとか、ありえないものね。だから、意図的なんだと思うんだけど」


 勘違いしていいんだろうか。

 でもそんなことをして、本当にペットのつもりだったらいたたまれない。だから団長様に聞くのも恥ずかしくて、一度目は忘れることにしたのだ。


「悩むようなことをする、団長様がいけないんだよ思うけど。私もどうしてが聞けない……」


 聞くのが怖い自分のせいで前に進まないのも、わかっている。とはいえ勘違いだったら騎士団にいられなくなりそうなくらい、気まずくなるだろう。


「どこかに移動しようにも、ゲームの内容が……」


 他に魔女がいることは決定的になってしまった。竜と契約した人がいるんだもの。

 そこでハッとする。


「火竜さん!」


「なんだ?」


「あなたと契約した魔女について教えて下さい」


 そう。魔女について火竜さんに聞けばいいのだ!


「女だったな」


「……いやそうでしょうとも」


 男の場合、たぶん魔女って言わないから。


「そもそもなぜ他の魔女の特徴など知りたがる? ……そうか。早々に見つけ出して、始末するためか」


 火竜さん発想が怖い!


「始末するかどうかより、これから危ないことになるので止めてほしいんですよ!」


 あちらの方が、確実にゲームで国を滅ぼした魔女に近い。おかげで私はラスボス役じゃないことは確定したみたいだけど、彼女を止めなければ、人が大勢死んで、この辺も荒野になっちゃうんですよ。

 私は紅茶を作って、おだやかに暮らしていきたいんです。


 できれば喫茶店も二店舗目とか作って、紅茶ももっと大々的に売って、世の中に紅茶を広めたい。

 何より団長様をもっと紅茶好きにしたいし、他の仲良くなった騎士さん達が死ぬのも嫌。城下町ではちょっと辛い目にもあったけど、元凶はこの間叩きのめしたわけだし、別に誰かにいなくなってほしいなんて思ったこともない。


 だから各国ともこのままですね、穏やかに存続してほしいわけです。無くなっちゃ困ります。

 私の言葉を聞いた火竜さんは、いぶかしげに目を細める。


「お前は……未来視ができるのか?」


 あ、そうだった。これからのことを口に出したら、そう言われても仕方ないよね……。

 私は三秒迷って、首をかしげる。

 火竜さんに話したとしても、団長様達はお話ができるわけじゃない。ただ、人間と契約しているということは、火竜さんて普通の人ともお話できたりするのかな。


「あの、火竜さんて魔女以外の人間とも、会話はできるのですか?」


「相手の魔力次第だな。それさえ基準を超えられれば、我の魔法によって、意思を伝えられるようにできる。こちらは何を言っているのかはわかっているから、それで会話が成立するだろう」


「……てことは、団長様とお話ができちゃう?」


「先ほどの、精霊王の剣を持つ男のことか? まぁできるだろうな。それに精霊王の剣の力を使えば、あの男の方から会話ができるようにもなるだろう」


 すると、団長様とは話せる可能性があるんですね……ちょっとやっかい。


「さっきとか、ご不満がありそうなのにお話ししなかったのはどうしてですか?」


「なぜ我がわざわざ、話をしてやらなければならぬ」


 ふん、と火竜さんは鼻息をした。

 これはたぶん、団長様に反論したくなったら、火竜さんの方から話しかけちゃいそうだな。

 私はまた三秒考えて、ふわっとした表現で話すことにした。


「未来視ってわけではないんです。そういう特殊スキルがあるわけではなくて……。魂が未来の出来事を記憶しているというか」


 前世って言い方をして、竜にはわかってもらえるのかわからない。なのでそんな表現をした。


「ほぅ? 魂がのぅ……。そんな話を、どこかで聞いたような……」


「え!?」


 同じような人がいる? ということは。


「あの火竜さん、教えて下さい! どこでお聞きになったんですか!?」


 火竜さんを持ち上げて、がくがくと揺らす。


「ちょっ、止めろ魔女!」


「ああすみません」


 火竜さんからストップをかけられて、手を止める。


「それで、思い出せますか? どこで聞いたのかを」


 なにせ魂が未来の出来事を記憶してるって、前世が日本人で、ゲームをやったことがある人じゃないの? その人は一体どうしているんだろう。もしかして、仲間が見つかるかもしれない。

 誰かもう一人ぐらい手伝ってくれたなら、もっと早く魔女を止める手立てが打てるかもしれないし。

 だから教えてほしいのに、火竜さんは私の必死さを見てニヤッと笑った。


「そんなに教えてほしいのか……。だが、先に我の体を戻す努力をしてもらおう」


 そっちが済んだら教えようと、取り引きを申し出て来たのだった。

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